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11月の色々(椎名林檎/千鳥/ハード・コア/PUFFY×OKAMOTO’S/indigo la End/フレンズ/折坂悠太)

11/4 折坂悠太 インストアイベント @ タワーレコード福岡パルコ店 

アルバム「平成」のリリースを記念してのイベント。ツイッター上などでも大絶賛されてた作品で。とにかく歌声が強烈。まだまだこんな聴いたことない歌声を発する人がいるのか、と。生で観ると、その歌い方がよく分かる。ゴロゴロと猫が喉を鳴らすような発声は、とてもユニークで野性的だった。メロディラインは唱歌のようで、穏やかだがどこか不気味な風味もある。それでいて「平成」というテーマでアルバム1枚を歌いきる時代との共振力。懐かしさと最先端がぶつかり合うようなライブだった。最後は、観客がもっと熱気を求めていたのか急遽変更になり、前作から「芍薬」が披露された。この凄まじい咆哮。久々に、異物感満載のアコースティックライブだった。

11/11 フレンズ〜コン・パーチ! Release Tour〜 シチュエーション・コメディ season3@福岡BEAT STATION

フェスや対バンでは3回ほど観てたけど、ようやく待望のワンマンライブ。全編に渡り、8月に出たアルバム『コン・パーチ!』のバラエティ豊かな楽曲の魅力を押し広げる、とても真っ当なライブだった。だから、「またねFOREVER」ではバービーボーイズよろしくセンターにひろせとえみそんがスタンドマイクで立ち、互いに歌を交わし合ったし、「ベッドサイドミュージック」ではキラキラとミラーボールが回った。そして、「元気D.C.T~憧れのマチュピチュ~」では、10分に渡りコントも披露した。彼らのワンマンはスラップスティックなシチュエーション・コメディなのだ。メンバー5人が己のショーマンシップを炸裂させる場なのだ。

あと、このバンドの良さというのは日常感なのだと思った。MCではどうかしてるくらい他愛もない話が、観客がいることも忘れて展開される。そして、前日メンバー全員で観に行った「ボヘミアン・ラプソディ」の影響を受けまくり、煽りや演奏中のキメ、ひろせに至ってはフレディ・マーキュリーをモチーフに「エンタの神様」的なネタを試験的に行っていた。ノリでその日のライブが決定づけられていたのだ。そんな日常感はそもそも曲にも強く宿る。友達同士でゆるい雰囲気の中デュエットする、そこで何だか気が合ったような感じがする。そういう、ちょっとしたワクワク感をバンドごと体現しているような。フレンズって素敵なバンド名だ。

11/16 indigo la End 全国ワンマンツアー「1988」@福岡DRUM LOGOS

長らく好きだったけどワンマンには初めて行った。作品ごとにどんどんディープになっていく音楽性、こちらがついていくのを絶対に待たない制作意欲は今の日本のバンドでNo.1なのでは。ライブという場においてもサイケデリックで緊張感たっぷり、享楽性とは距離を置いた異様な空間を生み出していた。グネグネとうねるリズムは無茶苦茶に踊れるんだけど、それでもハッピー!とかいぇーい!みたいな気持ちは皆無。川谷絵音がハンドマイクを持ち、流麗な歌を披露するブロックもあったが、明確に歌へとフォーカスする以上に、夢惑うような心地にさせられたのが印象的だった。

何よりはっとさせられたのは後半。メジャーデビューして1、2年ほどの楽曲が立て続けに披露されたのだが、さっきまでのバンドはどこに行ったのかと思わせるような、爽快なギターロックを奏でていた。思い返せば、インディゴの最初期はこういう姿だったではないかと、たまらなく懐かしい気持ちにさせられた。常に変幻自在なグルーヴは、過去の楽曲をもより洗練された形で聴かせてくれた。そんな爽やかな余韻をよそに、アンコールのラストは「Unpublish Manuscript」で、とてつもない轟音を響き渡らせて終了。どこまでも独自の美しさを追求しているバンドだ、と感嘆した。

11/21 PUFFY「謎にツーマンシリーズ~九州編~」@福岡DRUM Be-1(ゲスト:OKAMOTO'S) 
ほんとに謎に、突然開催が発表された対バンツアー。PUFFYバンドでもギターを務めるオカモトコウキは2時間出ずっぱり。彼の誕生日が近かったこともあり、オカモトコウキのためのライブだったような。先攻のOKAMOTO'S、余分なものを一切乗っけず、研ぎ澄ませたフィジカルと技術でぶっ叩くみたいなタイトなライブだった。ラストを飾った「90'S TOKYO BOYS」、イントロでかっこよくなることが約束されてる、みたいなほんとにすごい曲。アンセムに仕上がってた。

PUFFYはヒットソングの受け入れられっぷりもさることながら、後半の「Bring it on」「誰かが」「赤いブランコ」のエモーショナルでパンキッシュな流れは凄まじかった。ロック歌手としての真価を観た。アンコールでは、OKAMOTO'S全員とのコラボで「渚にまつわるエトセトラ」を。コウキはセンターでギターを弾きまくり、ハマくんはいつになくぴょんぴょんと跳ね、ショウはパーカッションを叩きまくり、レイジはギターを当て振りした。普段とは違う姿も、事務所の先輩後輩という関係性ゆえか。このお祭りの続きは、12/7の「SMAのド自慢」で、かな。Zepp福岡が返ってくる。

11/25 ハード・コア 
「山田孝之の東京都北区赤羽」「山田孝之のカンヌ映画祭」、頭のおかしいフェイクドキュメンタリー作品を生み出してきた山下敦弘監督×山田孝之という座組。「山田孝之3D」という信じられない駄作の後だったのでとても不安だったけど、観たいのはコレだよ、、、と歓喜する素晴らしい映画だった。うまく生きられないハードボイルドな男の日常に高性能のロボットが突然現れて、という設定を泥臭さと辛みで乗りこなし、何とも知れぬ結末へと向かっていく。「間違ってること間違ってるって言って何が悪いんだよ」という言葉、情けなくもどうしようもなく刺さった。しんどい世の中。

それでも「俺は感動したぞ!」というセリフがクライマックスに登場する。人生ってそういうことなんだ、と思う。それを言いたくて生きてるんだ、と心に決まった。アジカンのゴッチが歌詞を綴った、Ovallの「なだからな夜 feat.Gotch」という曲がエンディングテーマに流れる。映画の外側で生きる我々の心を救い出す曲だった。「チューしたいな チューだけはしたいな」と歌い終わるこの曲が、人間の持つ根源的な悲しみと、やさしさへの願いみたいなのを明快に示してくれてるように思う。ちょっと泣いちゃった。

11/29 千鳥の大漫才2018@博多座
いつの間にやら大ブレイク芸人となっていた千鳥。1400人キャパの博多座を即完。もちろん取り逃がしてたんですが、何とか譲ってもらえて見ることができた。

前半は15分の漫才を4本と幕間VTR4本。漫才は相変わらず、どう発想すればこの展開に辿り着くのか、恐怖を感じるほどの突飛さ。これほどまでに独自の言語感覚が濃いやり取りがウケまくってる状況、俯瞰で観ると本当に狂気的だと思った。宗教じみたサファリパークのネタがとても良かった。テレビではたぶんやるのは難しいんだろうなぁ、とても恐ろしいネタだった。

そして後半には、大衆演劇のフリをしたバキバキにエッジーなロングコント「大悟道(拳)」が。ダイアン、天津木村と、交流の深い芸人が客演かと思いきや、突然の吉岡里帆の登場に身を乗り出してしまった笑。いやほんとにね、おじさんたちのお笑いを観に来た場所で、こんな暴力的に可愛い女優が出てくると、時空が歪んだみたいなヘンな気分になってしまった。その後も、渡辺直美、三四郎、城田優(!)が登場し、各々のガチをぶつけて、それをほとんど無駄にしながら、めちゃくちゃくだらない芝居を作っていって。そこに、ノブのツッコミが副音声のように加わり、更なる笑いを生み出していくという、終わらない爆笑の波。呼吸できなくなった。

全編に渡って大笑いして博多座を後にしましたが、吉岡里帆が着物姿でへたくそに踊ったエンディングの「恋するフォーチュンクッキー」の可愛さに対しての余韻が強い!全部に勝ってしまった!優勝・吉岡里帆!

**11/30 椎名林檎「(生)林檎博‘18-不惑の余裕-」@マリンメッセ福岡 **

こちらもプレミアムチケット。椎名林檎のライブ自体初めて観に行ったわけだけど、お客さんを観てるだけでも楽しかった。お着物で来るのがしっくりくるポップスアーティストのコンサートというのも稀有な気が。EXPOモチーフの宇宙めいた演出、理解が追いつく間もなく次から次に展開していくスピード感、凄まじかった。きっちり2時間、久々にあっという間だな、という感覚に。

内容は、ヒットパレードというよりは、ディスコグラフィーの隅々まで手が届くような選曲。Mummy-Dが椎名林檎登場よりも先に登場してラップかましたり、長岡亮介a.k.a浮雲が「東京は夜の7時」をフルコーラスで歌ったり、映像出演なのに物凄い圧で迫ってくる宮本浩次との「獣ゆく細道」の後で、マジモンのトータス松本が出てきての「目抜き通り」など、ゲストの配置も絶妙。まるで大晦日みたいなお祭り騒ぎだった。

あらゆるカルチャーとの交差点であり続けている椎名林檎、日本でエンタメ好きである以上は避けて通れない存在。その立ち位置を20数年引き受けてきた矜持は計り知れない。実娘によるナレーションを挟んでの「カーネーション」「ありきたりな女」という流れとか、皆まで言わずとも伝う強い意志。「人生は夢だらけ」とも歌っている通り、彼女はその生き様をそのままショーアップしてマブいまま居続けている。僕が物心ついた時から、一度たりともダサかった瞬間がない。。きっと、いずれ伝記が出る。映画とか朝ドラでモデルになって語り継がれる偉人だと思う。40歳、おめでとうございました!この人が関わるなら、セレモニーだけなら東京オリンピック観ちゃおうかな!

11月はラスト3日で遅すぎる夏休みを取った。千鳥と椎名林檎のライブに万全の状態で臨むための休暇。夏休み取るって言うと、みんなどっか行くのと聞いてくるから、予定を話すんだけど、いやそういうことでなく、みたいな感じなのが不思議だ。みんながみんな長期休暇で遠出の旅行するわけじゃないっつーの!ほんとに、人の物差しって分からないな~、と。

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