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#約束

白い月の光 《詩》

白い月の光 《詩》

「白い月の光」

夜明け前の白い月に 

僕達ふたりの

それぞれが抱える
事柄の差異が映し出される

その白い月は夜空の端っこで

暗示的な光を微かに放つ

僕は迷いの中で朝を迎える

其れは圧倒的な混乱とは違う 

確信のある答えが
欲しかっただけなんだ

彼女は時計を見つめている

その針は宿命的な時を示す

僕は彼女の背中をそっと
指先で撫で

君は静かにうなずいた

所有し所有される事の

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春の風 《詩》

春の風 《詩》

「春の風」

行き場を失くした

憧憬と忘れられない約束

夢の中に見た言葉にならない気持ち

時間は記憶の中で絡まり合う

僕等の心に刻印された時は

決して消える事は無い

泣きたいのに無理して微笑む君の顔

愛とか希望とかそんな言葉より 
君に逢いたい

心の空にある虹の欠片に触れた

春の風 

君の匂いがした

十字星 《詩》

十字星 《詩》

「十字星」

些細な事で不安になって 

背中合わせの夢を見る

こんなに近くに居るのに

白い月明かりが
映し出した僕の苛立ち 

夜明けの足音 

クーペのルーフに 

指先で書いた別れ言葉

多分 ジェラシー 
タキシード色の夜

心配は要らないよ そう囁いた

首筋の髪を掻き上げる仕草

言葉とは裏腹なその唇

きっと気まぐれ 

夜空に浮かんだ十字星

約束ね 約束だよ 

愛されていた

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麗しの光 《詩》

麗しの光 《詩》

君の面影 瞳を閉じて

流れる静かに時ゆらら

刹那の美貌その横顔 

麗しの光 
僕を包み込む

小さな蕾が風に揺れ

僕の血は透き通ってゆく

空を映し太陽を映した瞳の色彩

優しく輝く星を見た

永遠の約束 
交わした言葉

君の詩が幸せを呼ぶ

星影 《詩》

星影 《詩》

「星影」

風と月 

目覚めた華は夜に舞う

瞳に灯した消えない光

星影降る夜に耳を澄ませば

君の扉が開く音が聞こえる

僕等の約束は永遠となり

月は囁き 

風は詠う

たとえ命に限りがあるとしても

白い羽根 《詩》

白い羽根 《詩》

「白い羽根」

どんな僕が君の瞳に映っていますか

大切な時を大切な君と

手を繋いだ約束 嘘じゃない

何も言わずに僕の傍で

伝えたい時 会いたい時

目に映る景色 
想う全てが君色に変わる

紙とペンを持って

君の為の詩を書いている

ふたりだけに見える
丘の向こうに

白く綺麗な羽根が
舞っている見えるかい

目が合って微笑んだ

少し背伸びして僕に触れた

小さな吐息 近づいて

この

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小さな約束 《詩》

小さな約束 《詩》

「小さな約束」

蝶の鱗粉が舞う 

時折吹く海からの風が
丘の斜面を駆け上がり
小さな花を揺らした

沢山の香り 

沢山の哀しみと夢 

沢山の微笑みと涙 

沢山の温もり

沢山の約束が消えて行った

振り返ると大きな木が
あの日と同じ様に立っている

地面に根を下ろして 

時の流れなど無い様に

僕はまた 何処までも歩き続けた

消えた約束を独り抱きしめて

あの時の想いも
運を運ぶ言葉

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狂った旋律 《詩》

狂った旋律 《詩》

「狂った旋律」

蒼ざめた闇に浮かぶ消えそうな月

募る不安を掻き消す様に書き殴る

氷の様に冷たいガラスの雑踏

狂った旋律 
また誰かが泣いている

僕等はただひとつの
夜と夢を探してる

必ず守るさ 最後の約束

未来も過去も全て抱きしめて

この手を離さないで 
お願いだから

此処に居る 《詩》

此処に居る 《詩》

「此処に居る」

別に綺麗じゃ無くてもいい

汚れていたって
欠落していたって構わない

吠え続ける獅子の叫び

止まない蝉時雨 
過去の残像

音を消し去り色彩を失くした世界

約束するよ 必ず守る

静寂の中の迷子

欲しいものはただひとつ

僕はいつまでも此処に居る 

君の直ぐ傍に

Photo : Seiji Arita

天空からの使者 《詩》

天空からの使者 《詩》

「天空からの使者」

春を待ち侘びる白き蝶

天空からの使者

死と再生を繰り返す

君に伝えたい言葉

僕は 
いつか堕ちるはずの空の下

いつか割れるはずの海の前

独り立ち尽くす

蝶の羽音が知らせた
忘れかけていた約束

世界がどうであれ花は咲き

雨の後には虹が出る

Photo : Seiji Arita

愛しい人 《詩》

愛しい人 《詩》

「愛しい人」

夜にはぐれた小さな星が
突然の別れを見下ろした

彷徨う想いが堰を切り言葉に変わる

想いを宿した言葉が文字になり
詩になった時

一筋の涙が頬を伝う

君の望む場所に僕は居ない

遠く離れてしまえば
君は僕を忘れるだろう

もう行くよ 

言えなかった さよなら

夢見た場所へ僕は行くよ 

約束の場所へ

君が何処に居てもわかるくらい
輝いてみせるから

愛しい人 幸せに

P

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此処に 《詩》

此処に 《詩》

「此処に」

放り出された街

人並みに飲まれ途方に暮れる

手を離さない
最後の約束

僕は此処にいる
見えないの

細く繋ぐ蜘蛛の糸
輝く雫は君の涙

ずっと此処に

君の傍に

Photo : Miho

周回遅れ 《詩》

周回遅れ 《詩》

「周回遅れ」

溢れて流した涙が風に飛ぶ

息切らして走り抜く
ただ前だけ見つめて

勝ちたきゃ走れよ
周回遅れ

野次飛ぶ道のり
大穴のウスノロ

あの娘はそれでもお前を見てる

勝ち名乗り上げる約束
それだけあればお前はやれる

きっと明日は輝くさ

Photo : Free Pic

引き潮 《詩》

引き潮 《詩》

「引き潮」

ペリエ片手に砂浜を裸足で歩いた

白いヨットが風に帆を膨らませ
沖に出て行く

波が煌めき風が吹く

募る想い 言えないままの言葉

君の左手の指に僕は静かに瞳を閉じた

引き潮がさらっていく遠い約束

ふたりの足跡だけを残して

Photo : Free Pic