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青葉
2024年5月2日 22:35
午後の光というのは、どこか穏やかなようでいて情熱を秘めていたりするので、なんとも好ましいなあと思う。桜が散ったあとの季節の太陽の光は、春にしてはやや強すぎて、夏というにはまだまだ未熟だけれど、私にはちょうどいい。やさしくてほがらかでさわやかで。風がぬるくて気持ちがいい。木かげがひんやりしていて気持ちいい。大体、季節というものは総じてたちが悪い。季節は私の手をとって巧みにエスコートし、心底楽
2023年12月20日 18:58
土曜日じゃないのに土曜日とタイトルをつけた。そして夏じゃないのに、夏に撮った写真を使うことにした。そうでもしないと、やってられない気分なのだ。冬のつめたい風に負けてしまいそうなのだ。たとえば非常階段の3階に立ち、爆音で音楽を聴きながら雨交じりの風に吹かれても、この気持ちはどうにもならない。胸の中へ押し込むことも、逆に追い出すこともできない。だったら、書くしかないではないか。***とびき
2023年11月11日 21:12
季節が少しずつ冬に近づいている。風が強くつめたくなり、昼は短く、代わりに夜が長くなり、太陽が私を照らしていてくれる時間がどんどん減って、それが頭を抱えたいほど憂鬱だというのに、月は空が凍てつくにつれて美しくなっていくのね。なぜなんだろう。ここ最近、ふとした瞬間に言いようのない、苛立つような、哀しいような、焦るような、そういう気持ちが私を満たして、それにすぐ応じてしまう自分がすこし憎い。
2023年9月25日 22:10
いつもどんなに明るく、楽しく、朗らかに生きているように見えるひとにも、ひとりでは抱えきれないほどのかなしみや、ふとした瞬間におそいくる痛烈な孤独の時間があって、私たちは胸のどこかでそのことを分かっていなくてはならないと思う。そのひとの本当の部分は、いま見えているところだけではない。私たちは他者に打ち明けたくない心をうまく隠したり、見せないでいたりすることができる。だから私たちは誰かの表面を
2023年6月14日 23:06
勝手に誰かや何かに期待して、それが叶えられなくて裏切られた気になって、それってまるでばかみたい、とたまに思う。私たち、期待せずにはいられないのかなあ。期待してるからこそ苦しいんだよね。絶対に裏切られないことがわかっている期待ならいいけど、それは期待ではなくて確信だし、だとすると期待って、裏切られることがあるからこそ期待なんだよ。だから苦しみを伴っている。私は普段あまり要領がよくないし、
2023年2月16日 22:18
好きな音楽の話をしようと試みるとき、どうもことばを連ねるだけでは表現し得ないことがあって記事を書くのをやめた経験が何度もあるけど、それが一体なぜなのかはいつも曖昧なままだった。好きな小説を紹介するのと同じように音楽についても紹介すればいいのに、それはいつもなんともいえないもやもやによって阻まれてきた。しかしそれがなぜなのか、最近ようやくわかった。音楽とは聴覚に依拠するものだからだ。た
2023年2月9日 09:33
私は男の子というものが好きだ。おもしろいいきものだと思っている。しかしそれに負けないくらい女の子が好きだ。話すのには男の子がおもしろいなあと思う。私には男兄弟がいないから、同年代くらいの男の子がずっと不思議でならない、ということもあるかもしれない。何を考えているのか、何を感じているのか知るのはおもしろい。一対一でも気兼ねなく男の子と話すことができる方だし、なんだろう、男の子は女の子に
2022年10月9日 19:04
天気予報を見ていると、ときどき、天気予報士の方が「明日は穏やかに晴れるでしょう」と言っているのを聞くことがある。その度に、なんと優しい言葉なんだろうと思う。穏やかに晴れるではなく、晴れるでしょう。しかも明日。あしたではなく、あす。すぐそこまでやってきていて、今にも窓を叩こうとしている未来が、優しく私を待ち受けてくれていることを感じられるような、そんな言い回し。まるでおまじないみたい。
2022年8月16日 23:37
「さびしい」という気持ちにはたくさんの種類があって、水のようになめらかかと思えば少し冷たかったり、火のように明るいと思えばじりじり胸を焦がしたりする。きっとその感情の些細なちがいは夕やけ空のようにグラデーションになっているから、たくさんの種類を集めていけばさびしさの色見本帳が完成するかもしれない。それはそれでたいそううつくしいだろうけれど、でもやっぱりよろこびの感情でその色見本帳を作りたい
2022年7月24日 21:08
私はプールがきらいな子どもだった。みんなは6月から始まるプールの授業をとても楽しみにしていたけど、私はいやでいやで仕方なかった。私はとても痩せっぽちの女の子だったので、晴れの日はともかく、雨の日のプールの低い水温にはとても耐えられず、いつも唇を紫色にしてぶるぶる震えながら水に入っている小学生だった。友達に「大丈夫?」と心配されて「うん」と返しはするけれど、実は寒くてたまらず、しれっと親友の女の