見出し画像

「天気の子」というYOU&I VS. THE WORLD

銀杏BOYZを引用してこの映画を語りたい、というよりは、それこそ<数多の映画で語られ尽くした>なこのシチュエーションをギンギンな顔つきで2019年にぶちかましてくれた新海誠監督の気概を感じまくったことを伝えるべく「YOU&I VS. THE WORLD」を持ち出した次第。いやはや、本当にこの"世界なんか別に知らないから君さえいれば"という"セカイ"をハッピーエンドだと思えるような人間だから、恥の多い人生だったのだけど、新海誠はこっちを選ぶ僕らを抱きしめてくれましたよ!「君の名は。」の狂騒のすぐ後でね!

勿論「君の名は。」でもそういったセカイ系趣向はあったけれども、入れ替わりとか夢とかタイムリープとか色々要素がありすぎたと思っていて。故に色々言いたくなることも多かったけれど「天気の子」のストロングスタイルっぷりには何もケチつけようがない!だって基本的には、あの娘のことがめっちゃ好き、という少年のエネルギーだけで動いている物語だから。少女は悲運を辿る、その運命に逆らって少年は走る。ボーイミーツガールってこれでしょ!愛にできることはまだあるでしょ!っていう力強さが漲ってる。

大ヒットした前作を受けて、どういう方向に舵を切るのかな、とすごく興味あったのだけど、初期っぽいファンタジーSFなタッチに深く社会を接続させたような作りになっていて。空想だけでは辿り着けない感じ。汚れた都会、冷たい人々の描写のリアリティだったり、拳銃の存在が血生臭く生死の実感を伴わせていたり。社会現象となったその裏側にあった疲弊感や淀みが表出した、というのは流石に単純すぎるのだろうけど、そういう暗闇の中から何とか大切なものだけを掴み取ろうとするような切実さががとても良かった。

それと、今までより"大人になる”ことへの問いかけがめちゃくちゃ多くて。これも凄く、世間からに目線と対峙してるなぁと。終盤、天気の子・陽菜を救い出す手前で主人公・帆高と対になる形で行く手を阻もうとする須賀、この両者ともに監督自身が乗り移っていて。大人になるのか、そうしないのか、という最終局面において、「ワイの答えはこれや!」と言わんばかりに真っ直ぐに"君”を選ぶ描写に思わず立ち上がりそうになった。そこからの「グランドエスケープ」大爆発は詳しく語るまでもない。浴びろ、震えろ。

新海監督の過去作品で言うと、僕は2004年の「雲のむこう、約束の場所」が大好きなのだけど、今作にはそのエッセンスが残っていてとても性癖に刺さりました。やっぱりね、"空と繋がっている少女"っていう描写はさぁ、たまんねえよな。それが今回はエスパー少女ってもんだから、そりゃ最高に決まってる。しかもその声優が、森七菜ですから、最高の上乗せ。「3年A組」で話題になったけれど、その2年前に園子温が「TOKYO VAMPIRE HOTEL」で発掘した娘だから!こういう悲しい運命をたどる役はあまりにもぴったりで!

陽菜の能力は思いっきり「ウェザーリポート」だし、「グランドエスケープ」のシーンの最後に地球が大写しになったカットで、もしやジョジョ6部的な展開?と思ってしまったけどそうではなかった。もしも陽菜のスタンド能力が「ヘビーウェザー」になってしまったら全人類がカタツムリになっておしまいだったろうなぁ。実際の結末は4年前にテレ東で放送されてたおぎやはぎ×かもめんたる×ヨーロッパ企画という座組のコントゲーム番組「雨天中止ナイン」で既に予言されていたので、関連作品として要チェックです。

#日記 #コラム #エッセイ   #映画 #コンテンツ会議 #映画レビュー #映画感想 #備忘録 #note映画部 #映画鑑賞 #邦画 #映画の感想 #日本映画 #映画紹介 #映画メモ #映画日記 #映画備忘録 #映画評 #劇場アニメ #映画批評 #映画コラム #夏に見たい映画 #夏のオススメ #あの夏に乾杯 #アニメ感想   #アニメ #アニメ映画 #新海誠 #天気の子

この記事が参加している募集

コンテンツ会議

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?