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夫が登場する話

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自分の内側で起こっている変化

自分の内側で起こっている変化

最近、話したい話したい欲が消えてきたように思う。これまでの私は、うれしいことも悲しいことも話すことが大好きで、話し手か聞き手かでいうと、圧倒的に話し手の立場にいることが多かった。

あんなに人に何かを聞いてほしくてたまらなかった私が、友達との会話で自然と聞き役に回ることが増えていることに気づいた。

自分の内側でどんな変化があったのだろう。

おそらくこれは(も)夫の影響だろう。夫のことを人間とし

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寝る前のネバーエンディングストーリー

寝る前のネバーエンディングストーリー

最近の夫は、寝る前にアイマスクをつけた状態で「AIに支配された世の中で、仮のやんくん(私)とハグしよう」と言って、一人エアーハグをしている。アイマスクをつけているから、VR空間にいる気持ちになっているのだろう。

夫が言うに、アイマスクを着けたときの世界は、AIに支配され、やんくんと一緒にいるように感じていても、実体はなく、今私たちは離れ離れの状態らしい。

だから、実体を持ったやんくんを探す旅に

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最近の夫とのあれこれ

最近の夫とのあれこれ

お風呂に入らなかった日のこと飲み会から帰ってきたら、夫はまだ寝ずにベッドで横になってごろごろしていた。私はあまりお風呂に入るのが好きではない。というか髪の毛を乾かすことが面倒で、特に疲れているときは風呂に入ることを諦めてしまう(翌朝ちゃんとシャワーを浴びるよ)。その日も私は「お風呂入らんと寝よかな」と呟いた。夫は「清潔なだれかよりも、風呂に入らなくてお尻にうんこがついていたとしても〇〇(私)が好き

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連休明けはいつも憂鬱

連休明けはいつも憂鬱

連休最後の日は決まって憂鬱になる。昨年10月の沖縄旅行明けの仕事の日も、正月休み明けも、そして10連休のゴールデンウイーク明けとなる今回も。

平日はいつまでも寝ていたいと思うけど(何なら在宅勤務の日は9時まで粘って寝ている日もあるが)、休日は朝5時、6時に目が覚める。体は正直だ。精神的なものと起床時間は結びついているように感じる。

以前、連休明け最後の夜に、あまりにも仕事の日々に戻りたくなかっ

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夜散歩

夜散歩

夫と夜散歩した。あたりは完全に暗闇となった夜9時ごろ、まだしっかりと寒く、ダウンジャケットが欠かせない。

満月に近い月がいた。辺りの雲まで明るく照らし、月の表面の凸凹が見えるほど、立体的で白に近い明るい月だった。

まずは近所の神社にお詣りする。細長く続く参道の両端に灯された灯りは、月の従者のようにまあるく、適切な距離で私たちの歩く先を照らしてくれた。

木々のざわざわ、虫の音があちらこちらから

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石垣島は最高だった

石垣島は最高だった

去年の秋、夫と石垣島に行ってきた。

最寄りの駅から出ている羽田空港への直通バスに乗る直前で、スマホがリュクサックの中に入っていないことに気が付いた。

あれ、ない……。バス停近くのトイレから夫が戻ってくるのを待つ間、できうる限りカバンに手を突っ込んでガサゴソ探したが、どこにもない。あらゆるポケットにも入っていない。

あちゃー。完全に家に忘れたわ。ギリギリまで充電しようと思ってベッドのコンセント

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中秋の名月

中秋の名月

中秋の名月を見た。のは、去年の9月30日のこと。

こんなに大きくて真ん丸の黄色いお月さまを見たのは生まれて初めてだった。

月というより、お月さま。

すべての星を隠してしまうくらいの存在感を放ち、空低く、煌々と輝き、どこまでもまっ黄色で荘厳なお月さま。

月が綺麗だから公園まで散歩しよう、と夫と夜散歩した。近所の公園の丘から見た満月をこの先忘れることはなさそう。

私たちと同じように、月を見に

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入道雲が恋しい

入道雲が恋しい

雲が大きいから、幸せだと思った。

夫と住み始めてから、幸せ感知度がバグっている。ベースがほかほか幸せだから、底冷えしないというか、嫌なことがあってもそれは上辺だけの嫌で、底は温かいままという感じ。

去年の8月散歩をしていたら、住宅街に大きな大きな入道雲がにょきにょきっと現れた。ワニが空に向かって吠えているように見えた。

生きていることにありがたみを感じた。

この雲を見た日から半年が経った。

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私たちの世界遺産

私たちの世界遺産

先日、同僚と帰宅しているとき、「自分の7つの世界遺産」というものを持っているのだと教えてくれた。たとえば、それは小さいときに祖父と通った銭湯だったり、恋人と行ったパリの小さなレストランだったりするそう。

他の人からするとなんでもないような場所でも、自分にとっては後世まで残っていてほしい特別な場所を、「自分の世界遺産」として認定しているそうだ。そしてそれは、7つ以上増えたら、入れ替え制となるらしい

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ここに証跡を残す

ここに証跡を残す

先日、学生時代の友達に赤ちゃんが生まれたので会いに行った。

彼女曰く、子どもができると夫のことをあまりかわいいとは思わなくなったらしい。あんなに夫のことが大好きだった友達がそう言うなんて、ちょっとびっくりした。

なんでも、子どもに比べて旦那さんの顔大きいなと思うそうな。

それは当たり前では!?と思う反面、いや待てよ、確かに赤ちゃんに比べたら夫の顔は大きいし、つるつるつやつや肌の赤ちゃんよりも

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おティー

おティー

お風呂上り、そうすることが日課のように、夫はキッチンにグラスに淹れたお茶をそっと置いてくれる。

バスルームで髪を乾かし終わると、「おティー、淹れたよ」の声が聞こえる。私たちはいつからか、お茶のことをおティーと呼んでいる。

風呂上がりの乾いた喉を冷たいお茶が通っていく。まるで、生きろ。と言われているように。夫にもお茶にもそんな意思はないと思うけど。それでも思うのだ、今日も夫は私を生かしてくれてい

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"Be"と"Do"

"Be"と"Do"

私は週3日在宅勤務をしている。夫は週5日出社している。私が在宅勤務の日は、洗濯までしかしていないけれど、まれに私が出社、夫が在宅勤務の日には、夫は早めに起きて洗濯プラス掃除機までかけてくれる。

こうした、ありがとう!の積み重ねが、これまでの好きの気持ちをじわじわと確実に熟成させ、揺るぎのない強固な気持ちを醸成させていく。

子供でもなく、元々家族でもない、最初は知らない者どうしだった私たち。もち

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ふたりでありひとり

ふたりでありひとり

歯磨きをしていると、リビングの方から「おわいのけいちゃん~、おわいのけい!♪」という歌が聞こえてきた。そう、私は夫に「おわいのけいちゃん」と呼ばれている。私の名前から二転三転……七転くらいした超変化形だ。特に私を呼びたかったわけでもなく、ただ「おわいのけいちゃん」の歌を一人で口ずさんでいただけだったそうだ。

こんなかわいらしい夫との日々が毎日しんしんと積もってゆくので、エピソードに事欠かない。

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会話の心地よさはどこから?

会話の心地よさはどこから?

夫と話すことはとても心地よい。

なんでこんなに心地よいのだろう?

まず、波長が合うから。

ん? 波長って何だろう。価値観が近いのか。性格が似たもの同士なのか。話す速度が同じなのか。総じると、まあ話していて楽しいってこと?

そして安心感があるから。

一緒に暮らしてもうすぐ丸四年を迎える。家庭内での会話のノリが一通りでき上っている。だから、こう話したらこう返ってくるだろうという言葉のキャッチ

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