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2023年上半期ベストアルバム トップ10

例年よりは遅れてしまったけれども、今年も上半期ベストnoteを書き上げることができた。良い歌モノとの出会いのきっかけになればこれ幸い。どのアルバムも、すごく優しい、というのは共通点かもしれない。心に寄り添うという作品が年々好きになっている。下半期も、音楽に抱えられていきたい。


10位 クラムボン添春編

蛙化現象という言葉がZ世代の流行語であり、しかもそれがYouTuberの動画を基に流行したと聞きゾッとする。そんなの現代版“呪いのビデオ”じゃないか。好きになった気持ちや誰かを思って春めく気分がそんな流行に惑わされていくのはいかがなものか。歪さも欠落も暖める、こういうポップソングが流行すればもっと愛しい世界が広がるのに!などと思ったりしてしまった。


9位 Galileo GalileiBee and The Whales

解散、再結成を経ての6thアルバム。尾崎雄貴のソングライティングはBBHFやwarbearでも堪能できるし、彼の紡ぐメロディは久しぶりではないが、「I Like you」のソフトなアレンジや「ファーザー」の詩はまさにガリレオの続世界。彼らは経年進化を遂げていくバンドだったと7年越しに答えが出た。ラストを飾る「あそぼ」で我々は確信する。あの日見た闇は晴れたのだと。


8位 ART-SCHOOLluminous

活動休止を挟んで5年ぶりの10thアルバム。同世代のバンドが活動20年を超え、シンプルな欲求に立ち帰ろうとする中、アートはアートのままでずっとい続ける。「Teardrop」にある《僕の事を消さないで どんな傷も消さないで》という言葉で苦しみを見つめ、成長し成熟することだけが生きる意味とは決してみなさず、道からはぐれた魂の居場所としてアートはあり続ける。


7位 NEE贅沢

気鋭バンドの2ndアルバム。より大きなフィールドを見据えつつ、どの曲にも特有の“乾き”と“渇き”があり、カオティックかつ暴力的なサウンドの中に諦念とハングリーさが混ざる。練り込まれているのに荒々しく鳴らされる衝動だけでは到達できないリッチな騒音。孤独を消費したり、傷跡に価値をつけることなく、芸術として放てるロックバンドの最前線ではないだろうか。



6位 PAS TASTAGOOD POP

ウ山あまね、Kabanagu、hirihiri、phritz、quoree、yuigotから成る合同プロジェクトの1stアルバム。破裂しそうなコラージュ・エレクトロでありつつ、タイトル通り本当に“グッドポップ”なのが最高だ。ちゃんと口ずさめる歌なのに今何が起きたんだ?!みたいな速度で置き去りにしてくる。全員がニコニコしながらぶん殴ってくるような快活なマッドさを生む才能の衝突だ。



5位 HomecomingsNew Neighbors

ひと息つきながら暮らしを見つめる素晴らしい歌たち。繰り返される“花束”のモチーフには誰かを想う愛しさとともに失うことへの眼差しもあり、どんな感情にも寄り添ってくれる。新アンセムの「US/アス」が象徴するような、“ひとりでもふたりでもない”という開かれた、しかし結ばれた信頼を歌う曲たちは現代の少年少女にこそ届いて欲しい。堕落と退廃だけに身と心を置かないでくれ。自分を守り、愛するためのヒントはここに沢山あるはず。



4位 ずっと真夜中でいいのに。沈香学

当代屈指のサイバーファンクバンドによる3rdアルバム。1音目から華やかすぎて笑うしかない。ひたすら気持ち良く、高揚感のツボを突き続けるアルバム。ゴージャスさとトリッキーさを折衷した編曲と言葉遊びに内省を隠した詩世界、この魔合体は混乱と狂騒の渦にリスナーを引きずりこむ。底抜けのポップさの陰にある、やりきれない夜に浸れる感傷のバランスも配合。ステージパフォーマンスのみならず、録音物として破格のクオリティへと到達。


3位 UNISON SQUARE GARDENNinth Peel

構築美を取っ払い1曲ごとに粒立て、新鮮な編曲の数々が豊かさを生むリラックスモード。そして過去イチ“何を歌ってるのか”が分かるアルバム。8枚分の鎧を剥ぎ、9枚目で素直で自由な人間味が露わになったというわけか。


2位 カネコアヤノタオルケットは穏やかな

疲れ冷え切った身体に染み渡る開放的な歌と歪んだギター。ノイズワークは安心と不安、変わりたい/変われないわたし、揺れるこころ(psykhē)をまるごと包み抱えてくれる。メンバーは変われど芯は変わらない、抜群の信頼度。



1位 スピッツひみつスタジオ

3年ぶりの17thアルバム。自分が音楽を好きになる前からずっとそこにいる存在すぎて、毎作「いいっすねー」と当たり前のように感じてきたが、本作は目を見開いて上半期ベストとして推したい。コロナ禍を経て、時代の移ろいを経て、繋がりはより濃く、生き様はより鋭く。ロックバンドとして安い反骨ではなく、この世界に向け何を投げかけるかを磨き続けるその姿。ブレない提言と意欲的なアイデアに満ちた、何枚目かのブレイスクルー作だ。


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