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読書記録

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ジャンル問わず。読んだ本の記録、紹介。
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#仏教

宗教は現代人を救えるか~読書記録386~

宗教は現代人を救えるか~読書記録386~

2020年 花園大学教授で浄土真宗僧侶の佐々木閑(しずか)氏、同志社大学教授でプロテスタント牧師の小原克博氏による対談集。

宗教は人々の心の中に存在する。
そして、政治・社会・経済に多大な影響を与えてきた。
いま、テクノロジーが人間の思考を規定しかねないほどIT社会が発達しつつあり、環境問題など喫緊の課題も取り沙汰されるなかで、仏教とキリスト教という二大宗教の教義と歴史、これを信じる人々の思考を

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仏教入門~読書記録367~

仏教入門~読書記録367~

仏教入門 南直哉 2019年

普通「仏教入門」と言えば、広汎にして複雑な仏教の思想・実践の体系、そしてその変遷の歴史などを、要領よく整理して大方の便宜に供する、という書物になるだろう。
ということを十分承知の上で、今私が提出しようとしているのは、著しく個人的見解に着色され、偏向極まりない視点から書かれた入門書である。
私はこれまで、仏教の思想や実践について、何冊かの本で自らの解釈を述べてきてはい

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小さないじわるを消すだけで~読書記録347~

小さないじわるを消すだけで~読書記録347~

小さないじわるを消すだけで  ダライ・ラマ14世/よしもと ばなな  2014年

2013年、京都精華大学生主催で行われた対談講演「世界を自由にするための方法~宗教家と芸術家の観点から」をまとめ、加筆・修正したもの。

生きにくさや孤独は、手放せる。“ノーベル平和賞受賞の宗教家”と“人々の心を癒し続ける小説家”による、決定的人生論。穏やかな心で良い人生を生きるための希望に満ちた金言集。

安らか

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お坊さんが隠すお寺の話 村井幸三~読書記録335~

お坊さんが隠すお寺の話 村井幸三~読書記録335~

2010年 仏教研究家の村井幸三氏による著書。

日本人から信心が失われて久しい。それでもお寺は、「葬式仏教」を頼みに、かろうじて生き延びてきた。しかし、法外なお布施や戒名料ばかりを要求する一部住職に、檀家さんの我慢は限界寸前。結果、仏教に頼らない葬儀が急増、さらに過疎化や後継者難の影響もあって、地方の末寺は崩壊の危機に……。自業自得の日本仏教に、再生の道はあるのか。お坊さんが黙して語らない、それ

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寺よ、変われ~読書記録329~

寺よ、変われ~読書記録329~

2009年当時、長野県松本市・臨済宗妙心寺派神宮寺住職であった高橋卓志僧侶による著書。

日本の寺は、いまや死にかけている。形骸化した葬儀・法事のあり方を改めるだけでなく、さまざまな「苦」を抱えて生きる人々を支える拠点となるべきではないか。「いのち」と向き合って幅広い社会活動や文化行事を重ね、地域の高齢者福祉の場づくりにも努めてきた僧侶が、その実践を語り、コンビニの倍、八万余もある寺の変革を訴える

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日本人に「宗教」は要らない~読書記録290~

日本人に「宗教」は要らない~読書記録290~

2014年にドイツ人で元キリスト教徒、曹洞宗住職のネルケ無方によって書かれた。

ドイツ人住職が教える「日本人の宗教観」の凄さ!
世界一宗教にこだわりがないと言われる日本。
他国と比較して、果たしてそんなに異常なのだろうか……?
日本には宗教間の対立がほとんどない。日本人同士は宗教のことでいっさい喧嘩をしない。
仏教と神道が争うことはない。いまの日本人はキリスト教を否定しない。
西洋人が日本人から

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仏教の冷たさキリスト教の危うさ~読書記録283~

仏教の冷たさキリスト教の危うさ~読書記録283~

2016年、ドイツ人曹洞宗の僧侶によって書かれた本だ。

一神教はなぜ争うのか?
「悟り」「執着」とは何か?
ドイツ人禅僧が教える、日本人のための宗教原論。
「家族を捨て、悟りを開いたブッダは、実は冷たい人だったのではないか?」
「愛を説くキリスト教徒は、なぜ戦争ばかりしているのか?」
この、多くの日本人が持つ“疑問"に対して、ドイツ人禅僧である著者が「仏教」と「キリスト教」を対比させながらひとつ

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浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか~読書記録270~

浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか~読書記録270~

宗教学者の島田裕巳先生が2012年に書かれた著書である。

本のタイトルからして、浄土真宗について深掘りしているのかと思ったら、全く違った。
6世紀からの日本の仏教諸宗派についての説明であった。
そこは大変詳しいので敬服したい。

日本の仏教は、主に遣唐使で有名なように、優秀な人間が中国に学びに行き、中国のものを伝えたのだとされている。
だが、その中でも日本式に変えられていった。
それが、本寺垂迹

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宗教を物語でほどく 島薗進~読書記録253~

宗教を物語でほどく 島薗進~読書記録253~

2016年、宗教学者で、東京大学名誉教授、上智大学教授の島薗進先生による著書。

国内外の文学作品を独自の、宗教学者としての目線で語られている。

アンデルセン、宮沢賢治のように、熱心なキリスト教徒、仏教徒の立場で童話を書いている場合もあるが、中には(特に日本人の場合)、本人は宗教観というものはなく、普通に書いているのだが、視点を変えると宗教的である
とか、ちょっとした教訓であったりと。捉え方が実

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善人のやめ方 ひろさちや~読書記録225~

善人のやめ方 ひろさちや~読書記録225~

2014年発行。宗教哲学者の、ひろさちや先生の著書。
架空の人物との対談方式で組み立てられている。

一言で言うなれば、自分を第一に!だろう。
世間体、経済、会社や仕事などに一番にしている日本人のなんと多いことか。

「人生の危機」。よく聞く言葉でもある。会社をリストラされた。明日からどうしよう。などという時に、「人生の危機」と言う人は多い。
「人生の危機」とは、自分が何のために生きているかわから

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気にしない練習~読書記録205~

気にしない練習~読書記録205~

東京都江戸川区にある真言宗豊山派の寺の住職・名取芳彦(ほうげん)師によって書かれたエッセイ。

名取住職の事を知ったのは、つい最近だ。
10月に実家に行き、実家に菩提寺より送られてくる会報に毎回コラムが書かれているのだ。

このように見開きで、非常にわかりやすく心穏やかになるものである。
それで、興味を抱き、他の本をと探したのが、こちらになる。

私たちは人生の多くの場面で、一部を心に焼き付けてい

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