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SDGs史#5 レイチェル・カーソンさんを改めてご紹介

 1972年ストックホルム人間環境会議の開催に大きな影響を与えたお方「レイチェル・カーソン」さんを改めてご紹介します。ある意味、SDGsの産みの親と言えるかもしれません。

 まずは、サムネの写真の説明。2003年4月23日、ピッツバーグにおりました。たままた「Silent Spring」展が開催されていて、フラッと立ち寄ったんです。サムネはその時の写真です。「Silent Spring」というのは、1962年レイチェル・カーソンさんが出版した「沈黙の春」の英語の原題です。

 以前、SDGs史#1で紹介しました。そして、SDGs史#3を書きながら、もう少し解説したくなり、記事にしました。1972年のストックホルム人間環境会議を語るうえで、欠かせないので。

 代表的な著作は「沈黙の春」です。でも、カーソンさんを語るうえで、もう一つ重要な書籍があります。それが、1965年発表され、遺作となった「センス・オブ・ワンダー(1996年←日本語訳)」です。今でも福岡伸一さんなどがよく引用しています。子供番組や野外活動などでも耳にしますよね。

*私は、環境NPO時代に、訳者の方とお話する素敵な機会がありました。優しさがにじみ出ているようなお方で、若者を励ます素敵なご婦人でした。

 さて、本題です。1962年に出版された『沈黙の春』は、現在の環境運動を20年は早めたと言われるほど大きなインパクトを持っていたといわれます。一冊の書籍がそこまで影響を持つのは、なかなかのことです。

 レイチェル・カ-ソンさんと「沈黙の春」は、アメリカを中心に60、70年代のエコロジー運動を先導しました。ピッツバーグという鉄鋼で栄えた工業都市、そして産業公害で苦しみ新しい道を模索していた都市で、「Silent Spring」展が開かれていのはそのためでしょう。そして、アメリカにとどまらず、当時を振り返り、「多くのヨーロッパ諸国と同様に、スウェーデンでも、カ-ソンの本が現代環境主義の時代への案内役」だったと称されます。
 そのようなわけで、ストックホルム人間環境会議の機運を高めたきっかけの一人なんですね。

 レイチェル・カ-ソンさんが画期的だった点を整理します。まず、文学的な表現を用いるとともに、徹底した科学的根拠に基づいて環境危機を警告する方法論をとりました。

 この方法論は、今でも受け継がれています。以前、「SDGsの科学的根拠」シリーズにて書きました。

 レイチェル・カーソンさんの具体的な功績は、農薬類、特にDDTの危険性を訴え、利用禁止を勝ち取ったことにあります。それを受けて、環境保護の潮流が確固となる象徴となりました。ただし、今ではDDTの危険性について、全面的に支持されているわけではありません。
 ちなみに、DDTの発見者パウル・ミューラーはノーベル賞を受賞しています。有用性と危険性は、紙一重ですね。今も昔も同じだと思います。

 文学と科学を融合した環境活動は、もちろん功績も多々ありましたが、限界もありました。当時は、最終的な解決策の手掛かりがない時代だったのです。そのため、最後の解決策につながるクリエイティビティを補うために「センス・オブ・ワンダー」を著されたのだと私は解釈しています。しかも、自然とのかかわり、自分のセンスを信じよう!って訴えかけるんです。

 子どもの頃のように、自然と触れ合うことで感じた、いきいきとした、みずみずしい、驚きに溢れた、そして、少し危険をはらんだセンス。日本語訳の「神秘さや不思議さに目をみはる感性」に集約されています。

 家でスマホとPCにかじりつき、遠出が出来ない毎日。この本を読んで、散歩してみると、意外と自然はありふれていますよ。「自然」が春の準備を始めています。

”「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではない”

 著名な科学者神を強く信仰することは、有名な話ですよね。そして、もう一つ、大切な信仰の対象、それが「自然」です。「自然」は、46億年の歴史で、実験を繰り返してきた結果です。人間は、その恩恵で生きる、愛おしくも、か弱い存在です。さまざまな困難がある中で、「自然」が癒しをもたらすのは、母たる地球の贈り物です。
 「センス・オブ・ワンダー」、大切にしたいですよね。

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Photo by v2osk on Unsplash

  ストックホルム人間環境会議は、次回、まとめます。その後、世界が「人間環境宣言」をどう受け止めたのか?実は、1970年代、世界は、オイルショックを2回経験します。ここでの対応は、後々、エネルギー問題、気候変動・脱炭素の課題と大きくかかわってきます。歴史は、色々とつながっているんですね。

 さて、SDGsまでまだまだ遠いですが、少しずつ記事にします。

お読みくださり、ありがとうございます!!!!

これまでの文章は、『サステイナビリティ私観』をご覧ください。
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サステイナビリティ私観 (5)


「世界を変えるお金の使い方(Think the Earth Project編)」に基づいて100円単位~数万円単位でできること、50項目を実行し、その報告を記事にします。 「毎日使う100円玉にも世界を変える底力があります(P11)」 応援、ありがとうございます!!!!