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ドイツのダイバーシティ事情



著作紹介
2000年代の初めにドイツ現地企業での労働を経験し、多様性を重視した働き方が日本に変革をもたらすと考えてきた著者が、ドイツに本社を置く独外資系企業の日本支社に入社し、多国籍企業ではあるものの各国の労働慣習を尊重することから日本的習慣が多く残存している現状を鑑み、ドイツ本社への出向を機にドイツのダイバーシティを広く知ってもらうことで日本人の多様性に対する意識が向上するのではと考え社内ネットにブログを開設。本編はその内容から特有の記述を除き、社会一般の話題について一冊にまとめたものである。2016年から2017年にかけてのブログであるため内容に若干の時差があるのはご容赦願いたい。


はじめに


こんにちは。グリュースゴット!
唐突ではありますが、これからドイツのダイバーシティについてレポートしていきたいと思います。
基本は、「ドイツニュースダイジェスト」や「デュッセルネット」などのニュース・情報サイトをご参考頂くとして、もっとローカルな、ドイツで実際の従業員がどのように会社の仕事とプライベートを両立しているか、ドイツと日本の日常の違いなどについて、視点を重箱の隅から広げていければと思っています。

あまり気張らずに、「あ、海外ってこんな感じなんだ」程度に、気軽にお読みいただければ幸いです。
誹謗、中傷、拡散、炎上どんとこいです。お手柔らかに。

それでは!

* グリュースゴット:
ドイツ南地方で交わされる日中の挨拶。グーテンタークを「こんにちは」と訳すならば、さしずめ、「もうかりまっか」という感じ。もっといいイメージがあればご連絡ください。


Coffee Break:ドイツ人とトルコ人


本篇へ入る前ですが、何回かの間にちょっと気づいたことをこの場を借りて紹介したいと思います。
もう10年ほど前になりますが、ドイツで妻が子供を産んだときの話です。
 
ドイツでも子供を生む際に自分で病院を選びます。ただ、産むときは設備の整った大病院、普段の診察はかかりつけ医ということだったので、産むためだけの病院選びでした。私たちは自宅から一番近い、マリア病院というキリスト教の国において最もガチな名前の病院で産むことにしました。病院も患者の獲得に積極的で、無痛分娩やら、水中分娩やら、色々説明してくれましたが結局通常分娩にしました。「生まれそうになったら、来てよ」というかなりラフな感じで心配でしたが実際ちゃんと対応してくれました。
 
産後すぐ、妻が同室になったのはドイツ人のお母さんでした。
ドイツ人にしては小柄なこの方はとても神経質で、妻が持ち込んだ時計がうるさくて眠れないと言うほどでした。共働きのようで、実際旦那さんは最後の日に荷物を運びに来ただけで一切姿を見せませんでした。このお母さんと赤ちゃんは一週間で退院しました。事務的にてきぱきと用事をこなし、典型的なドイツ人女性という感じだった、と妻が言っていました。
私たちの子供はアジア人だからなのかどうかわかりませんが、黄疸がでているといわれ2週間入院させられました。
 
次に同室になったのはトルコ人のお母さんでした。ご存知だと思いますが、トルコ人の方は殆どがイスラム教徒で、この方もそうでした。
体格が良い大柄なお母さんで、既に二人お子さんがいるにもかかわらず、本当に嬉しそうにいつもニコニコしていました。そして驚いたことに何故か毎日病室にお祝いの花束が届けられ、しまいには病室がまるでスターの控え部屋のようになってしまいました。また毎日知り合いの家族が押し寄せ、多い時には10人以上来ておしゃべりをするので、看護婦さんが怒って「赤ちゃんが眠れないじゃないの!」と言うほどでした。それでも彼女はいつもニコニコしていました。
唯一彼女が真顔になるのは、ドイツ人を批判するときでした。「豚肉食べられないって言っているのに、毎日昼にソーセージが出るのよ。酷くない?」ドイツでは入院する際、宗教上の理由で食べられないものを申請します。申請してあるのに、ちゃんと出てこないというわけです。
旦那さんはこのお母さんより小柄で、さらに輪をかけたように優そうでいつもすまなそうに部屋に入ってきては私たちに気を使っていました。
 
私たちはこのとき、自分たちのイメージしていたイスラム教の方々と全く違うことに驚きました。そして、ドイツ人とトルコ人の生活、どちらがいったい本当の幸せなのか考えてしまいました。
次第にトルコ人のお母さんと仲良くなり、話をしていく中で次のような質問をされました。
「ドイツ人の女性は、ディスコ(クラブ)に行ったり、お酒を飲んだりしてだらしないけど、日本の女性はそんなことしないんでしょ?」妻はそのとき、すぐに答えられず困ったそうです。そして、「昔はそうだったけど、今はディスコにも行くし、お酒も飲むよ」と言ったそうです。「え、そうなの。」とちょっと驚いたように答えたトルコ人女性の顔が、一瞬寂しそうに見えたのがとても印象的だったとのことです。
 
それでは、また!


ドイツのダイバーシティ その1:子育てと異文化

 
こんにちは。
今でこそ国民全体が(?)国際社会を意識する時代になりましたが30年前の1900年代後半は本当に、外国人とは自分たちと違う生き物のような感覚があったように思います。TVに映る外国人モデルの方や、オムツの包装に描かれている外国人の赤ちゃんは同じ地球上の存在か、、、と言う感じです(私だけ?)。異文化のとまどいをネタにする「ダーリンは外国人」や、国の擬人化「ヘタリア」などが各世代に受け入れられ、ここへきてダイバーシティの取り組みを国全体で推進していく。やっと、下地が整ったのでは?と感じます。
 
さて、異文化の最大の体現者といえば国際結婚された方でしょう。先日マサイ族に嫁いだ日本人女性の記事がありましたが(正直、ここまできたかと思いましたが)、今から約30年前に、実際の日独カップルが子育ての観点から異文化の違いを体現、書かれた本があります。今から考えると「ダーリンは外国人」の男性版みたいな感じでした。ただ当時育児書と言えば医者の書いた本ぐらいだったので、とにかく画期的な本だったように記憶しています。
「異文化激突!ドイツ式子育て法」熊本出版 中島博之著 0137-1459-0098
これはドイツ人の妻を持つ日本人男性が書いた本で、ドイツ人の子育てを通して現代日本の子育ての常識を問うというものでした。実際に二人の女の子を育てながら、子供の反応を見ながら、物語が進行していくので説得力があり、また日本の育児書によくある「~しましょう」式の口調ではなく「~ではないでしょうか」と、説明を加えた上で読者に理解を求めているのが特徴的でした。
一端を紹介いたしますと、
1) 授乳時に夫婦の会話は慎む
2) 幼児語は親の禁句
3) 8ヶ月過ぎたら子供は独りで寝かせる
などです。1)は授乳中に著者がドイツ人の妻に話しかけようとしたところ、「シー、終わるまで待って」といわれ、その理由を聞くと、「赤ちゃんが全神経を集中させているときに、親も神経を集中していないと赤ちゃんが安心して飲むことができない」と答えたとの事。授乳は、お喋りしたり、TVを視ながらでもできるが、それでは親子の絆は深くならないと結んでいます。そのため、彼らの授乳時間は他の赤ちゃんに比べ1から2割程度短かったとのこと。また、幼児語は子供に言葉を覚えさせるときに子供にとって2度手間になるので親が率先して使ってはいけない。など(この辺は、合理主義ドイツと言う感がありますが)考えさせる内容でした。
 
このお母さんは南ドイツ出身の森林官の娘として生まれとても厳格な家庭で育ったそうです。またお父さんは北海道のNTT職員で、ふたリは音楽を通じて知り合ったとのことですが、毎日が衝突の連続で読んでいてハラハラする場面もありました。ただ最後は、「親が子を想い、自分自身の力で幸せに、生きていけるように願う気持ちは世界共通」ということが理解できました。
本の中では、「近年子供に関する情緒欠落的な非行の仕方やいじめ、犯罪がクローズアップされているが、幼児期のそうした親との精神的なつながりを重視した育児が軽視されているからではないか」と述べられており、まさに時代を超えて現代も同じ課題に直面しているといえますね。
それにしても、こういう本を読むと必ず思うのですが、あの子供たちは今何をしているのかがとても気になる私でした。
 
それでは、また!


ドイツのダイバーシティ その2:子供を何人産むか

 
こんにちは。
子供を何人産むか。永遠のテーマだと思います。
色々な考え方があるでしょう。どこかの小学校の校長先生が女性は子供を2人産むことが望ましいなどと発言しバッシングされましたが、人口をキープする観点からすれば間違ってはいないという見方もあります。ただ、小学校という閉ざされた教育機関の責任者が言えば教育的発言として捉えられ、価値観の押しつけとしてバッシングを受けるのは当たり前だと思います。思っていたことをつい口走ってしまったのでしょうね。言わなきゃいいのに。または密かに自分の庭に穴を掘って、その穴に向かって思いっきりそのように発言し、スギでも植えておけば100年後そのスギを使って風呂を作った人が入浴の度に「女性は子供が2人~」などと毎晩風呂桶から聞こえてきて怖い思いをする、という話になれば新しい伝説になるかと。考えスギか。なんちて。ただ本件、言う方も言う方だがバッシングする方もする方で同じ事をしているとしか思えませんけど。
 
ちなみにドイツでは子供手当て(Kindergeld)が充実していて、ドイツで税金を納めており夫婦どちらかが失業保険に入っていれば、一人当たり一月190ユーロもらえます。一人当たり約2万円以上ですね。
http://www.kindergeld.org/
子供を沢山産んでこのお金で生活している家庭もあります。フランスや他の北欧諸国もこの手の手当ては同様に充実していますから、この点からも少子化対策の本気度が現れています。日本の場合、さすがに児童手当だけでは生活できませんよね。ただもちろん問題もあります。住民登録していれば、国籍関係なくもらえますから難民の流入が今一番の切実な問題となっています。自分たちの税金をそのように使ってよいのかと。最終的に子供たちに還元されれば良いですが、悪い大人もいなくは無いでしょうからね。難しいと思います。
ちなみに私がドイツで働いている職場の女性のケースですが、1歳までは育休を取るがすぐ復帰したいといっていました。やはり理由は「経済的問題」とのこと。この人、当然ダンナさんも働いているし、本人は開発部門のリーダー格なので相当収入はあるはずですが、未だ足りないということ?でしょうか。この手の問題の解決には、やはり経済的優位性(フランスのように、少なくとも子供を産んだ後で経済的に落ちないようにする)政策が必要であると感じました。
 
それでは、また!


Coffee Break:アイスコーヒー

 
夏ですね。
ドイツはまだ25℃前後を行ったり来たりで、本格的に暑いという気候にはなっていません。曇りの日も多く、週末が晴れるのかどうかがとても大事な話題になっています。ヨーロッパリーグ2016(サッカー)の話題も大事ですが。
 
コーヒーがドイツ人にとってとても重要な役割があることは想像に難しくありません。我々日本人にとって暑い夏のアイスコーヒーが大切な癒しであることは周知の事実ですがドイツではどうなのでしょうか。ずばり、ドイツにアイスコーヒーはありません。ごめんなさい。ただ、アイス・コーヒーはあります。なんのこっちゃ?と思われるでしょうが、事実なのです。
日本でアイスコーヒーと言うと、氷で冷やしたコーヒーが当たり前ですがドイツでは存在しません。それでは、ドイツでのアイス・コーヒーとは何かというと、コーヒーの上にアイス(普通はバニラ)をのっけたものです。そうです、コーヒーフロートのことです。しかもドイツのアイス・コーヒーのコーヒーは冷えていません。具体的に言うと氷は入ってなく、ただ自然に冷えたものですのでぬるいのです。
 
ドイツでは、アイス・カフェという喫茶店がいたるところに存在します。日本で言うアイス屋さんです。店の前に数種類のアイスが入った冷蔵庫兼・ショーウィンドーがあって、注文するとすくって渡してくれます。だいたい1玉1ユーロぐらいです。そこは大抵カフェにもなっており、アイスを前面に出した店ですとアイス・カフェを名乗ります。専門店になると、夏だけの営業で冬は閉まります。そこに通常のカフェのように大の大人がたむろって、お皿に山盛りになったアイスをほおばります。ドイツではアイスは決して子供の食べ物ではなく、むしろケーキや他のお菓子のように市民権を得ています。ドイツの街中の交差点では、ネクタイをしてサングラスをかけた恰幅の良い男たちが、ソフトクリームをなめながら通り過ぎます。美味しいものは、美味しい。だって暑いんだもん。ということなのでしょう。
 
それでは、また!


ドイツのダイバーシティ その3:親子の関係

 
こんにちは。
子を想う親の気持ちは万国共通と前に書きましたが、その表現は様々であることはご周知の通りだと思います。ドイツでも同様です。厳つく、あまり表情を変えないというイメージのあるドイツ人ですが(私だけ?)人当たりのやさしい人もいれば、ツンデレもいます。子供に対する態度も同様です。昔何かの本で読んだのですが、「子供と犬はドイツ人に育てさせろ」というフレーズがあり、当時は子供と犬を同様に扱っていることに違和感を覚えましたが、今思うと「しつけ」という観点だったのだと理解しています。それぐらいドイツ人はしつけが上手いということなのでしょう。
ドイツの家庭(欧米の家庭?)では、親の言うことは絶対です。今はそれほどでもないかと思いますが、子が親に逆らうことはありえません。ただ、親は子供に命令するのではなく理由を説明し納得させた上で、やらせます。前回紹介した子育ての本に従うと、子供が言葉を理解できない赤ちゃんの頃から言ってきかせるということを徹底しているとのこと。時間の無い現代社会では到底困難なことかと思いますが、それでも今も大抵の家庭では恐らくそうしていると思います(自信はないです)。意外に思うかもしれませんが、ドイツ人はおしゃべりが大好きです。ドイツ人の考える至福の時というのは、「冬の寒い時期に暖炉を囲んで、家族もしくは親しい人とおしゃべりをする時間」らしいですから。成熟社会というよりは、もう老人みたいですが。冷静に考えると、日本のように阿吽の呼吸が存在しない社会なので、しゃべって何ぼということなのでしょう。そうなると、英語がヘタで、コミュニケーション上手でなく、人前であまりものを言わない日本人とそんなにすぐに親しくなれない理由がわかります。orz
 
さて子供に対する態度ですが、そうは言っても人前で激しく子供をののしる親も存在します。日本人の場合は大抵口だけですが、ドイツ人の場合は身振り手振りも入りますのでメチャクチャ派手で、しかもそういう人は少ない方なのですごく目立ちます。歩きながら怒鳴っている人もあまり見ません。ほとんどの場合はその場に止まって、子供を正面に立たせオーバーアクションで怒ります。子供の方は慣れているのか泣いたりはせず、上目遣いに親を見ながらじっと聞いています。そして親子共々何事も無かったように去っていきます。怒鳴ってすっきりしたら終わり、という感じです。傍から見るとまるで何かのショーを見ているかのようです。
先日2歳ぐらいの赤ちゃんにも同様に怒っている人を見ました。何が原因なのかわかりませんが、ドイツにもこういう人がいるんだなぁと思いました。
 
それでは、また!


ドイツのダイバーシティ その4:アメリカの教育事情

 
こんにちは。
つい先日、アメリカに駐在している人と話をしました。この人は、アラブ人(エジプト)でドイツの大学を卒業、私と同じドイツの会社に入社した方です。奥さんがドイツ人で、4人の女の子がいます。アメリカは人種のるつぼなので、さぞダイバーシティが行き届いているのでは?という話をしたところ、開口一番、「アメリカでは、我々が想像もできないほどの現実を抱えているよ」と言われました。ちなみにこの人は過去一緒に仕事をしたことがある人で、柔道をやっており、日本大好きな人です。そのため、もっと軽い話題のつもりだったためちょっと驚いてしまいました。ちょうど、子供たちの教育について話をしたときでした。アメリカの学校は州や街によって驚くほどレベルが異なり、生活を始める場合などにはしっかり学校選びをしないと進学どころか、基本的な学習もままならない場合があるとの事。そのため、それらの地域に生まれた子供は学力も低く、行ける学校も限られ、当然就職もできない。まさに、貧困が貧困を生むという現象が、地域のレベルで発生している。しかもアメリカは、大都市(ニューヨーク、ロスアンゼルス、サンフランシスコなど)の周りに必ずスラムがあり、大都市とスラムでは物価も異なる。ただ大都市の人は、年収も高いし、スラムは危険なので買いに行ったりしない。こういう現象は、ドイツや、日本では見られないよね、という話しをしました。フランス、ベルギー、イタリアなどにはスラムはあるようです。これらの国?地域?ではダイバーシティ云々の前に、差別が依然として存在し、自然と格差を生み出す社会になっているような印象を受けました。それに対しドイツにおいては、ダイバーシティを尊重する方向に舵を切ったのが1990年代のソ連崩壊とそれに伴うEU連合発足とのことでした。最重要課題は、当然他のヨーロッパ諸国の多様な民族を受け入れなければならないということでしょうが、それに付随する形で男女間の違いもどんどん認められていったのでしょう。我々日本人にとって、これら民族多様性を受け入れるのは最も難しいのではと思います。報道が偏っていますし、ステレオタイプも強いし。。。なので、少なくとも日本人間では違いを受け入れたいですね。
 
違いを受け入れる、といえば赤ちゃん、小さい子供にとってバギーはお父さん、お母さんの抱っこの次に安心できる場所ですね。どこでも寝ることができますし。ヨーロッパではバギーでどこにでもいける法律があるのかと思うほど、市民がどこにでも出かけます。スイスのツェルマット* という街に行ったとき、登山電車に乗って山の頂上に行ったのですが沢山の人がバギーで子供を連れてきていました。空気が薄いのに大丈夫かオイ、と思いましたが。それどころか、ヨーロッパ最高峰の山(ユングフラウヨッホ)にもいました。バギーで電車、バス、エスカレーター、階段、どこでもOKです。バギーを折りたたんで、抱っこしてくださいなんて言われません。そもそもこちらのバギーは振動を押さえるためタイヤが馬鹿でかいし、大きい赤ちゃんに対応しているため基本折りたたむように作られていません。親は、段差がある場合も無理をする必要はありません。声をかけて誰かに助けてもらいますし、助ける方も嫌がりません。嫌がるどころか、ちょっと困った様子を見ると寄ってきます。私の子供が小さいときバギーで路面電車に乗ろうとしたところ、電車の中に乗っていたモヒカンのお兄さんが、すっと寄ってきて当たり前のように電車に乗せるのを助けてくれました。街中の路面電車は道路から直接乗るのですが、階段でいうと3段ぐらいの段差があるため独り親で乗せるのは不可能です。お互いに困っている、できない、ことを助けるのが本当のお互い様であり他人に努力を強要することはお互い様でも自己責任でもなんでもないと思います。ただ、日本の駅などの混雑はドイツの比ではないですから、比較は無意味かもしれないですけどね。心の余裕度と言う意味で。ちなみに、ドイツで超混雑していた路面電車(お祭りの後だった)に3組のお母さん方が乗り込んできて、こりゃどう見ても無理だろうという状況でもグイグイ突入してきたときはさすがに「スゴイな」と思いました。それでも誰も文句を言ったりしませんでした。それぐらい開き直ってもいいかもですね。だってしょうがないことなのですから。
 
それでは、また!
 
*ツェルマット: マッターホルンが良く見える山間の街。町全体が環境保全区に指定されており、自動車は入ることができない。街中で走っているのは電気自動車のみ。登山者のための街だったが、現在は避暑地化している。ここから見るマッターホルンは、まるでイタリアンジェラート(アイス)のよう。


Coffee Break:ブタ博物館(Schweinemuseum)

 
こんにちは。
シュトットガルトの「ブタ博物館」に行ってきました。
いかほど、ブタが人々に愛されているのかを知る上でとても貴重な情報となりました。何が一体そう感じさせるのか端的に申しますと、世の中に流通しているブタのキャラクターグッズがこれほどまでにあるのか、ということです。パンフレットによりますと、こちらに展示してあるものだけで約32,000点。世界最大のブタの博物館だそうです。犬や猫のグッズの方がはるかに多いと思いますが、わかっていてもちょっとびっくりでした。
 
博物館ですから、当然学術的考察の展示もありブタと人間の歴史や、ブタの体の解説、骨格モデル、世界のどこでどのようなブタの品種が飼育されているかなどの説明もあります。それらのコーナーを過ぎると、後はおびただしいブタグッズのコレクション。ブタの貯金箱は言うまでも無く、置物、おもちゃ、キッチングッズ、ぬいぐるみ、ブタキャラがデザインされた車などありとあらゆるものがありました。
 
一通り博物館を廻ると、隣接されたレストランへ自動的に導かれブタ料理に舌鼓を打つという形となっています。
レストランは博物館より数倍もにぎわっており、明らかに食事だけを目的に来た人たちで一杯でした。やっぱり最後はこれかい!と思いました。
私はまあまあ楽しかったですし、暇つぶしにはなったと思います。食事は美味しいし、やっている人たちも親切でした。ただ正直申し上げますと、もしあなたがグリム童話を子供に読み聞かせたいと思ったとき、赤ずきんや、白雪姫、ヘンゼルとグレーテルなどよりも先に、3匹の子豚を選んでしまうほどブタが好き!ということでない限り、行かない方がいいと思います。
 
それでは、また!


ドイツのダイバーシティ その5:コミュニケーションと個性
 

こんにちは。
 
ドイツ人というと、ステレオタイプとして「頑固」「まじめ」「はっきりとものを言う」などがあるかと思います。このうち、ドイツ人から見た日本人の印象として「頑固」(特に日本のお客さんなど)と「まじめ」(長時間労働はまじめさゆえ)については形が違うにしろ同じ傾向があるのかと思われます。ただ、最後の「はっきりとものを言う」に関しては真逆で日本人は「はっきりとものを言わない」→「何考えているのか、わからない」と思われているフシがあります。いつもニコニコして何が楽しいの?と言われることもあります。私たちから見れば当然理由はあるのですが、例えば、遠慮だったり、その場の空気を読んで発言を控えたり、大勢の前で恥ずかしい、笑って誤魔化すなど、まあ日本人固有の特性に近いものなので理由としてわかってもらえると思えませんが。
 
日本人女性は特にその傾向が強いのではないかと思われます(そうでないと信じている方、ごめんなさい)。最近はそうでもないのかも知れませんが、まだまだ女の子は「おしとやか」に、男の子は「ワンパクでもいい、たくましく」などと育てたいという思いはあるのではないでしょうか。巷では「男の娘」などと言う単語がネットで散見されますので、だんだんその境界があいまいになってきている気もします。私だけ?
ドイツでも当然その考えはあり「おしとやか」とまでは言いませんが、女の子は「女の子らしく」という育て方はあるようです。女の子の初めてのバースデーに敢えてレゴの「働く車シリーズ」を買い与えたりはしないと思います。欲しがれば別ですが、基本は人形です。男女嗜好の違いがあるので、ある意味当然ではありますね。しかしながら「はっきりとものを言う」に関しては、少なくともドイツでは、男女同じだと思われます。こちらの女性は男性と同等か、それ以上にはっきりとものを言います。見た目おとなしそうな方も(攻撃的でなく)はっきりとものを言います。恐らく教育の効果かと思われます。こちらの学校では徹底して、議論をさせたり調べて発表させたりする授業が多いので知らないうちに本人もそれが当たり前になるのでしょう。先日子供が通っているインターナショナルスクールの授業の見学に行きましたが、小学5年生がどの社会システム(民主主義体制、独裁体制など)が理想かその理由と自分の意見をまとめなさいという授業をしていました。
 
はっきりとものを言わないメリットは幾つかあるかとは思いますが、はっきりとものを言うメリットも当然あります。まずお互いに信頼関係が生まれます。相手が何を考えているかが想像できるので、相手の予想を意識しながら話ができ建築的な結論を短時間で導き出すことができます。相手が何を考えているかわからないと、探り合いから始まるので、結論に時間がかかります。また、単刀直入を避ける議論ではどうしても論法が必要になり理由や証拠を説明しなくてはなりません。会議においては大抵の場合それらは共通事実としてみんな知っていますのでそのような説明が必要ないことが多いです。そのため、必要の無いことは省くということが徹底されます。とはいえ、どちらがベストかなどと言うつもりはありません。やはり民族の特性を反映したものなので、それぞれに一長一短はあるかと。今後どんどんミックスされていって、その結果日本社会がどのようになっていくか楽しみです。
 
それでは、また!


ドイツのダイバーシティ その6:自分を大事に、が基本

 
こんにちは。
前回はっきりとものを言う女性について書きましたが、同時にこの状況はそもそもそのようなコミュニケーションがドイツでは日常であるということを述べました。決して女性が男性化しているということではないということです。日本ではちょっと珍しい現象ですので、そのように勘違いする場合もあります。特にこちらで自己主張の激しい女性と話をすると「男っぽいなぁ」と思ってしまいます。わかってはいるものの、まだまだ私自身修行が足りないと感じます(何の?)。
さて、日本では女性の社会進出が盛んに議論となっていますね。この議論がどんどん環境を整えていくきっかけになればいいと思います。まだまだ昇進を望まない方が多いなどとの報道を目にすると、掛け声は大きいが、現場では何も変っていないということが想像できます。その人のライフスタイルを守りつつ仕組みを変えないと意味が無いと思います。
 
「子育て」の記述の中にもありますが、ドイツの人は本当に自分のライフスタイルを大切にします。子供を産むという、男性には不可能なことをはじめとして、コミュニケーションの方法や、仕事の進め方にしても、アグレッシブだったり控えめだったりとその人らしさを大切にしているようです。本人は意識していないと思いますが。
 
話は変りますが、こちらの人は男性もそうですが女性も良く食べます。あの大きな体を維持するために必要なのだと思いきや小柄でやせている女性も、体のサイズが2倍はあろうかと言う男性と同じぐらい食べますので如何に大食いかわかると思います。もちろん全員ではないですが、レストランなどに行きますと大抵周りと同じメニューを頼みます。そして大きなブタの丸ごとのもも肉の丸焼きをペロッと食べます。もちろんそこには付け合せとして茹でたポテトが山のようについています。さらにデザートとしてフルーツ入りのムースとアイスクリームを食べます。もちろん500mlのビールを飲みながらです。最後のコーヒーも欠かせないのは言うまでもありません。感心するほどの食べっぷりです。
そんな中私たち日本人は男性3人、女性1人にもかかわらず、もも肉の丸焼き2皿と図らずも追加で頼んでしまったフライドポテトが食べきれず、ビールだけは2杯飲みましたが、皿の上にいつまでも存在し続けるたんぱく質の塊と炭水化物を目の前にし、何故だか必要の無い敗北感を味わいながら「ビールはやっぱりドイツだよね」などと当たり前の台詞を幾度と無く繰り返すのみとなってしまいます。この状況を何度繰り返したかわかりません。私たちに成長が無いからなのかドイツの食文化に未だ慣れないからなのか。
 
それでは、また!


Coffee Break:インターナショナルスクールの卒業式

 
こんにちは。
「卒業式」。それは人生の中でも特別なイベント。
何かを成し得た後に次の段階へ進むことを認められ、周りから承認、祝福される嬉し恥ずかし行事ではないでしょうか。そのような特別な感情がこめられているからこそ、人々はニートを卒業、カワイイを卒業、AKBを卒業などと言うのでしょう。カワイイを卒業って何?ま、それはいいとして。
 
私事なのですが、先日子供がインターナショナルスクールのロアー(Lower)スクールを卒業しました。日本では小学校6年生になりますが、こちらでは9月から中学生扱いとなります。校舎も変わりますし、カリキュラムも大幅に難しくなるらしいです。とにかくこちらの学校では授業よりも、家でやる課題が多いので一人1台パソコンを用意しなければなりません。校舎はロアースクールと、アッパースクールとに分かれているのですが、アッパースクールは中学と高校のミックスで(いわゆる中高一貫ですね)、半分くらい殆ど大人に見える生徒ばかりです。さすがに海外の学校ということで驚いたのが、先日麻薬で退学になった生徒がいたとか。大麻?ドイツではまだ大麻は違法だったような。いずれにしても、我々の感覚からしてトンでる部分が結構多いです。
 
話を元に戻しますと、先日ロアースクールの卒業式があったのです。日本人の感覚からすると卒業式とは厳粛で神聖な儀式、とのイメージが強いですがこちらの卒業式は、一言で言うとお祭りでした。
講堂に卒業生と在校生が集められ、はじめに卒業生の一年間のビデオが流れます(ラブソングのPVのような作りになっています)。その後、卒業生から二人の男女が司会として前に出て式を進めますが、司会は大きな蝶ネクタイでコスプレをしています。その後式はクイズ大会、ショートコント、寸劇、歌、ダンスと卒業生が準備した出し物で進められ、最後は教師陣の歌とダンス。それが終わると、卒業証書の授与です。これはさすがに歌を歌いながらはやりませんが、名前が呼ばれるたび校長と握手、証書を受け取った後、一人ひとり校長と肩を組んで笑いながら記念撮影。とにかく、先生方が楽しんでいる(それとも嬉しい?)のがとても印象的でした。神聖な儀式ですと、どうしても失敗は許されないし、厳かな雰囲気を破壊するとの理解からか、笑うことすらダメと言う感じですが、最後に笑って終わり、という卒業式もいいかなと思いました。特に下級生は、当然一年生からいますので退屈するでしょうし、この方法だとずっと笑いっぱなしなので退屈している生徒はいませんでした。
ちなみに、卒業式に参加していたのは卒業生、在校生と先生方、父兄のみです。来賓の方は、いたかもしれませんが当然挨拶などはしません。部外者だからですかね。
 
それにしても、卒業式でありながら文化祭なみに準備をしているのには驚きました(文化祭と同じような行事は他にもあるのだが)どうせ同じエネルギーを使うなら、直立不動で何十分も大人の話を聞く我慢をする練習とか、誰もが同じように美しく証書を受け取る練習とか、一糸乱れぬ行進で会場に入る練習とかよりも、子供たちみんなが楽しめる事をゴールとしたプロセスもいいのかなと思いました。日本の卒業式は純粋に子供のため(子供のためのものですが、同時に大人の満足のためでもある)とは言えないかと。
もちろん、日本には日本の美と伝統がありますのでそれを否定するわけではないです。念のため。
 
それでは、また!


ドイツのダイバーシティ その7: 各国出身者の現状

 
こんにちは。
先日ビザの再申請のためにシュトットガルトの外人局へ行きました。平日の朝にもかかわらず大勢の人が待っていました。私たちは延長申請でしたので、予め外人局から日時と受付部屋が指定されていました(日本のお役所は仕切りの無いオープンな空間にいくつもの窓口があり何人か担当者がいて誰かに声をかけるのが通常ですが、ドイツの役所では必ず建物の中にいくつもの部屋があり、それぞれの部屋に何人か働いています。唐突に役所に行く必要がある場合、どの部門またはどの担当者がどの部屋にいるかを確認しておかないと必ず迷います。しかも部屋にはホテルのように番号がふってあり、規則性の無い番号付けがされている場合もあります。建物の入り口に書いてある場合もありますが、大抵ドアの前に書いてあるので探すのが大変です。大きな役所になるとインフォメーションの人がいます)。指定されている部屋の前に行くと誰もいませんでしたが、他の部屋(恐らく事前予約してない人たちのための窓口)は超混みで、廊下はおろか階段まで人が溢れていました。日本と違い、こちらでは来た者順に列を作るという習慣がありませんのでみなそれぞれ好きなところに立っています。番号を発行する機械はあったように思いましたが。そのためまっすぐ歩くことができず、疲れます。見たところ、国籍はまちまちでアジア(主に中国・インド)中東、東ヨーロッパ、アフリカ、その他ヨーロッパ、不明、の方々がいたように思います。難民と思われる方々はいませんでした。というのも、難民に関しては他の場所で処理されているからです(移民局Amt der Migrationだと思います。外人局はAuslaenders Amt)。それでも大量のビザ希望者がいましたので、ドイツに来たい人が沢山いるということを実感しました。語学学校でも生徒の半分はそういう人たちでした(他の半分は私が働いているドイツの会社の従業員でしたが)。これだけ沢山の国から沢山の人が来れば中には優秀な人もいるはずで、それがいろんな分野で活躍できるという環境はスゴイなと考えさせられました。そこだけ見れば、単純に日本は人材と言う意味で負けていると思います。日本では人材の流動性に関してはやっとのことで議論が始まったばかりなので今後に期待ですかね。当然治安との兼ね合いが課題となりますが。
 
それでは、また。


 

ドイツのダイバーシティ その8: ドイツの流行

 
こんにちは。
以前ドイツの職場では主に旅行の話が盛り上がるということはお話しました。といっても、一年中旅行の話をしているわけではありません。大抵は長期連休前に話すことが多いです。その時期は「今度の休み、どこへ行くの?」が挨拶になるほどです。ドイツでは学校の休みが、春(復活祭)、夏(7月と8月)、秋(万霊節)、冬(クリスマス)と四季に渡ってありそれにあわせて大人も休みをとり家族総出でバカンスへ出かけます。州ごとに休みの時期が少しずつずれており、避暑地や観光地が混まないように配慮がされています。まさに、バカンス先進国です。
では、普段は何を話しているかというと日本と同じたわいないことです。私たちは外国人なので、来た頃は自分の国の話やドイツとの違いなどを話すことが多かったですが、ドイツ人同士の普段の話を聞いていると、どこの店が安くて品質が良いとか、地下鉄がどうだとか、本当に身の回りの話をしています。唯一つ不思議だったのは、こちらの人は比較的食事中に仕事の話をすることも多いです。食事の時間は休憩時間なので、プライベートの時間だと言っていいと思います。そのため、仕事とプライベートを分けるため意識的に仕事の話は避けるのか?と思いきや、意外にも食事中はそういう話題も好んで話されます。一日の時間の使い方に関しては仕事とプライベートを明確に分けますが、会社にいるうちは一緒に食べている人が職場の仲間ですので、あまりこだわらず自然まかせのようです。
 
さて、ドイツの流行に関してですが以前子供の友達でドイツの現地小学校に通っている娘に「あなたの学校では今何が流行っているの?」という質問をしたところ、「みんなそれぞれ好きなものは違うので、特に何か流行というものはない」などと回答されたことがあります。なにかしらあるんじゃないの?と思いましたが、「流行」という単語をそもそもあまり使わないようです。確かにドイツでも歌のヒットチャートのような番組もありますし、ファッションにも流行りはあります。ただ「周りがやっているからやる」という発想はそもそもありません。彼らにとって流行とは情報源であり、気に入ったら買う、というのが常識となっているようです。
 
それでは、また!


Coffee Break:すし、すし、すし!

 
こんにちは。
 
日本のポップカルチャーも海外で自慢できるものの一つですが、日本の文化を海外に知らしめた最大の功名としてお寿司を外すことはできないと思います。海外に行かれた方はわかるかと思いますが、今やほどほど大きな空港には寿司屋があるほどです。先日立ち寄ったコペンハーゲンの空港では、なにやら人々がウナギの寝床みたいなテーブルに、行儀よく並んで座って各々前方を眺めて食事をしており、不思議に思ってよく見るとそれは回転寿司でした。
ここドイツでもお寿司が食べられます。いや、「食べられる」という若干受身がかった言い方はもはや古いかも知れません。お寿司を(普通に)「食べてます」が正解です。私が働いているドイツ企業があるStuttgartに限定すれば、寿司屋は数えられないほどあります。他のアジアンレストランでも寿司がメニューに並びます。スーパーマーケットでもサンドイッチと並んで寿司が売られています。その他、街のスタンド、ショッピングモールのフードコート、激安店の冷凍寿司、等々至るところで手に入ります。ただしその味と品質は、日本人が経営・寿司を握っている日本レストランを頂点としたピラミッド構造となっており、裾野へ行くにつれ違う食べ物になってしまっています。一つ例を挙げると、あるスタンドで売っている寿司は、お米が異様に甘く芯も残っており、且つネタもはさみで切ったような長方形になっていて、わさびもはいってないし、鼻ピアスした兄ちゃんがTシャツで箸も使わずに紙に包んで渡すという、ホットドッグと同系列の食べ物に甘んじてしまっています。もっと品質と伝統を主張しようよ!と言いたいところですが、アルバイトのお兄さんに言うわけにもいかないし暖かく見守るぐらいしか策はありません。ちょっとまともになると、せいぜい日本人以外のアジアの方々が日本語の入ったエプロンをして寿司を握っている、「スシタクシー」や、「スシパレード」などという名前のお寿司屋さんが大半となります。そこではやたらと日本語が目立つグッズが店内を占拠しており、中でも外せないのが「寿司」もしくは「祭」という字のはいったチョウチンです。ローソク文化の彼らにとって提灯はなんともいえない味があるのでしょうね。
 
正直なところ、海外で日本語を見るとちょっと嬉しく感じます。お箸は何故か日本語の入ったやつが大半です。「おてもと」と書いてあるやつです。それはまだいいのですが、時々街中ですごい漢字のイレズミをした人を見ることがあります。先日は「歓迎」と太い腕にイレズミをしたお兄さんがいました。「何に?」と突っ込みしたくなりました。また、ここには書けないような文言をイレズミしている人もいます。ヘタに意味がわかってしまうのでドキッとします
が、これも文化を受け入れてもらったと好意的に理解しています。ちなみに、どのようなイレズミをしているかについては、ご興味があればご家庭で、ネットで検索ください。仕事中はダメよ。
 
それでは、また!


ドイツのダイバーシティ その9: 呼び名について

 
こんにちは。
まだまだネタ募集中ですが、これまでに提供いただいた皆さんありがとうございました。これで何とか年が越せそうです。
頂いたネタを拝見いたしますと、比較的職場や働き方に関するものは少なく(既に紹介してしまったからですかね)文化や習慣に関するものが多いように思います。ドイツと日本とはいえ、同じ会社ですからシステムやプロセスは共通なのでそんなに大きく働き方が異なると言うことは無いのかもしれません。ですので、次回からは職場にとらわれずダイバーシティ的な観点から他の話題にも触れてみたいと思います。
 
さて、名前つながりの話題ですがご存知の通りドイツでは家族や友人のみならず職場でも下の名前で呼び合います。いわゆるファーストネームですね。世界的に見ると、親しくなってもいつまでも苗字で呼び合う日本の文化の方が特殊かもしれません。電話などでも自分の名前を名乗る時には、ファーストネームから言うのが普通です。ただ子供の頃からの習慣はなかなか変えられるものではなく、これも握手と同様すぐには慣れません。日本では相当気を許した人でないと名前で呼び合いませんよね。私の周りでも、名前で呼ぶのは親が子供の名前を呼ぶ時ぐらいです。ですので、気の合う職場の仲間には呼べますが、明らかに目上の人や、上司の上司、偉そうな人、嫌な人にはファーストネームで呼ぶ気になれません。相手もそれを察してか、ファーストネームで呼びません。かといって、苗字だけで呼ぶのはやはり失礼になるので、「さん」付けとなります。ご先祖さんは本当に便利なものを発明するものだと感心します。「さん」の意味を説明するのがこれまた面倒なのですが、「さん」もその認知度はお寿司と同じぐらい高いのでドイツ人はみんな合わせてくれます。ただ人によっては下の名前に「さん」をつけたりするので、これまた微妙だよ。ということもしばしばです。下の名前に「さん」をつける傾向は何故かインド人が高いです。恐らく、彼らの名前は苗字と名前の他、さらに2つぐらい名前がつく事もあるので判断が難しいと思われます。
 
お昼休みに食堂で、その話題になると日本の敬称・呼称の数の多さに本当に気づかされます。一人称だけでも、私、僕、俺、自分、それがし。二人称になると、あなた、お前、君、おのれ、きさま、ダーリン(?)など。英語もドイツ語も一つですからね。まあ、ドイツ語でも愛する人をシャッツ(宝物)と呼ぶ事もありますが特別ですね。ちょっと日本語をかじったドイツ人は間違いなくこれらの違いを聞いてきますが、私はそれに答える事はしません。食べる時間がなくなりますし、過去私の説明を理解できたドイツ人はいなかったからです。シチュエーションと対人関係で使い分ける事が必要ということだと思いますが、これも異文化のポイントとして話のネタにできるぐらいの気持ちでいたほうが良いかなと。
 
それでは、また!


ドイツのダイバーシティ その10: ドイツのお正月

 
こんにちは。
新年ですね。七草、鏡割りも終わり、すでに日本の風物詩となりつつある大荒れの成人式。変ったなー(時代が)と思いつつ、変んないなー(人間が)という感覚を毎年感じるのは私だけではないと思います。それでもお正月になると、日本人でよかったとつくづく思うのはおせちやお雑煮などを食べた時です。食べる事が人間の幸福感に最も刺激を与えることを実感する時でもあります。私だけでしょうか。
さて、ドイツにお正月はあるのでしょうか。はっきり言いますと無いです。ホントです。
私の部署では半数以上が純粋なドイツ人で無いので、詳しくは言えないかと思いますが特に家に用事の無い人は1月2日から会社に来て仕事をします。工場もそれぐらいから稼動しているようです。もちろん、休む人は一月の初旬まで休みを取ります。しかしながら日本の感覚とは異なり必須感はありません。当然三が日という言葉もありません。ニューイヤーを祝うのは基本的に1月1日のみになります。
ちなみに今年は私もこちらで1月2日から働きました。初日は在宅勤務でしたが、3日からは出社しました。試しにカウントしたところ、3日に出社していたのは私を含め5人のみ(約40人のオフィスです)でした。出社する人数が少ないと、その少人数グループの間で妙な連帯感が芽生えます。同じ境遇にあるもの同士という意識からか、お互い必要以上に休暇中の出来事や、最近の出来事などを語り合いました。今から思うと、普段大して親しくも無い連中と何を話したのか記憶にも残りませんでしたが、いつもより新鮮な内容だったように感じられ、これも大切なコミュニケーションの機会と考えられます。聞いた話ですと、食品メーカーのある会社では、フリーアドレス導入と共に席を固定する事が無いよう、毎日ランダムに席が変るシステムを導入しイノベーションを促進していると聞いています。そのためその会社では売り上げが5年で10倍になったとか。まあ、我々がしていたのは殆どが世間話とスキーの話題でしたが。
 
年末はといいますと、年末も特に用事の無い人は仕事をするようです。ただし私が働いたドイツの企業(恐らく他の企業も)では連休が推進されているのでクリスマス休暇にあわせて短くても1週間か2週間の休みを取ります。ですので、大抵の人はクリスマスから年末までお休みとなります。ただし会社で定められた一斉休暇ではありませんので、働きたい人は働いているようです。
ドイツの年末はクリスマスをピークとして、街中の喧騒が次第に弱まっていきます。25日はめでたくもあり神聖な日ですので静けさが求められるのはある意味当然ではありますが、私の経験では恐らくクリスマスでの騒ぎ疲れとクリスマスマーケットでの飲みすぎが原因で単に疲れたのだと思います。これは、日本人もドイツ人も同じではないでしょうか。そんなことないかな。
 
そして31日、日本人にとっては信じられない光景を目にします。カウントダウンが始まろうとしている真夜中、一年の計を心新たに迎えようとしてベッドに入った瞬間窓から激しい爆発音が聞こえ、何かと外を見ると町中の至るところから花火が噴水のように上がっています。しかも日本の家庭用の数倍もある打ち上げ花火やロケット弾が次々と発射されています。ドイツを含むヨーロッパでは、花火といえば新年のお祝いに1月1日の午前0時にやるのが慣習らしく日本と全く逆に真冬の12月にスーパーの店頭に並びます。しかもこちらの花火は日本のように細くしなやかなものではなく、本当にマリオがゲームの中で追っかけられているような顔が描かれた「ロケット弾」という形をしており時には向かいのビルに向かって撃ったりするので興味の無い人や寝たい人には凄い迷惑です。線香花火のような、味わいを楽しむ花火もなく打ち上げ花火が殆どですし。それでもそれを毎年楽しみにしている大人や子供がいるのは確かです。実際その花火をカート一杯買っている家族を見ました。何年か前にはある広場でロケット弾で応酬をしている人たちがいて、けが人も出たとか。まあ、これも伝統の楽しみ方の一つなんでしょうね。その後の掃除が大変ですが、他のお祭りの後と同様市の職員(清掃局と契約している業者)がこれを片付けます。税金の使い道にうるさいドイツ人ですが、このようなお祭りには寛大みたいですね。
 
それでは、また!


Coffee Break:ジャイアンリサイタル

 
こんにちは。
両さん、終わっちゃいましたね。なじみの無い方はごめんなさい。「こちら葛飾区亀有公園前派出所」のことです。40年間連載を続け、総200巻を出版したまさに日本のMangaカルチャーを代表するギネスにも載っている作品です。ここドイツにも日本の漫画やアニメ好きは多く、日本の漫画を読むために日本語を勉強している中学生とかと知り合ったりします。先日は、私が働いているドイツの会社のとある部署に応募してきた人の採用面接に立ち会ったのですが、履歴書に「日本語可」と書いてあるため質問をしたら、「日本のアニメが好きで1年間勉強した」などというツワモノもいました。ただひとつ納得できることに「こちら葛飾区亀有公園前派出所」が好きというドイツ人は殆どおらず、大抵「ドラゴンボール」「ナルト」「ジブリのアニメ」などでやはりあの独特な日本文化の反面教師的な両さんを理解できる外国人はいないということです。まあ、なんとなくわかりますけどね。
 
さて、話題は実はそこではなく「ドラえもん」にでてくるジャイアンを彷彿とさせる場面に出会ってしまったことをお伝えしたかったのです。いや、ジャイアンもそこまでしないかも知れない。あれは、スペインのバルセロナに行ったときでした。
郊外に宿を求めた私たちは観光地まで地下鉄での移動を余儀なくされました。ヨーロッパの主だった街では、地下鉄が良く整備されておりバルセロナも例外ではありませんでした。その日も地下鉄に乗るべく近くの駅まで歩き、乗車券を買い駅のホームで電車を待っていました。電車は2分ほどで来ましたが、珍しく混んでおり立っている人もいました。日本と異なり、ヨーロッパの電車では大抵座れることの方が多いからです。特急や急行などのシステムもなく、進行方向に向かった電車にただ乗るだけと言う単純なシステムが主流です。電車の表示は途中駅ではなく終着駅のみが書いてあるため慣れない人は戸惑います。この場合、山手線の表示はいったいどうなるのか?という疑問もわきますが、幸いヨーロッパであのようにぐるぐる廻る電車を未だ見たことがありません。
 
私たちはドアに近い場所に立っていました。
次の駅に到着し、新たな乗客を乗せた地下鉄が出発したかと思うと、隣の車両に乗ってきた人で異様に大きな装置的なものを、買い物カートのように転がしている人がいました。電車の速度が安定したのを確認すると、その人はおもむろにカートと一体になっている機械を操作し始め、脇のポケットからマイクのようなものを取り出すと何のためらいもなくその機械に接続しました。周りの人たちは不思議そうにただ眺めているだけ。そして大音量で流れ出す音楽。たしか曲はフランクシナトラの「マイウェイ」だったと思います。前奏が終わり歌のパートに入ると、これまた大音量で歌い出しました。唯一救いなのは、歌が意外に上手かったこと。そして歌いながらカートのカラオケマシーンを引き、電車中を練り歩き出しました。突然の出来事に、笑い出すカップルや、喜んでいる子供たち、びっくりして呆然とする老人たちで電車の中は異様な空間となっていました。ただ半分ぐらいの人は慣れているのか、あまり関心のない顔をしていました。電車という逃げ場の無い空間でのいきなりのゲリラコンサートですから、聞く以外に選択肢はなく、地下鉄の騒音に対抗するぐらいの音量で、これはまさに「ジャイアンコンサート」を命名するにふさわしいと密かに感じました。なおその当人は、これまた意外にもちょっぴり恥ずかしそうな表情を浮かべており、「それならやらなきゃいいのに」とも思いましたが、拍手をする人にニッコリと笑いかけるなど、あれはあれでストレス発散なのかも知れません。私たちは予想をしてなかったことでしたので驚きましたが、面白かったし、家族の中でその後の話題にもなりました。海外で公共の場は緊張を伴いますが、久しぶりに腹から笑いました。
 
ちなみに、イタリアのミラノに行ったときにも同じ行為を企てる人がいて、スペインの時は50歳ぐらいの方でしたが、30歳そこそこの方がポップスに近い曲を歌いながら電車の中にあるつり革やポールにつかまり、のけぞったりしてパフォーマンスするという場面にも出くわしました。その人は、拍手をする乗客と握手としたりしていましたからもしかしたら有名なのかもしれません。
いずれにしても、日本でやって欲しくないですね。面白いと思いますけど、混んでますんで。
 
それでは、また。


ドイツのダイバーシティ その11: 第3の相対性理論

 
こんにちは。
ドイツの偉人といえば色々思い浮かびますが、我々理系としてはやっぱりアインシュタインでしょう。彼の功績は何といっても相対性理論。この本が日本で出版された時、その名前から物理学を想像しない人が大多数で何故か爆発的に売れた、と記録にあるようですがもし私もその時代生きていたら絶対買っていたと思います。それはさておき、相対性理論といえば特殊相対性理論と一般相対性理論の2つが大枠だと思いますが、第3の相対性理論がここドイツで成立していたのです。
 
本編に入る前に話は飛びますが、前にもちょっと触れたかと思いますがドイツ人は比較的自然志向です。Bioという低農薬のブランドや、NatureturというBio製品を専門に扱うスーパーも活況です。今やある程度の商店街では必ず買えるほど市場が成熟しています。また、登山やハイキングも立派なスポーツとして定着しておりスポーツショップの一角を占めるほどになっています。そこでは大人用品だけでなく女性や子供専用の製品も並んでいます。このように自然派の人たちは健康にも気を使っており、会社帰りや早朝にスポーツクラブに行き汗を流す事もあります。このスポーツクラブ、日本とドイツでどうも考え方が異なるようでドイツではフィットネスしかありません。スポーツクラブは個々のスポーツをする施設の名前が着いています。テニスクラブやスイミングクラブなど。我々の感覚からすると、フィットネス=ダイエット?という連想が強いかと思います。こちらではスポーツクラブ、スポーツジムなどではなく、フィットネスセンター、フィットネススタジオと言う施設が一般的に街中にあります。フィットネスショップという名前なので店に入ると、筋トレとプロテイン専門店だったということもあります。つまり、フィットネス=トレーニングという意識が強いです。そのためかフィットネスセンターにはランニングマシーンか、バイク、筋トレ用の器具しかありません。スポーツセンターというと街の運動場になります。
 
私も自分のアパートがある小さな街の駅前のフィットネススタジオに行っています。月約20ユーロでトレーニングと水は無制限です。それに、飲み物(スポーツドリンク)とシャワーをつけると月約30ユーロになります。それでも日本のスポーツクラブより安いと思います。最近ではこの施設に通う難民の方々が増えてきました。難民としてドイツへ入国できてもすぐには就職できないので、時間もあります。ある程度ドイツ政府から手当ても出ているようです。時間があるので、どうせなら体を鍛えようと言う事かもしれません。彼らは集団で施設に来て(通常3~4人)、だらだらと体を鍛え帰っていきます。髪の毛が黒で、なにより若いのに髭を生やしているのですぐわかります。大抵はシリアの方々のようです。
 
さて、そのような環境ですからメインは筋肉を鍛えたい人たちの社交場となります。女性はキレイな人が多く、体型を維持したい方々が多いようです。もちろん、明らかにダイエット目的で来ている人もいますが少数派です。とにかく映画に出てきそうな筋肉をした人たちが一杯います。一番嫌なのは、そのような連中とシャワーを浴びることです。後ろからの目線が気になります。アジア人と異なりこちらの人はやればやるほど筋肉が付くようで、大多数の常連はマッチョというよりとにかく全体的にデカイ人が多いです。背も高く、筋肉も凄いが、お腹も出ている。それでもやせている人と比較すると見た目マッチョと言えます。相対的に筋肉に目が行くからです。それが第3の相対性理論です。
つまり、いくらビールの飲みすぎでお腹が出ていても、それ以上に胸や腕を鍛えてお腹のでっぱり以上の筋肉の存在感を作れれば相対的に筋肉質に見える、マッチョになれる、これが筋肉の相対性理論です。これをアインシュタインが発見したという事実は歴史上に残っていません。ただ単に、中年の同士よ。諦めるなかれ!ということです。
 
それでは、また!


ドイツのダイバーシティ その12: ドイツ人とおもてなし

 
こんにちは。
本テーマはネタ募集で頂いたものです。ドイツに「おもてなし」というのはあるのか?ということです。ずばり私の意見を言いますと、ありますが場合と人によります。目的は同じだと思いますが、そのサービスの考え方は日本の「おもてなし」と微妙に異なるものです。
以下には私が経験または聞いた話による、ドイツでの「おもてなし」事情について書いていきたいと思います。
ケース1
「子供同士が同級生である友達のお母さんの誕生日に呼ばれた」
ドイツでは基本的に誕生日は家族で祝います。おじいさんやおばあさんも参加します。近くて親しい場合には親族も参加します。ただし、40歳や50歳など区切りのいい誕生日を盛大に祝う習慣もあります。以前、子供同士が同級生のドイツ人夫婦のお母さんの誕生日に呼ばれたことがありました。ドイツでは誕生日は自分で祝います。そのため、ホストは彼女(およびそのダンナ)であり、ゲストは招待されたお客さんです。行ってみると彼女は激しくドレスアップしており、すでに大勢のゲストが来てました。パーティーですから皆さん正装です。普通のアパートに50人近く、20家族ほどいたでしょうか。全ての部屋を開放し至るところに食べ物が置いてあり、夫婦の寝室にもケーキが置いてありました。大喜びで子供部屋や廊下を駆け回る子供たち。食べ物は十分にありましたがあまり接待をされたと言う感じはありませんでした。玄関で、「楽しんでね!」と言われたきりそのお母さんとあまり話もしなかったですが、来た人たちでお喋りし適当に楽しみました。
ケース2
「夫婦同士で友達の家に夕飯を食べに行く」
ドイツ人は無理をしません。また、効率を重視し自己の幸福を最大化することに価値があると考えます。そうすることで社会全体が良くなると。その点から行くと、ゲストのためにわざわざ自分の時間を犠牲にしてまでおもてなしをしようとは考えません。過去ドイツ人の家に呼ばれた時の夕食は、全て普段食べているものであり特別に用意したものは一切出た事は記憶に無いです。例えば、日本からのお土産を沢山持っていったとしてもその日の夕食は買ってきたピザかパスタです。今日はちょっと手間をかけたと言われて鳥もも肉の丸焼きが出てきました。冷凍品をオーブンで焼いただけのものです。この夫婦は共働きなので尚更なのかもしれませんが、周りの話を聞いているとこれが一般的なことのようです。誤解の無いために言っておきますが、食前にビール、食事中にワイン、食後にコーヒーは当然飲みますし、アイスなどは食べたければ出してくれます。ゲストとはいえ、相手の望むもの以上のものは言わないと出てこないだけです。
ケース3
「会社で親しくなった同僚の家に行く」
これは私が働いているドイツの会社内での話ですが、私と同じくドイツに駐在している日本人の方が職場のドイツ人の同僚の家に招待されたそうです。相手方の夫婦も日本への滞在経験があり話をしたかったのでしょう。お茶を飲みながら話も盛り上がり、すっかり時間も経って夕飯の時間になったそうです。それでも、お茶を飲みながらの話は続く。歓談は夜遅くまで続いたものの、双方夕飯も食べずに、さよならだったそうです。日本であれば、「ご飯食べてく?」と言う話になりそうですが、ドイツではそもそも夕飯を食べない人もいるほど夕飯の価値が低く、暖かいものは昼食べるという習慣があるぐらいですから、これは「おもてなし」というよりは習慣の違いかもしれません。とはいえ、招待された本人たちは何も言われなかったのでちょっと気が抜けたし、そもそもお腹がすいたとの事でした。
 
以上の通り、ドイツの「おもてなし」とは相手に過度にサービスすることでなくその場に招待し参加してもらう事自体が「おもてなし」であり、当然招待する当人たちも楽しまなくてはならないということだと思われます。何かサービスをして欲しければ、事前にお願いすれば良いことで、あちらから自主的に日本的サービスを期待するのは止めた方がいいでしょう。日本の「おもてなし」が世界基準に対して優れているのは確かですが、それ故無理し過ぎということもあるのでは?と思います。
 
それでは、また!


Coffee Break:ドイツのおばあさん

 
こんにちは。
 
たまたまなのですが、今私の住んでいるアパートにはケアセンターらしきものが併設されておりアパートの住人の半分くらいはご老人です。アパートの1階部分がご老人用の部屋に割り当てられているようで、全てご老人の夫婦もしくはおばあさん(ドイツでも女性の寿命の方が長いようですね)が入居されています。ドアの前にはハート型のフェルトがつるしてあり、表と裏がそれぞれ、緑色、赤色になっています。在宅している場合は緑色に、外出している場合は赤にするようです。時々、ケアセンターの職員の方が確認に来ています。
昼食はケアセンター内の食堂で集まって取っています。その時間帯は階段や踊り場に良い匂いが立ち込め、それを感知したからなのかご老人の方々がケアセンターに集まってきます。みたところ、80~90歳ぐらいまでの方々が多いでしょうか。ご老人の方々とエレベーターで鉢合わせすることもありますが耳が遠い方が多いため、あまり実のある会話になりません。いや、私のドイツ語力が原因ですが。
 
昼の暖かい日のなどには、中庭で3~4人のおばあさんが日光浴をしています。ご存知だと思いますが、ヨーロッパの方々はクル病を避けるためできる限り日に当たるという習慣(?)があり、今年の夏は晴れの日が多かったため毎日のように日光浴していました。しばらく日に当たって、部屋に引っ込んだかと思うとなにやら笑い声が聞こえてきます。カチャカチャと食器の音がしますので、お茶の時間のようです。そしてまた、外に出ておしゃべりをしながら日光浴です。うらやましいと思う反面、毎日は嫌だなと考えてしまうのは日本人だからでしょうか。
地下の駐車場に向かう際に、洗濯室の前で大きなかご一杯の洗濯物を運ぶおばあさんに出会うこともあります。ドイツのアパートでは洗濯室という洗濯専用の部屋が、大抵は地下に必ずあり入居者ごとに洗濯機の場所と電源、水道、下水が割り当てられています。私のアパートの場合は自室にも洗濯機を置くスペースがありますが、それが無いアパートもありますのでその場合はわざわざ洗濯する度に洗濯室に行かなければなりません。おばあさんは自分で洗濯をし、その荷物を持って自分の部屋に帰ります。ケアセンターがあるものの、基本的にはただのアパートなので自分のことは自分でしなくてはならず、ある意味良いシステムだと思います。そのためか、痴呆と思われる方はいないように思います。
 
ちょっと前に街中のデパートの地下で買い物をした後、地上階へ出るべくエスカレーターに乗ろうとしたのですが、何故かおばあさんがエスカレーターの前に立っており私を見るなり「一人で乗るのは不安なので、手を貸してくれる?」と言われた事があります。そのおばあさんは、ゆうに90歳は超えていたかと思いますが、確かに足はか細く手も震えていました(手の震えは老化のためのようでした)。私は「はい、どうぞ」といい、ひじの辺りを差し出すとおばあさんは私の腕につかまりました。おばあさんの動きに合わせゆっくりとエスカレーターに乗り、地上階まで移動しました。移動中会話はありませんでしたが、地上階に着くとおばあさんは「ありがとう」といって慎重にエスカレーターから降り、別の方向へ歩いていきました。
こんなアジア人のどこの誰だかわからない私に助けを求めたのも驚きましたが、その一連の仕草があまりにも自然で、きっとこのおばあさんは誰にでもこのように接しているのかなと思いました。ダイバーシティをはるかに越えた、人と人とのつながりの真髄を見た気がしました。ちょっと、大袈裟か。
 
それでは、また。


ドイツのダイバーシティ その13: ドイツの気遣いについて

 
こんにちは。
前回ドイツの「おもてなし」について記述させていただきました。ドイツの方が日本より楽そうですね、と冷静なコメントをいただいた方もいましたが改めて読んでみると、ドイツに「おもてなし」無くない?という感じになってしまいました。ドイツ人のみなさん誤解を招きすみません。確かに、著しく「おもてなし」された経験はありませんが、友達のドイツ人の実家に行って家族全員近くのレストランでご馳走になり、また家では手作りのクッキーでお茶を頂いた事はあります。美味しかったぁ。って、あるんじゃん!親しくなると、結構あるんですよね。実は。
 
まあ、ダイバーシティということで各国との違いがなんとなく理解していただけていると思います。ということで、今回は良くない点を掘り下げるのではなく良い点にフォーカスしていきたいと思います。周囲への気遣いについてです。日本人と異なり個人主義のドイツ社会ではありますが、もちろん周囲への気遣いは欠かせません。日本のように何でも我慢するというまでは無いですが、実際にどんな場面があるのか見ていきましょう。
 
「電車・バスで席を譲る」
日本では過去のものとなった(今でも純真な若者や子供たちの間には存在しますかね)必要な方に席を譲る光景ですがドイツでは健在です。ドイツでも優先席が存在します。そこには赤十字のプラスのマークか、バギーのマークが書いてあります。お年寄りか、赤ちゃんを連れたお母さんはこの席を目指してやってきます。そして、100%譲ってもらいます。気が利かない人には「席代わって」とはっきり言います。言わなくても、90%は自主的に立ち退きます。しばらく前の話ですが、かなりヨボヨボなおじいさんが路面電車に乗ってきました。あまりにも危なっかしいので、私を含め周辺の4人の人がサッと席を立ち「座ってください」といいました。どこに座るか?と興味津々でしたが、おじいさん曰く「健康のために、立つ事にしとるんじゃよ」とのことでした。4人はそのまま目をあわせ「じゃ、しょうがないよね」と言葉には出さずにスッと腰を下ろしました。こういう場合もありますが、ドイツではかなりレアケースです。大抵のご老人は座ります。無理は体に悪いと判っているからでしょう。
「エスカレーターで左側を譲る」
最近かもしれませんが、少なくともシュトットガルトではエスカレーターで左側を譲ってくれます。一人の場合は大抵右側に立っており(車が右側通行だから)、買い物袋を持っている場合でも左側を人が通れそうなくらい空けておいてくれます。10年ぐらい前のドイツでは経験が無いので最近のトレンドなのでしょうか。急いでいる時にはホント助かりますね。
「レジの行列で前を譲る」
ドイツでは買い物は土曜日に集中します。時間帯もお昼前か、夕方がピークでレジに行列ができます。しかも一度の買い物の量は一週間分だったり、家庭によっては一ヶ月分?だったりするみたいで、買い物カートに山盛りも少なくありません。そのためレジの行列は順番が来るまでに時間がかかる頭の痛い問題です。日本ではあまり経験がありませんが買い物の量が少ないと前の人に「先に行っていいですよ」と言われます。特に買い物が牛乳一本だけ、と言うような場合にはレジに並んでいる人全員が「前に行け」ということで優先してくれる事があります。一個だけだから前に行かして、とお願いする人もいるぐらいです。実質的に待つ時間にあまり影響を与えないとの判断だとおもいます。
「次の人が来るまでドアを開けておいてくれる」
日本でも当然ありますが、ドイツではさらに徹底している感があります。単にドイツの建物のドアは重いから開けたり閉めたりするとエネルギーの無駄なので、という分析もしてみましたが、これに関してはそれだけではないようです。あるホテルに行った時、私たちの前を一組の夫婦が歩いていました。私たちは両手一杯に荷物を持っていたためか、その夫婦はホテルのドアを手で押さえて待っていてくれました。でも、そのホテルのドアは自動ドアでした。押さえる必要ないじゃん!、と瞬間的に思いましたが「ありがとう」と言うと、その夫婦は満足そうに受付へ向かっていきました。恐らくその夫婦も頭では判っていたものの、体が反応してしまったようです。ちょっとだけその満足そうな笑みに違和感があったからです。こちらの人は宗教柄か困っている人には(できる範囲で)救いの手を差し伸べるよう教育されているようで、このような小さな親切に満足感を覚える人が少なくないのだと思います。宗教感のない我々には薄い感覚かもしれませんが。
 
それでは、また!


ドイツのダイバーシティ その14: ドイツ人とアレルギー

 
こんにちは。
ドイツと日本はともに先進国ですが、お互いそれぞれ得意分野があると思います。工業先進国という意味では同じと思っていますが(私だけ?)、民主主義先進国、医療先進国ということではドイツの方に軍配が上がるのではないでしょうか。憲法もそうですし、医療用語などもドイツから多く来ています。ただ、医療に関して言うとこちらで暮らしていても特に先進的な優位性を感じません。予防接種の仕方や、医薬分業も基本同じです。一つ大きく違うのはドイツでは病院というと専門医、緊急医、入院患者がいる場所(Krankenhaus)となり、そちらには紹介状と予約がないと入れません。通常は開業医へいくのですが、開業医のことを病院とは言いません。ハウスドクター(Praxis)といいます。病院へ行くというと「何で?」と言われます。まあ、言葉の違いですけどね。ただそのため大病院の受付で長く待たされるという事はありませんし、ご老人の社交場になっている事も無いです。開業医も基本予約制です。そのため、待合室にはイスが多くても5つぐらいしかありません。1人の診察にじっくり時間をかけますし、余裕を持って予約をするので一日で診ることができる患者の数は日本ほど多くないと思います。それでも街中に医者は溢れるほどいるのでドイツでも医療費は大きな社会問題になっていると思います。ちなみにドイツでは窓口負担が無く、基本的に診療費は100%保険から出るのでお金を持っていく必要は無いです。以前ドイツの国民学校(ホルクスホフシューレ)というところで英語を習っていた際、医療制度の議論になり「日本では窓口負担がある」と発言したところ他の生徒から「それではお金のない人は医者にかかれないのか」「死ぬしかないのか」などと突っ込まれ、説明に苦労したことがあります。皆保険制度でありながら窓口負担があるのは国際的に珍しいのですかね。それにしてもあんなに攻撃しなくても良いのに。私が決めたわけじゃないのだから。
 
さて話は元に戻って何故ドイツの医療が先進的であるかということですが、今まさに日本が直面している問題をドイツも過去に経験していたりします。アレルギー問題がまさにそうだと思います。食べ物や動物、花粉などアレルギーはドイツでは戦後環境問題とともに社会問題になっていました。社会的発展とともに爆発的に患者が増えた時期があったようです。ドイツではBioと呼ばれる自然派食品が市民権を得ている事はお話しました。これら自然派食品の普及も、元はアレルギーなどの問題が大きく貢献していると思います。今から10年ぐらい前までは、そのような自然派食品は「リフォームショップ」というところで専門的に扱われていました。大抵その店は薬局に併設されており、非アレルギー食品や低農薬食品、薬草やハーブ、刺激の少ない石鹸などが商品のメインでした。聞くところによるとこの店は日本の生協のように、元は市民団体が消費者の本当に必要とする物、戦後工業化や発展のために拡大したアレルギーなどの問題の反省から、「生活や、商品そのものを見直す」=「リフォーメーション」ということで設立された店でした。現在もまだあると思いますが(シュトットガルトでは見ません)、Bio専門店などの普及からその目的は十分達成できたと思われます。
 
それでは、また。


Coffee Break:ドイツの宴会


 こんにちは。
 
ドイツには宴会はあるのでしょうか。宴会はありませんが、パーティーはあります。同じだろ!と怒らないで下さい。私たちの想像している宴会とはちょっと違うということを言いたかったのです。まず、ドイツでは同じ皿のものをみんなで分けて食べるという文化はありません。結婚式などの立食パーティーに限っては同じ皿のものを食べますがそれぐらいで、普通の飲み会などでは必ず1人一皿です。分けて食べるのは親子とカップルぐらいで、一つの皿のものをシェアして食べたいというと変な顔をされます(ホント!)。
先日職場のレクリエーションに参加したのですが、それはカヌーでの川くだりとバーベキューでした。参加したのは同じ部署の人たち15名ぐらいでしたが、全員男性でした。1人のドイツ人の車に同乗し現地へ向かいました。到着する前に「買い物」と称して、運転手であるそのドイツ人がスーパーに立ち寄りました。何を買うのかと質問すると、バーベキューの材料を買うとのこと。私は何のためらいもなく「この人が幹事で人数分買うのだな」と思っていたところ、スーパーの肉屋のコーナーでおばちゃんに、「これとこれ」と注文し紙に包んでもらっていました。その注文はどう考えても一人分で、しかも肉の切り方などをおばちゃんに細かく指示していました。そしてボーとつっ立っている私に対して「好きなものを注文しなさい」と言いました。どうも展開が読めない私は、とりあえず大きめのソーセージと、牛肉一切れを注文しました。おばちゃんは先ほどと同じようにそれらを紙に包み、私に渡してくれました。今から考えると、肉コーナーにはバーベキュー用の味のついた肉も置いていたのですが、とっさの出来事に明らかにバーベキュー用でないただのソーセージと肉を注文してしまっていました。そのままパンコーナーへ行き、運転手であるドイツ人はパンを買いました。朝食でよく食べるブロートヒェンだったと思います。私はパンは買わず、代わりにスナック類を手に取りそれらをレジに持って行って清算しました。
現地に着くと既に他の参加者が到着しており、カヌーの準備をしていました。私はスーツに革靴という、出張者スタイルでこのイベントに参加したため、私がカヌーに乗っている最中、川の周りを散歩する人からは「どう見てもビジネスマンのアジア人がどんな理由があるのかカヌーに乗って川を下る」という、普段見ることのできない光景を提供していました。無事川くだりは成功しましたが、革靴がびしょびしょになってしまったのは言うまでもありません。
 
さて、そのカヌーを現地のイベント業者さんに回収してもらうとバーベキュー大会の始まりです。
バーベキュー場では仲間のうち、早く川くだりが終わった人たちが火をおこしていました。バーベキューのコンロは、家庭用の大きいものよりは更に四方30cmぐらいづつ幅があり、あみが1m x 1.5mぐらいあったかと思います。大きい分、火の加減もまちまちで明らかに焼けそうに無い場所もあれば、顕著に燃え盛っている場所もありました。火をおこしていた者達が互いに目配せをし大体完了したのだなとわかると、そうこうしているうちに全員が荷物を持って集まっているのが確認できました。そしてバーベキューコンロの周りに円になって集まり、バーベキュー場に予め用意してあったビールケースから各自一本ずつビールを手に持つとおもむろにキャップを空け、まるで申し合わせたかのように静かになりました。幹事(私を現地に連れて行った運転手のドイツ人ではない)とみられる人がドイツ語で何か言うと、乾杯!一口飲んでからまたさらに一息ついて、一斉に歓談が始まりました。一本ビールを開けると、みんなそろって各自の荷物から各々持参した肉を手にバーベキューコンロの上で焼きだしました。私たちと同じようにスーパーで買ってきた人もいれば、自宅で予め加工してきた人もいます。そして、その男どもは言葉を忘れたかのように肉の焼き加減に集中し始めました。火の具合がまばらなので、あみの場所取りも重要です。さりげなく、他の人が目を放した隙に肉と肉の隙間に自分の肉を移動させる者もいます。傍からみると、何人もの男どもがバーベキューコンロを囲み最高の味わいになるよう自分だけの肉を真剣に焼いている、「これはまさにあみの上の肉バトルだ!」といささか漫画チックに考えつつ、日本では経験しない意味の無い緊張感を味わうのでした。ちなみに私の買ってきた肉は、塩味がついてないので味気なく、ソーセージも太すぎて火が回らずいまいちでした。私が同乗した車の運転手だったドイツ人は、買ってきた肉を食べ頃に焼いたかと思うとパンにはさみ満足そうに食べていました。その後各自飲んだ分だけのビール代を払い、バーベキューパーティーは終わったのでした。
 
このように、ドイツでは自分の食べたものだけを払うという意識が徹底しており、そのため予め共有された料理をつまむという習慣がありません。まあ、シンプルでいいと思いますけどね。個人的には。
それでは、また。


ドイツのダイバーシティ その15: ドイツのバレンタインデー

 
こんにちは。
先週バレンタインデーでしたね。インターネットのニュース等を見ていると「俺チョコ」などという単語を散見しますので、日本のバレンタインデーも多様化したなと感じつつ感慨深いです。とあるチョコレート会社の戦略にまんまと乗り多感な子供の頃から2月14日が一年で最もドキドキする日という事実を体験し、意味の無いドキドキになんら実り無く成長してきた身として、私の中でバレンタインという響きは特別に敏感なものになってしまっていました。例を挙げるとロッテの元監督バレンタインの名前をはじめて聞いたときなんとなくトキメいてしまったり、バランタインというスコッチウィスキーの名前を聞いてなんとなく甘いイメージを持ってしまったり。まあ私を含め、青少年時代をリア充できなかった世の男共は似たり寄ったりなのではではないでしょうか。
 
さて、日本ではバレンタインデーといえば女性が男性に唯一告白してよい日(=本命チョコを渡す)というルールが一般的ですが、ドイツや他のヨーロッパ諸国ではどうなのでしょうか。ずばり、ドイツを含むヨーロッパ諸国ではバレンタインデーは主に男性がサービスをするとの事でした。しかも日本のように特別な行事という感覚は全く無くただの記念日的な扱いで(あえて例を挙げれば、お釈迦様の誕生日4月4日でしょうか)特に予定は無いと回答した人が殆どでした。行事の大切さレベルで言うと、クリスマスを10とすると1程度です(超適当ですが)。春先に行われる行事としてはバレンタインデーよりも、ファッシング(南ドイツの春のお祭り)やイースター(復活祭)の方が注目されています。昼食時の会話でもそれらの行事または休暇に関して話題になる事はありますが、バレンタインデーはこちらに来てから話題になった事がありません。この話を切り出した後に、フランス出身のBさんが「じゃあ、今日カミさんと食事にでも行くかな。美味しい日本食レストラン教えて」と言った程度でした。ちなみに韓国では日本と同様女性が男性にアプローチできる日という習慣が定着しているらしく(ロッテの戦略?)日本におけるバレンタインデーの社会的盛り上がりについて私が説明するたび、韓国出身のCさんは終始同意の相槌を打っていました。残念ながら中国の事情はわかりませんでしたが、バレンタインデーにおけるアジアとヨーロッパとの習慣がここまで大きく違っている事に若干驚きつつ、その違いを説明する事が楽しかったのは言うまでもありません(みんな驚くから)。
 
日本および他のアジア地域特有の習慣という事がわかると、興味がわいてくるようで皆色々聞いてきます。私も調子に乗って細かい事を色々説明しましたが、最も話に食いついてきたのがハンガリー出身のAさん独身でした。「女性が男性に告白してよい」というところが妙に気に入った様子で「それで、それで?」と興味津々でした。「その習慣、いいね!」とも言っていました。また、義理チョコ、本命チョコなどのチョコにもランクがあるなどの話や、翌月にはホワイトデーというのがあり男性はお返しをしなくてはならない、などプロセスが妙に厳格に決まっているところが気に入ったようで「そんなの、ヨーロッパには無いよ!」と笑いながらも驚いていたようでした。最終的に彼は「日本へ行ってチョコレートもらいたい」と言っていました。彼はチームのリーダーで、東欧人からなのか礼儀正しく頭も切れるしジョークも言える、ドイツの現地採用なのでドイツ語はおろか英語、ハンガリー語もネイティブレベル、まさにリーダーにふさわしい人です。背丈は日本人程度ですがスマートで、ジョニーディップとトムクルーズを足して2で割ったようなイケメンです。私は心の中で密かに「君ならいくらでもチョコレートもらえるよ」と考えた反面「こいつ、俺に無いものを全て持っていやがる。羨まし過ぎる」という嫉妬心が葛藤し、結局「さあ、どうかな」といういい加減なコメントをしてしまいました。いつも世話になっているのに、やはり人間とは感情の生き物なのだと正当性を自己主張しつつも、この人間社会の複雑さの原因を自分自身の中に見た気がしました。私だけ?
 
ただこのように、少なくともヨーロッパの独身男性(1人ですが)は日本的バレンタインデーの習慣を歓迎しているようですので、日本のポップカルチャーと共にヨーロッパに広げるのも面白いのではないでしょうか。レディ・ファーストが徹底している欧米諸国ではその女性優先という文化に納得できない男性も少なからずいるようですから。
 
それでは、また!


ドイツのダイバーシティ その16: ドイツの花粉事情

 
こんにちは。
先日ドイツにおけるアレルギーに関してレポートしましたが、アレルギーの中でも最も一般的な花粉症について改めて書いてみたいと思います。何故なら私も極端な花粉症で、しかもこれまでは生きとし生けるものとして春の喜びを満喫していたと思いきや、花粉症で苦労されている方々の仲間入りを人生の半分を過ぎたあたりから果たしたからです。つらいっす。
 
ドイツにも花粉症はあります。調べてみるとドイツもしくはヨーロッパの主な花粉症の原因(抗原:アレルゲン)はイネ科の草とシラカバの花粉だそうです。そのため、それらに対してアレルギー反応が無い人は花粉症にはなりません。専門家に言わせると体内の抗体によって症状が出るかどうかが決まるそうです。抗原が体内に入ると必ず抗体は作られます。ただしアレルギー反応はその抗体が一定量を超えた時に出るらしく、どの抗体がどれぐらいの上限なのかは個人差によるとのこと。日本ではスギかヒノキ(ブタクサも?)の花粉が一般的ですが、抗原が異なるため花粉症になるかどうかは運次第というわけです。ちなみに私の場合は、ドイツでも花粉症を発症してしまいました。私の抗体の上限はドイツの花粉でも超えてしまうらしいです。orz
ただ心配する事は無く、ドイツ人も沢山花粉症の人はおり対処療法があります。ドイツの花粉は5月から8月ぐらいが飛散のピークですが、大抵の人は4月位から花粉症のための薬を飲みます。薬局で「花粉症」というと適当に処方してくれます。ちなみに私は、Loratadin(ロラタジン)という薬を飲んでいます。持続性選択ヒスタミンH1受容体拮抗薬というものらしいです。一日一錠で、これを飲んでから花粉症の症状が全くでなくなりました。日本でも2017年1月から医師の処方なしで買えるようです。ドイツへ来て急に花粉症になってしまった方にはお勧めしますが、万能ではないと思いますのでできればアレルギー反応試験をしておいた上で薬を選んだ方がよいかと思います。
 
ここで、何故ドイツ人は薬に頼るのか?という疑問がわきます。話を聴くと、殆どの人は薬を飲んでおり子供にも迷わず薬を与えるそうです。私の分析によると、これは生活習慣に関係していると考えます。まずドイツ人はマスクをしません。そしてあまり傘もさしません。この二つは一見関係無いように思えますが根っこは同じみたいです。というのは、ドイツを含むヨーロッパの天候は曇りがちで冬などはいつもどんよりしており日本と比べるとあまりはっきりしていません。温度に関しては寒い日が多く暑い日は少ないのは確かです。ただ風と雨に関しては、激しくふいたり降ったりすることは実はあまりありません。風はいつも穏やかで、日本の春一番や台風のような風はこれまで一度程度しか体験していません。雨も同じで、土砂降りは滅多になくいつもシトシトしています。穏やかな風で砂埃も立ちませんのでマスクも必要ないし、さす機会が少ないので傘もあまり必要ない。ということで、日本と逆にマスクをしていたり傘を差しているのが日常的にマイノリティであるためそのような習慣がない。結果的にマスクをしない、傘をささないための習慣が生まれます。"Coffee Break:ドイツ人と薬"で、欧米では人前で鼻をすすることがマナー違反とのご指摘がありました。マスクをせず、鼻をすすらないためには薬を飲むのが最も効率的ということだと思います。傘に関しては、雨の季節にはフードつきのコートを着る人が圧倒的に多いです。
 
ということで、地域によって習慣が異なるのは気候も関係している事がわかりました(私の勝手な解釈ですが)。まさに「郷に入れば郷に従え」です。このような格言にも考えてみるとちゃんと理由があったのねと、昔の人の知恵に関心しきりであります。
 
それでは、また!


Coffee Break:ドイツの服

 
こんにちは。
 
先日、シュトットガルトにユニクロがオープンしました。別に何の思い入れもないメーカーですが、何となく嬉しいですね。同僚のドイツ人が、「僕はユニクロの服が好きなのだ」と言っていました。「何で?」と思いましたが、この人は日本に観光に行くような人なので恐らく本当なのでしょう。それにしても日本人とドイツ人の体型は違うので、いい服だと思ってもそのまま着られない場合もあり悩みます。
 
ある時どうしても新しいワイシャツが必要になり結構な数のお店を回ったのですが、日本人の体型にあう裾丈のシャツがどこにも無く断念しました。最終的にたどり着いたワイシャツ専門店にもサイズが無いとわかった瞬間、一日かけたそれまでの苦労が全て無意味なエネルギーの消耗へと区分されどっと疲れました。それにしても同じ背丈でも手の長さや足の長さがここまで違うという事実には正直驚きました。と言うのも、ドイツと言えどシュトットガルトのように南の地域は比較的背の低い人や、やせている人が多く日本人の体型に近い服が売っているのでは?と思ったからです。統計的データがあるかどうかわかりませんが、私の所感ではハンブルクやケルンなどドイツの北の地域では背の高い人や太っている人が多いように思います。それに対しシュトットガルトやミュンヘン近辺では背の低い人が多い。特にその傾向は女性が顕著だと思います。北の女性は本当にデカい、ような気がします。だからイケナイということは決してありませんので誤解の無いようにお願いします。
 
これら北と南の民族の傾向は色々な部分に現れます。世界的にドイツ人はケチだと言われますが、北のドイツ人は南のドイツ人をケチだといいます。私はそうは思わないし、実際は南の方がいい車が多く走っており外食にもよく行くのですが、恐らくは南の方が経済的に豊かでちょっとした嫉妬的なものなのではと思います。ただ一般的に見られる金遣いが荒い人があまりいないのは事実だと思います。旅行か、車か、家に湯水の如く金を使いますが普段の生活はつつましく、安いものがよく売れます。
 
子供の学校の友達の親御さんで、それぞれの地域のドイツ人を日本におけるそれぞれの地域の日本人に当てはめた方がいました。その方曰く、シュトットガルトのドイツ人は名古屋の人に特性が似ているとのことです。ちなみにミュンヘンは大阪とか。ちょっとだけわかるような気がします。
 
それでは、また。


ドイツのダイバーシティ その17: ドイツの野菜

 
こんにちは。
今回の話題はドイツの野菜です。ヨーロッパの野菜問題からダイバーシティを考える、まさにグローバルな取り組みと思います(そうかな?)。というのは単なる私の大袈裟な表現で、本当は読者の方からの質問が元になっています。アメリカ滞在経験のある方から、アメリカでは日本に比べてスーパーにおける野菜の扱いが雑多で、果物はどれもそこまで甘くなく、形もそろっていなかったり、パッケージもなくただ並んでいるだけ。ドイツには日本と同じようなこだわりはあるのか、という疑問でした。
食品の扱いはその国の食文化を表していると思います。ドイツでは最近の健康ブームの波に乗り、野菜中心の食事に切り替わりつつあるようです。というのは、ここ10数年のスーパーでの野菜の種類を考えると倍もしくはそれ以上の野菜が並ぶようになりました。例を挙げえると、大根、白菜、しいたけなどが新しい野菜としてお目見えしています(昔は無かった)。キャベツなども日本のように丸くて柔らかいものを置いているところも多くなっています(昔は無かった)。また、それぞれの野菜毎に種類も増えており、且つ低農薬食品のBioブランドなどもありますので、売り場面積でいえば日本の野菜コーナーと同じもしくは大きいのではないでしょうか。トマトなどに至ってはイタリアが近いせいか、ミニトマトや中型トマトを含めると20種類以上売っている所もあります。赤だけでなく黄色のトマトなど色や形も様々です。ただ、扱いはそれぞれの値段により異なり、高いものですときれいに洗ってパックしてありますが安いものは量り売りが一般的です。野菜コーナーの真ん中に量りがあり、野菜をのせてボタンを押すと値段とバーコードのシールが出てきます。それを野菜に貼ってレジに持っていく仕組みです。誤魔化されそうなシステムですが、大した値段でもないので皆正しく運用しているようです。実はこの量り売りが重要な役割を果たしているが、ジャガイモ、たまねぎ、ニンジンなど常用野菜として比較的雑多に扱われている野菜です。日本と異なり、大きさがまちまちですので「何個でいくら」という売り方ですと不公平が生じます。そのため、野菜の値段のつけ方は大抵1kgあたりの値段が全ての野菜に書いてあるので比較がし易いですが、そのため1kgあたりの値段が安い商品が一斉に無くなるという事態も時々生じます。
ここで、代表的な野菜の日本とドイツでの違いについてみていきましょう。
 
ジャガイモ:日本ではメイクイーンと男爵ぐらいしか思い浮かびませんが、さすがに主食という事もありジャガイモだけで一コーナー設けています。種類も10~15種類は常においてあり、基本は量り売りですが安売りの時には10kgで4ユーロ(約500円)という時もあります。大きいものですと25kg袋に入って売っています。あまりにも食べるので毎年ジャガイモの毒で死者が出るほどだそうです。青芽はキチンと取りましょう。
白菜:最近トレンドになってきた白菜ですが、こちらでは縦に細く切ってサラダでいただきます。私の感覚ですと白菜は煮て食べるか漬物なので、サラダで食べるには違和感がありますが、こちらの方々に白菜を煮て出したところ、「白菜は煮るとこんなに美味しくなるのか!」と驚かれたそうです(ある駐在員談)。
きゅうり:日本とドイツで最も違う食べ物の一つなのではないでしょうか。日本のきゅうりは太いサインペンぐらいですが、こちらのきゅうりは女性の腕ほどあります。味も大味で青臭さがなく、食べやすいかもしれませんが我々からするとちょっと物足りないです。ただ、でかいので調理には便利ですしなんとなくお得感があります。サラダかサンドイッチに合いますが、おひたしなど風味を味わう事は難しいです。
なす:基本的に米ナスになります。あの、でっかいやつです。煮るとすぐにぐだぐだになるので使いづらいです。これもお漬物にすることはできません。
キャベツ:最近は日本のようなキャベツ(UFOのように平たい)が出回っていますが、こちらのキャベツは基本的に先がとんがっていてとても硬く且つ一枚一枚がメチャクチャ厚いので煮るしか調理の方法がないです。煮ると柔らかくなり甘みも出て美味しいです。
きのこ類:メインはマッシュルームになります。白と茶色がありますが、中にはとてつもなくでかいのもあります。最近しいたけが出回ってきました。Shiitakeという名前で売っています。食べられる?みたいですが、さすがにディズニーの7人の小人に出てくるようなカラフルなきのこは売っていません。あと、エリンギとアンズタケというきのこも人気です。残念ながらエノキダケや舞茸、シメジ、なめたけらしきものはありません。きのこに関しては日本の方が圧倒的に種類は多いと思います。亜熱帯だから?
 
それでは、また!


ドイツのダイバーシティ その18: ドイツの鉄道

 
こんにちは。
「世界の車窓から」という番組をご存知でしょうか。あの番組を見てあんな風に他の国で鉄道の旅をしてみたいという人も多いはず。こちらにきて思ったのは、鉄道の旅ができるのはお金と時間に余裕のある人という事でした。基本的にドイツを含むヨーロッパでは、鉄道より車での移動が好まれます。地方の観光地はへんぴなところにある場合が多く鉄道は思ったほど便利ではありません。よっぽどの都市でない限り、鉄道とバスだけで行きたい場所へ目的どおりの時間で行くのは至難の業のように思います。レンタカーが進んでおり、鉄道が発達しないのはそういう事情があるからでしょう。とはいうものの、ちょっとした通勤や日常の移動に関してはやっぱり電車は便利です。街中へお酒を飲みにいく時などは必須です。ドイツでも夜遅い電車には酔っ払いが多く乗っています。
ドイツでは各都市を結ぶ鉄道は一つしかなく(旧国鉄と同じ)ドイチェバーン(DB)と呼ばれています。各都市には地下鉄やバス、ローカル線がありそれぞれの会社が運用しています。ただし日本のように私鉄(各都市の運用会社はDBとは違うので私鉄のようなものかもしれませんが。それとも街の交通局?)は無く、基本的にDBと各都市の運用会社しかありませんし、ホームが分かれているので車両の乗り入れも無いのでPASMOのようなものは必要ないです。そもそもこちらには切符はありますが改札がありません。時々イレズミと鼻ピアスしたごっつい方が検札に来ます。切符を買ってないと罰金を取られるのですが、罰金よりも検札員につかまって囲まれる方が嫌だと思います。検札員は突然「これから検札を始めます。切符を見せてください」と言って客の席を周ります。新幹線のように帽子や制服を着ているわけでもないし、基本的にそれっぽくない人がやっていますからキチンと切符を買っている場合でも何故か緊張してしまいます。
このように市場が固定されており、あまり競争にさらされていないように見えるドイツの鉄道ですが最近ちょっと変ってきたようです。シュトットガルトの地下鉄では市内の大手の会社とコラボして、「車の排気ガスによる汚染を抑えるためのキャンペーン」と称して排気ガス警報(または霧など)が発令された日には大人が子供料金で市内の鉄道に乗れるという企画を実施しています。私が働いているドイツの会社もこれに賛同していて、私が働いているドイツの会社の従業員は社員証を見せればただで乗れます(ホント)。対象となる日にはチケット自販機にその旨表示されます。また昨年の2週間ほどの間、地下鉄のある区間においてそれぞれの駅の名前にちなんだ替え歌を駅の案内の前に地下鉄内で流していました。乗客はみな笑っていましたが、それを聞いた瞬間「日本の山手線文化がドイツに届いた!?」と思いました。
色々変る工夫を試みているこの業界ですが、それにしても日本と比べてなにが物足りないかというと電車のバラエティーが極端に少ないのです。私鉄の数が滅法少ないのでしょうがないかと思いますが、私が知っている限りドイツでは両手であまる程度しか鉄道車両の種類がありません。ドイツの新幹線であるICEも車両は基本一種類だし、古いのと新しいので違いはあるもののそれぞれの都市の鉄道も一種類か二種類です。そのせいか、ドイツで撮り鉄らしき活動家の存在を確認していません。それはそれで寂しいような嬉しいような複雑な想いがある反面、他の国の事なので正直どうでもいい気もします。
 
それでは、また!


Coffee Break:ドイツのクリスマス

 
こんにちは。
11月なのに、日本で都心に雪が降るというコメントをいただきましたが早くも寒い冬に突入と言うことですね。皆さんお体には十分お気をつけ下さい。
 
さて、こちらでは今週から既にクリスマスマーケットが始まりクリスマスムード一色です。早いところでは9月ぐらいからスーパーの一角に特設のクリスマス関連のグッズがお目見えしていますが、今や溢れんばかりのチョコレートサンタとアドベントカレンダー *で埋め尽くされています。日本では2月14日のバレンタインデーがチョコレートが大きな市場となっていると思いますが、ヨーロッパでは間違いなくクリスマスでしょう。こんなに売れるのか?というぐらいの量のチョコレートが大量に陳列されています。各メーカー趣向を凝らしているものの、売れ筋は同じらしく、先ほどの人型のチョコレートサンタは各社出しています。大きいものもあれば、小さいものも。こちらの人は鯨とイルカは食べないですが、サンタは食べるようです。
郊外の住宅地では、街灯や街路樹がデコレーションされており否が応にも気分が高まります。そういう商店街には、何故か人気の無い夜中に寒い中カップルが厚着をしてぴったりくっついて散歩をしています。商店街を離れても、家の窓にローソク型のランプでデコレーションしている個人宅が目立つようになって来ました。ただドイツでも、日本で有名になるほどの家全体をクリスマスデコレーションした個人宅を見たことはありません。日本人の目的(何の?)を完結する努力のすごさを改めて感じています。庭の木にデコレーションしている家はありますけどね。
 
クリスマスマーケット(独: Weihnachtsmarkt)ですが、基本的に12月24日に至る4週間行われます。この期間はアドベント(待降節)と呼ばれ一年中で最も長く華やかなお祭りとなります。そのお祭りの間中、至るところでクリスマス関連の市が立ちます。これがクリスマスマーケットです。クリスマス関連の市ですので、キリスト教関連の人形や、クリスマスツリーの飾りつけが売っていますが、クリスマスに特化したケーキ等以外にも、普通のお菓子や、パン、食べ物も売っています。さすがに、冷凍の魚や、生鮮食料品は売っていませんが、お祭りらしくポップコーンや、甘栗、キャラメルピーナッツなども売っています。昼間は子供や家族の時間ですが、夜寒くなると大人たちがこぞってグリューワインを飲みにやってきます。小雪が降るほど寒い夜に、暖かい格好をして気の合う友人と連れ立って肩を寄せ合いながら飲むグリューワインが格別なのだそうです。そのため、あるドイツ人は最近の気候の変化、暖冬になってからグリューワインが美味しくなくなったなどと言っていました。これもある意味文化なのでしょうね。
先日シュトットガルトのクリスマスマーケットに行ったのですが小学4年生ぐらいの子供がトランペット片手に街角に立っており、何をするのかと見ていたらトランペットで演奏を始めました。たしかドイツ国歌だったと思います。ヘタではないですが、大して上手くもなかったです。演奏が終わると大人たちはその子供をねぎらい、子供の前においてある帽子のなかに小銭を入れ始めました。そしてまたしばらくすると子供は演奏を始めました。その繰り返しでなのか、帽子の中はすでに小銭で一杯になっていました。マーケットを一周するうちに、そういう子供を3人見ました。これが合法のアルバイトなのかどうか、バックに誰がいるのか、大人的に汚い想像をしてしまうのですが、単純に子供たちの小遣い稼ぎの伝統なのかもしれません。ただ子供たちは特にお腹をすかせているようでもないし、そういう意味でもいい時代になったと思う半面、マッチ売りの少女の話を思い出しヨーロッパでは解決されたかも知れないこの問題が、今でもこの世界のどこかで(日本でも!)おきている事実を忘れないようにしたいと感じました。
 
それでは、また。


ドイツのダイバーシティ その19: ドイツの新幹線

 
こんにちは。
前回ドイツの鉄道について紹介しました。前回は市内交通についてですが、やはりドイツといえばICEでしょう。ドイツの新幹線で主要な首都を300km/hのスピードで結びます。ただ、ドイツの場合は専用線ではなく一般の電車が出入りするホームにも入ってきますから実際に300km/hで走るのはかなり限られた区間だと思います。またそのため時間が正確でないという欠点もあります。それでか停車時間は日本の新幹線よりも長いです。それでも乗り換えの場合は十分な時間が無いとハラハラします。過去に乗るべき電車が遅れてしまい、アナウンスがあったにも気づかず正しい時間に来た違う車両に載って逆方向へ行ってしまったことがありました。というか、よくあります。
ドイツの駅はいわゆる「どんづまり」の駅が多く駅に到着した方向と逆の方向へ走り出します。シュトットガルトの駅もどんづまりです。ですので、今自分がどこに向かって走っているのか、列車が走っている方向ではわかりません。また日本の新幹線のように、席が進行方向に対してどちらにでも背もたれが自在に設定できる工夫が無いので、先ほどまで前に向かって走っていたかと思うといつの間にか後ろに向かって走っていたりします。慣れない人には気持ち悪くなると思います。
そんなドイツの新幹線ICEですが、お国柄食事事情は充実しています。専用のレストラン車両もありここではゆったりと食事ができますし、コーヒーも飲めます。また、車内販売もあります。ドイツでは何故か男の人が担当しています。恐らく鉄道会社の職員ではないでしょう、着ているものもエプロンなどではなくポロシャツにジーパンといういでたちでかなりラフな感じです。財布もぼろぼろでした。自動販売機はありませんが、トイレなども飛行機並みの装備でお湯も出るし本当に時間があれば列車の旅も悪くないと思います。
 
日本とドイツで根本的に異なる点は乗客です。日本ですと圧倒的にスーツを着たビジネスマンが多いですが、ドイツのICEでは本当の旅をしていると見られる人たちが多いです。ビジネスマンもいますが少数だと思います。まあ、ドイツではビジネスマンなのにリュックを背負ったりしますし、出張でもスーツを着ることは少ないのでもしかしたら彼らはビジネスマンなのかも知れませんが、大きなリュックやぼろぼろのスーツケースを持ち、Tシャツにジーパンでりんごを皮ごとかじっているような人が多いです。家族ずれも多いですが大抵子供は小さい子が多いです。もちろんバギーを置くスペースもあります。女性の1人旅も多く、化粧気がなく日焼けした35歳ぐらいの女性もいます。やはりぼろぼろのリュックを持っています。グループで旅をしている若者もいます。ただ彼らは席でお酒を飲んだりはしません。コーヒーは飲みますがお酒はレストラン車両で飲むようです。ビール片手につまみを食べて乗っている人を見たことはありません。
 
検札のシステムは日本と同じらしく、駅に止まるたびに職員の人が来ます。ただし切符に関してはすでにe-ticketが主らしく、私もそうでしたがA4の紙に印刷してきている人が殆どでした。飛行機も同じですが、バーコードで読み取るようになっています。これに関しては日本より進んでいると思いました。職員の人は女性が半分くらいです。若い人もいればそうでない人もいます。ドイツでは鉄道の運転手も女性は珍しくないです。ダイバーシティ云々という以前に、あらゆる分野において女性登用に関して特に障壁が無いという感覚を受けました。これが正しい姿だと思います。日本では何時、そのような女性登用に関する議論が終わり、当たり前のことが当たり前にできる社会になるのでしょうね。
 
それでは、また!


ドイツのダイバーシティ その20: ドイツの女子大生

 
こんにちは。
このタイトルを見て、何故「大学生」ではなく「女子大学生」なのか?と疑問を持たれたことと思います。それは単純に私の知り合いのドイツ人の子供が女の子で、その子達が大学生になったからです。逆に男子大学生の事情はわかりません。恐らく同じようなものだと思います。
 
ドイツの大学は主にギムナジウムを卒業した人が入ります。他の学校、実務学校(レアルシューレ)や、一般学校(ハオプトシューレ)からも入れると思いますが、アビテューア(通称:アビ、大学入学資格試験)をパスしなければならないため、そのための教育を受けていない人は入学は著しく困難です。ギムナジウム以外の学校に行っている人(インターナショナルスクールを除く)はそのまま就職します。大抵はそれは、パン屋さんやデパートの店員、市役所の受付などです。大学はプロフェッショナルと呼ばれる職業、研究者や技術者、医者や弁護士のための学校と区分されています。そしてドイツを含む欧州の卒業時期は6月頃ですが、大学の入学時期は9月です。詳しくはわからないのですが、ギムナジウムの生徒たちは6月までアビのために必死に勉強します。落第、またはアビの受けなおしは人生2回のみだからみたいです。2回落ちたらどうなるのか知りませんが、恐らく方針転換を迫られるのでしょう。いずれにせよ、もう大学には行けません。その辺は日本と同じですね。何回でもチャレンジできるという部分は違いますが。
で、無事アビを合格すると大学へ行くのですがそのまま大学へ行くのはまれなケースです。というのは残りの2ヶ月で大学を選んで進学するのは時間的に無理、だそうです。日本の場合は在学中に行きたい大学を目指して勉強し、そのまま大学の入学試験を受けますが、ドイツの学生は大学入学資格のアビを目指して勉強します。その後大学選びを本格的に始めるのですが、基本的に7月8月はバカンスの時期ですので大学もやっていません。手続きもできませんので入学もできないというわけです。そうなると学生はどうするかというと、次の年に大学へ入学します。とはいえ、入学時期は9月で変りませんから手続きが始まる次の年の4月頃まで時間が空きます。そのため殆どの学生は旅に出たり、兵役をしたり、アルバイトをしたりとこの間に社会経験をする事になります。少なくても、家でこれからの大学生活に向けて勉強をするということはまずありません。しかしながら、これが人生観を確立させるために非常に役立っているとの事です。何故だかわかりませんが、その親はその有効性を主張し子供たちを旅に出します。子供たちも前からそのように言われているのか、何のためらいもなく旅立ちます。
 
知り合いの2人の女の子もそうでした。2人ともワーキングホリデーを使って大学入学前の一年間を海外で暮らすという選択をしています。長女の方は日本の京都で呉服屋のアルバイトをしながら1人暮らし。次女の方は今カナダにいます。だからなのかわかりませんが、ドイツの新卒の年齢は30歳ということも珍しくないとのこと。ドイツの大学は入学よりも卒業の方が難しく、一方で授業料が無料で、しょっちゅう休みがあり学生にとって居心地が良いかららしいです。そのため、日本のように新卒者の年齢が一定でないのであまり年齢に関心がありません。よく考えると職場の同僚の年齢も全く知りません。年齢に関してあまり話題になる事が無いからです。ドイツで先輩後輩や上下関係があまり意識されないのもそれが自然だからでしょう。職場ではみなファーストネームですが、そもそもお互いの年もわからないので、敬称とか意味が無いですから。そういう意味でも、私が現在働いている会社の「さん」づけ運動を私は支持したいです。この場合、ダイバーシティというよりは同一化ですが。
 
それでは、また!


Coffee Break:ドイツの健康と習慣

 
こんにちは。
聞いた話によりますと、一年の抱負で最も多いのがダイエットだそうです。まあ、ダイエットにも色々ありますが言うなれば健康を維持したいということでしょう。で、抱負の中で最も達成困難(リタイアの率が多い)のもダイエットとのことです。なんとなくわかる気がしますね。それ故世の中にはダイエット商品、健康商品、サプリメントなどが大きな市場となっているのでしょう。健康を望む気持ちは万国共通だと思いますが、残念ながらこれまで体に気を使ってこなかった場合には健康な体に戻るための近道は無いと思います。一度体を壊してしまうと簡単には元には戻れないし、それ以上に経済的負担も大きく、最悪の場合貧困の危険性もあります。皆さん、長時間残業は止めましょう。
 
さて、健康を望む気持ちは万国共通と書きましたが、ドイツもその意識は高いです。元々森の中に住み自然を愛する民族だからでしょうか。先に紹介した低農薬食品のBioシリーズを始めとして、その手の自然食品を専門に扱うスーパーが大きい街には必ず何軒かあります。以前は「リフォームハウス」という名前で薬局みたいな感じの店が多かったのですが、最近ではスーパーそのものになっています。そこでは低農薬材料を使ったパンや、ハムや卵。タンポポティーなども売っています。子供がいると、やはり良いものを食べさせたいという親は多いらしく意外に混んでいます。こちらでは、格安スーパー、普通のスーパー、ちょっと高いスーパー、自然食品系スーパーなどかなり沢山の種類のスーパーがありますが、置いてある製品はきちんと棲み分けがされており消費者の要求を満たせるよう選択肢が整えられている気がします。日本ではショッピングモールが盛んですが、ショッピングを楽しむには良いですが普段の買い物には疲れるかなと。必要なものを必要なだけ買うドイツ人には、予め事前に商品の選別がされているスーパーの方が効率的なのかもしれません。
 
ご存知だと思いますが、ドイツでは日曜日は買い物ができません。宗教上の理由からです。日曜日は休息の日なのですが、教会税を払っている方々は教会に行きます。そのため、神父さんや牧師さんは日曜日も働いています。そのほか、レストランやガソリンスタンドは日曜日もやっています。一部のパン屋さんもやっているところがあります。空港や、電車やバスは動いています。遊園地は日曜日もやっています。今日本で話題のレゴランドですが、ドイツにはシュトットガルトの近くのウルム方面にレゴランドがあり、休日は多くの家族でにぎわっています。クリスマスマーケットも日曜日はオープンです。一体どういう基準なのかはさっぱりわかりませんが、必要最低限のものを除いて、日曜日は休めという事なのかと思います。スーパーも百貨店もショッピングモールも文房具屋も薬局も日曜日は休みですから不便だとはじめは思いますが、慣れると全く問題ありません。必要な買い物を土曜日に済ませるとあとはそれを消費するだけとなり、そもそもたった一日ですし、残り物もついでに消費されますので、むしろ効率的かと思います。休日もお店はお休みなので、日曜日と重なるとちょっと焦ります。買い物できなし、だから旅行行くんですかね。
 
今日本では、24時間営業を見直すという動きがあるようですが私は単純に賛成です。そもそも寝ていますし。需要があるのはわかりますが、効率はどうなのかなと。電気も24時間つけっぱなしですよね。ドイツの日曜日のように、みんなが一斉に休日で同じ行動をする必要も無いのかもしれませんが、週に一日ぐらいは買い物もできず行く場所が子供と近所の公園しかないという、強制的のんびりな時間があってもいいのかなと思います。
 
それでは、また。


ドイツのダイバーシティ その21: ドイツの難民事情

 
こんにちは。
難民の問題はドイツに限った事ではないヨーロッパ全体の問題ですが、残念ながら私はドイツに住んでいるのでドイツの事情しか知りません。そしてこのような全世界的で深刻な政治的案件をこのような気楽なところに記述して良いのか私自身疑問なのですが、ま、いいでしょ。
 
2年ぐらい前でしたか、内戦の影響でシリアからの難民が社会問題化しました。そのときドイツの方針は、「難民は人道的問題である」として受け入れを決めたことはご存知だと思います。現在その方針に疑問符が突きつけられていますが、大きく転換してはいません。ヨーロッパ各地でテロが起きていますし、ここドイツでも難民に関する事件のニュースが増えています。それにもかかわらず、市民レベルでは難民を支援する活動は着々と根付いています。
例えば私が暮らす街には難民用のアパートがありますが、仮設住宅だったものが最近建て替えと拡張の工事が始まりました。また、子供が通っているインターナショナルスクールでは難民の家族を呼んで交流するというプログラムを実施しています。難民とはいえキチンと手続きをして入国すれば自由が保障されている模様で、ドイツ語学校のクラスメートにも多数の難民の方が在籍しています。高速道路を走っていると難民の方々が乗り合いで車に乗っているのを見かけますし、大型スーパーでも普通に見かけます。私が通っているフィットネスクラブにも沢山います。それらの行動を見ると、難民ではあるものの何の分け隔てもなく公共のサービスを提供しているドイツがある意味「スゴイな」と思います。慣れているというか。当たり前のことを当たり前にやっているといわれるとそれまでですが。
 
あまり報道はされませんが、ドイツの難民問題で重要視されているものに教育があります。難民の子供たちは、希望すればお年寄りのボランティアによるドイツ語教育を受けられます。民間のドイツ語学校も活用されています。小中学校でドイツ語も習いますが、始めのうちは授業を理解するのが困難だからです。
彼らは自分たちの立場をよくわかっており、モチベーションも高いです。ある人は、シリアにいた時IT エンジニアを目指して勉強していたものの内戦で勉強が続けられなくなりドイツへ来たと言っていました。ドイツでIT エンジニアの勉強を続けるためにドイツ語を学んでいるとのことです。しかしながらいつかはシリアへ帰り仕事をしたいと言っていました。ある時彼が歴史上の好きな人物に関するプレゼン(ドイツ語の勉強のため)をした時のテーマが、シリアの王様に関する内容でした。はるか昔の王様で、今ではその王宮は遺跡として残っているだけみたいですがかなり詳しく説明してくれました。世界史の中で他国の歴史をちょっとかじった程度の私にとってとても新鮮であると同時に、自国の王様について熱く語る彼を目の当たりにし、難民の方々にも当然母国というものが根っこにあり自身の選択によらず他国で暮らすことを余儀なくされるということが如何に不自然なことか考えさせられました。それでも彼は始終笑顔を絶やさず時にはクラスメートを笑わせることもあり、他方家族愛もあり芯も強く、しかもかなり優秀で覚えも早くまさにこれからの社会に求められる人材だと思いました。このような人材を多数支援しているドイツに正直若干恐ろしさを感じました。こりゃ、負けるなと。
 
決して日本も真似をすべきと言うわけではありません。難民に関しては日本にはドイツとは違う障壁があると思います。一番違うのはアプローチですかね。外国人と聞くと違う人間という考えが先ず沸いて警戒しますが、同じ人間という考えから始めるのも大事かと。ただ違う言葉を話して、習慣も違って、宗教も異なって。。。結局ダイバーシティ的理解が大事、ということですかね。感じ方は人それぞれですけど。
 
それでは、また。


ドイツのダイバーシティ その22: ドイツのチップ事情

 
こんにちは。
このテーマは読者からいただきました。その方曰く、アメリカはチップ社会で何をするにしてもサービスをしてくれたら基本はチップ。タクシーでチップ。ホテルのベッドメイキングにチップ。レストランでウエイター / ウェイトレスにチップ。で、ドイツのチップ事情はどんなのかと。何か線引きはあるのかと。
正直この質問はかつて無いほど難しい質問だと思っています。何故ならドイツでもチップは日常的に行われますが、その基準または線引きは各個人によって大きく異なっているからです。ちなみに私はチップ積極派ではないです。ケチってこと?周りの人の話を聞くと下記のパターンになりました。最も多かった順です。
 
1. いつも端数を切り上げてチップにする(例:69.5ユーロだったら72ユーロで払う)
2. その時の気分次第で額も決める(よいサービスと思ったら払う、払わない時もある)
3. 概ね2ユーロと決めている。手渡しするため(2ユーロがコインで最も大きい額)
4. 厳密に計算してチップ額を決める(チップ計算用電卓もある!)
 
ということで、端数を切り上げてチップにするパターンが一番多いことがわかりました。やる・やらないの線引きに関してはホテル以外では概ね支払うという回答が一般的でした(ドイツでも殆どのホテルではサービス料10%が含まれていることが多い、明細に書いてある)。額の決定に関しては個人様々でしたが、話を聞く限り3%~5%ぐらいが多かったです。さすがに日常的には、ガイドブックに書いてあるような10%や15%もチップを渡している人はいないようです。
アメリカに在住されていた友人に詳しく話を聞くと、どうもアメリカとの違いはアメリカではサービス業の労働者の給料が安く、よいサービスを提供する事でチップをもらうという収入形態が確立されており、それがモチベーションになっているとのこと。そのためある時その友人がアメリカで食事をし支払いを終えた後、店を出るとウェイターに後を追いかけられ「チップが少ない」と追加を要求されたとのこと。嘘のようなホントの話ですが、そのウエイターからすると就業義務にないよいサービスを提供したのにもかかわらずチップの額が伴っていないという事なのだと思います。さすがにそのような事はドイツで未だ経験していません。
なおレストランでは基本の額があるので、ある程度相対的にチップ額も決定されますが問題なのはその他のサービスです。タクシー、ホテルのベッドメイキング、ホテルのポーターなど。この場合に関しては上記2. と3. の組み合わせが最も多かったです。良くしてもらったと感じたとき、手持ちの小銭からまとまった額を手渡すというものです。
 
またチップの必要性について話をしましたが皆口をそろえてその必要性を主張するも、良いサービスの考え方や額はまちまちで、最終的にはそれぞれの感じ方があっていいと認めつつ、正直面倒くさい風習だと結論付けられました。この点に関してはチップの無い日本でよかったなどと思いました。今回の議論は払う方の立場からの議論ですが、もらう方からの議論も是非聞いてみたいと思いました。
そういえば昔小学生の頃、満員電車でおばあさんに席を譲ったら、そのお礼だと思いますがなにかアメみたいなものをもらいものすごく恥ずかしかった覚えがあります。そして純粋な子供心に「そんなつもりじゃないのに」と思い、何かいわれの無い仕打ちを受けているような気分に陥った記憶があります。チップのようなものと今改めて考えれば、堂々ともらうべきだし、少なければ追加で要求もありかなと。もっと強く生きろということか?
でもそんな強欲で黒歴史のいっぱいある子供で無かったことに自分自身安堵しております。
 
それでは、また。


Coffee Break:ドイツ人と薬

 
こんにちは。
インフルエンザ、流行っていますね。こちらドイツでも流行はあるかと思いますが日本ほどではないです。ニュースになる事はありませんし、予防接種の奨励もありません。そもそもこちらでは、マスクをしません。マスクをしている人はドイツへ来てから、街中では一人も見ていません。顔全体に布をかぶっている人はいます。イスラム教の女性です。それ以外で顔の一部を隠す、もしくは何かで覆っている人は間違いなく怪しい人です。それぐらい、マスクは日常品ではありません。日本でマスクをする人の殆どが花粉症対策だと思います。私もそうでした。それではドイツでは花粉症が無いのか、というとバリバリあります。松もあるしスギもある、小麦や大麦も日本より栽培面積は大きいですし、春と秋に大変つらく苦しい時期がやってきます。でも、人はマスクをしません。マスクをすると変な目で見られるからです。
こちらの人は花粉症対策に薬を飲んでいます。薬局(Apotheke)で症状を言うと効果のある薬を出してくれます。日本も同じですが、医者に行くとアレルギー反応のテストをしてくれ薬を処方してくれます。そのようにしてドイツ人は毎年の花粉症に備えています。話を聞くと、毎年事前に薬を飲み始め花粉が収まるまでのみ続けるとのこと。マスクや、他の民間療法と根性で乗り切るという事は全くしないようです。確かに、ドイツへ来て鼻をすすっている大人や子供をあまり見た事がありません。その代わり人前でも遠慮なく大きな音を出して鼻をかみますけどね。日本では人前で鼻をかんだりしませんよね。ですので、電車に乗っていて目の前の人がいきなり大きな音で鼻をかむと気分よくないです。しかもこちらの人はそういうときには絶対遠慮をしませんし(遠慮は体に悪いと思っている)、思いっきりしかもすすり残しの無いように必要以上長くするので電車中に響きます。他のドイツ人は知らんぷりですが、びっくりします。あれをやられると、どうして日本で蕎麦を食べる時に音を出してはいけないと、他の国から来た人に言われなければならないのかという感情が蒸返り、納得できないという気持ちになります。
 
さて、インフルエンザの話に戻りますが子供にとってはインフルエンザは怖い病気に変りはありません。かといって、積極的に予防接種するかというとそんなことはありません。当然医者にもよるかと思いますが、こちらの医者はどちらかと言うと子供に余計な薬や注射をしたがりません。先日子供の同級生が熱を出し医者に行き、「早く直したいので抗生物質を処方して欲しい」と頼んだところ、「そんな必要な無い、寝てれば治る」と言って拒否されたそうです。もちろん、国で定められている予防接種や3種混合ワクチンなどはちゃんとしますし、記録を残してくれます。こちらにも日本の母子手帳に近いもの(Kinder Untersuchungsheft子供の調査証)が出産後配布され、そこに身長や体重、予防接種の履歴など検診へ行くたびに記入してくれます。予防接種に関しては、摂取した薬のシールを貼ってくれます。ただ、薬の副作用や危険性などを医者は知っていますのでむやみに薬を出したがらないのだと思います。
ドイツにおいて子供の病気?で最も恐れられているのがマダニによる急性脳炎です。特に初夏、南ドイツ(バイエルン州、シュトットガルトのあるバーデン=ヴュルテンベルク州)からスイス、オーストリア、ポーランド、チェコなどにかけて発症が見られるようです。夏に旅行へ行って草むらに入った際、皮膚にダニが入り込みます。専用の器具ですぐに取り除かないと細菌の媒介により発症し神経をやられます。こればかりはこちらの人でも、夏に予防接種を受ける人が多いです。そこまでして旅行へいきたいか、ということですが、行きたい!のでしょうね。
 
それでは、また。


ドイツのダイバーシティ その23: ドイツのエコ事情

 
こんにちは。
先進国の中で早々と原発ゼロを決定したドイツですが、これまでにも環境(配慮)大国として先進的な取り組みをしています。ただ話を聞くと、チェルノブイリの事故や酸性雨の問題など過去の反省から学んでいる部分が大きいようです。失敗してもそこから学んで更に良くして行く、当たり前のことですが人の数が多くなると意見も多様だし利権の問題もあるので舵取りが難しい。ドイツの政治家が優秀かというと、そうでもなさそう(少なくともヨーロッパ人はそうは考えていない。ウィンストンチャーチルの名言しかり)。やはり市民一人ひとりの選択かもしれません。緑の党という環境(配慮)政党が躍進しているぐらいですし。
 
それはさておき、今回は身の回りのものがどのようにリサイクルされているかなどについてレポートします。基本的に各都市にその決定権限がありますが、私の印象ですと日本と同様市町村によって大きくばらつきがあります。シュトットガルトではごみは一般ごみと紙ごみの2種類です。ただし、一軒家に関してはこれに生ごみが加わりそれぞれ専用のゴミシェルター(ゴミによって色分けがされているプラスチックの巨大な箱)に入れます。これは少なくとも北ドイツも南ドイツも同じようです。フライブルグなど、環境を前面に打ち出している都市では更に多くの分別が義務付けられています。この箱を異なった曜日に業者が回収に来ますが、箱は規格が統一されていて専用の形をしており、ゴミ回収車のロボットアーム(と言うほどロボット感はないが)に取り付けてオートマティックに回収されるというスグレモノです。
一般ゴミは黒、紙は緑、生ゴミは茶色のシェルターです。それ以外にメーカーが商品を売る際に回収費を負担しているものは専用のゴミ袋(黄色)に入れて専用の業者が引き取りに来ます。これは日本に無いシステムです。これに関しえてはその区分も難しく、専用のゴミだが紙は再生紙として緑色のシェルターに入れるなど複雑な回収方法となっており始めは理解できなかったです。そのため、生活始めの頃は他人のゴミを見て勉強する事になります。
 
ゴミ以外にもドイツの廃棄物処理方法として面白いのが、家具や古い家電などいらないけどまだ使えそうな大型不用品に関して「事前公開制度」があることです。これは、大型廃棄物は街に申請し引き取りに来てもらうのですが、その間2~3日前から家の外に出しておき、必要な人に(勝手に)引き取ってもらうという仕組みです。これが公に制度化しているかどうか不明ですが、皆大抵そのようにしています。外に出された不用品は通りがかった人に品定めされます。中古品業者らしき人が見に来るときもあります。これはなかなかいい仕組みだと思いますが、雨の日は最悪です。また解体された家具が、小さい子供には危ない状態でそのまま放置されたりします。何にでも善し悪しはあると思います。自己責任の国だからいいのかな。
 
それでは、また。


ドイツのダイバーシティ その24: ドイツの家電

 
こんにちは。
一芸に秀でた人は「食べるのに」苦労しないみたいなことを昔から言います。「芸は身を助ける」などです。ところで、一芸とは一体なのでしょうか。かくいう私も新入社員当時は”座布団回し”で数々の飲み会を乗り切ってきました(私が現在働いている会社では無いです)。1980年代です。当時はダイバーシティもへったくれも無い時代でした。年功序列は言うまでもなく、新入社員は何か芸をやるのがしきたりでした。また男子はポマードをつけて七三に分けてこい、長髪はケシカランと取締役から言われたこともあります。お茶くみが女性の間で不公平と話題になった時、「女はお茶くみのために雇っているのだ」と言ってはばからない社会でした。今考えるとブラックですね。サービス残業も当たり前でしたし。このような環境で長く働いてきた人を元の世界に戻すのは大変な企業努力が必要だと思います。まあ、私の経験では最も染まっていたのは企業のトップでしたから、変えるべきはまずはトップの意識からだと思いますが。それはさておき。
話を元に戻しますと、芸についてです。最近芸能人でも「家電芸人」や「歴史アイドル」「鉄道アイドル」など、芸人・アイドルでありながらさらに差別化が進んでいるようです。芸人さんなどは既に芸を持っていますから更なる芸は必要ないと思われがちですが、これも「芸は身を助ける」のいい例でしょう。自分の趣味や好きなものが活躍の場を広げてくれるという事なのですかね。ただやはり趣味・趣向の領域ですので基本的にはニッチというのが難点かと。万人受けするものならよいですが、あまり共感を呼ばない趣味ですと意味が無いと思います。例えば自動車好き芸人はいいですが、漁船好き芸人というのはダメでしょうね。やっぱり。
 
さて、そんな芸人の中でも注目されるアイテムでもある「家電」ですがドイツでも家電は人気です。日本の家電量販店と同じく、派手なポスターで広告を打ち店内を多彩にデコレーションして集客します。店内に入るとカテゴリごとにコーナーが分けられ、TVやオーディオのコーナーへ行くに従い大音響と色彩豊かな映像で迎えてくれます。正直ここで紹介するほど大きな差は無い様に見えますが、細かく見ていくとそれぞれの地域性が出ている商品のラインナップとなっています。例を挙げて紹介させていただきます。
 
エアコン
ドイツを含むヨーロッパでは、エアコンは一般的に使われていません。オフィスや、デパート、電車内などには完備されていますが家庭にはエアコンはありません。そのため、家電量販店にはエアコンのコーナーはありません。それは夏でも涼しく、時には寒く、乾燥しているので必要ないからです。6月末頃、日本の夏のようにモーレツに暑く湿度も高い日が来ますが大抵一週間か二週間だけです。そのためにエアコンを買う人はこちらではいません。扇風機はありますが、日本ほど大きくなく、性能もそこそこであまり種類もありません。
 
電子レンジ・オーブン
ドイツではオーブンはキッチンに備えつきの場合が多く、単独では売っていません。そのため、日本のように電子レンジ付のオーブンのような複合機もあまりありません。電子レンジは単独で、単純で小さく安いものがよく売れています。
 
洗濯機・乾燥機
ドイツでは外で洗濯物を干すという習慣があまりありません。洗濯日和という言葉も無いほどに、夏は短く冬は薄暗いので乾燥機が発達しています。洗濯機とは別に乾燥機を購入する場合が多いです。洗濯機はほぼ100%ドラム式で、洗濯物を横から突っ込み縦方向にドラムが回ります。形は規格で統一されているようで、どのメーカーのものも同じ形で白色です。乾燥機も同じ形をしているので大抵は洗濯機の上に乾燥機を置いて二段にして使っています。
 
コーヒーメーカー
こちらの人のコーヒーへのこだわりは日本の比ではないですから、コーヒーメーカーも多彩です。コーヒーメーカーと関連グッズだけで1コーナーを独占しており、値段の幅も数十ユーロ(ドリップ式)から数千ユーロ(フルオートマティック)まであります。フルオートマティックの中には、カフェラテはもちろん、エスプレッソ、カプチーノ、マキアートにも対応しているものもあり、見ているだけで楽しいです。
 
テレビ・オーディオ
なんやかんや言って、これらは家電の花形ですから一番奥の広いスペースにどデカくディスプレイされています。見た感じ日本と異なる点は無いです。ドイツでも液晶の大画面が人気で、最近では有機ELの薄型曲面TVがひときわ目立つ場所に置かれています。ただ試験というか、集客用に流している画像が圧倒的にサッカーの試合中継が多いです。やはり家ででかいテレビでサッカーを見るというのが多数のドイツ人の最大の楽しみなのでしょう。
 
それでは、また!


Coffee Break:餃子論争

 
こんにちは。
さて、話は全然変るのですが餃子の話題です。皆さん、餃子はどこが発祥だと思いますか?この論争が、つい先日こちらの職場で繰り広げられました。
ドイツには、ベルリン、ハンブルクなどの都市州(日本の政令指定都市みたいなものでしょうか)を含む15の州で構成されていますが、私が働いている企業の工場のあるシュトットガルトは、バーデン・ヴュルテンベルクという州に属しています。この州の伝統的な食べ物にマールタッシェンという小麦粉の薄い皮で豚肉と細かい野菜を包んだ食べ物がありますが、それが見た目味ともに餃子そっくりなのです。中に入っているものは豚肉以外は若干違いがあり、こちらではニンニクは入っていません。また、中国の餃子にあるように蒸して調理することはありません。基本は茹でるか、焼いて卵でとじたり、デミグラ風ソースをかけていただきます。冷凍品も売っており、まさに餃子と同じ形なので先日茹でて醤油で食べたところ全く餃子でした。この話を職場でしたところ、「それはマールタッシェンが中国に伝わったのだ、こっちがオリジナルだ」と根拠も無く主張されました。それに対し、「いや、中国4000年の歴史だよ」と意味も無く反論したところ、「4000年前から食ってんのか」「知らないが、中国には麺の文化もあるし」「シュペッツレという麺もドイツにあるよ」という応酬になったので、「ま、最初に考えた人はエライよね」とお決まりの結論で議論を終了しました。さすがに、一緒に食事をしていた韓国人の同僚は韓国発祥説を唱える事はありませんでしたが。まあ、食事の時間の話題らしく意味の無いおバカな論争でしたが、地元の郷土料理にそこまで思い入れがあるというのが発見でした。
 
それでは、また!


ドイツのダイバーシティ その25: ドイツの玩具

 
こんにちは。
先日息子とインラインスケートの練習に近くのスケート場(スケートボードの競技などで使用されるような障害物が置いてある舗装された広場)に行ったときのこと。息子が防具をつけて滑走し始めたのを見届けると、退屈な私はぐるぐるとスケート場の中を歩いていました。15分ほど経った後、女の人2人がヘルメットをかぶった5歳ぐらいの子供を連れてやってきました。その子は明らかに乗り物に乗っているのですが、立ったそのままの姿勢で前に移動しておりその足元をよく見ると、最近流行の「バランススクーター」(かつて話題になった自立走行器具セグウェイの小さいやつみたいなの)でした。日本でも流行っているのでしょうか。こちらではにわかに街中で乗っている人が多くなりました。とはいっても、移動手段として普通に利用している人はいませんが。
ちなみに、スケート場にきたその子はかなり乗り慣れているらしく器用に障害物を登ったり降りたりしており、その度に連れのお母さんらしい女性が歓声を上げていました。親心というものでしょうか。まあ、あれもバランス感覚を養うにはいいと思いますが、自動的にバランスを取ってくれるのだからスケートボードや、ローラースケートの方がいいのでは?とも思いましたがとりあえず暖かく見守りました。
 
正直ちょっと違和感があったのは、私の中でドイツ人の玩具感というと本物を成長に見合った形で与えて行くという思いがあったからです。またそれは「子供が受身になるような玩具は、子供の自主性を育まない」という理念に基づいているのかと。実際そうなのですが、こちらでは幼児のおもちゃコーナーには圧倒的に木のおもちゃが多いです。がらがらも木で作られており波がさざめくような音しかしません。これに関してはおもちゃから発する刺激は初めは少なく、次第に大きくするためです。「赤ちゃんの時から辛いものを与えると、味オンチになる。音や色も同じ」ということです。これに対応した最も優れた玩具は木の積み木で、そこから木の車、ハンマートーイへと続くようです(男の子の場合)。全てのドイツ人がそうしているかどうかわかりませんが「遊ぶ」という事が子供の成長にとって大切な行為である事を理解した上で、刺激をコントロールする事が大事とのこと。事実子供は6歳になるまでに、実に15,000時間も遊んでいるのですから。
 
とは言いつつも実際私も初めて娘ができた時は一歳の娘の誕生日に、鍵盤が激しく光り、押す毎にけたたましい電子音を奏で、「ミッキーマウスの曲」を自動演奏する、プラスチックでできた、原色著しくカラフルな、おもちゃのピアノを買ってあげたことを思い出し(このピアノはその後、あまりにも刺激が強いため使用禁止となった)教育の難しさを再認識しました。だからアイドルになれなかったのかな?今更遅いですが。
 
それでは、また!


ドイツのダイバーシティ その26: ドイツのDIY

 
こんにちは。
DIYというと、Do It Yourself.「自分でやる」ということで手作りの事を指すことが多いです。特にこの言葉が日本で定着したのは、団塊世代の終わり頃マイホームブームの到来と共にちょっとした家具などを手作りすることが一世を風靡したことがあってからとの認識です。間違っていたら、ごめんなさい。DIYという表現についてですが、多感な少年時代当時はこのような文法を取り入れた表現など皆無でしたから(部活のセンパイを先生方がOBと呼んでいた程度、その意味も当時は知らなかった)「どうして英語?」との疑問を抱きました。もはや直感的にDIYは正しくその意味が理解されているので、DIYセンターの戦略はある意味成功だったといえるでしょう。
そのようなDIYもやっと最近になってメジャーになりつつあるのではないでしょうか。IKEAなどに代表されるように、組み立てを余儀なくされる家具なども増えているからです。ただ私自身もそうですが、それら「自作」を好んでやっているかというと疑問です。正直、家具を手作りする(組み立てるだけですが)のは慣れないと果てしなく面倒です。価格が安く、家族がIKEAがいい!と言うのでしょうがなくやっていますが、作る立場からすると予め組み立ててあった方が楽に決まっています。すぐ着られるユニクロと同じ感覚で買われても困るし、ご飯は美味しいけどそのついでに家具なんか買って、誰が作るの?。。。。。すみません愚痴になってしまいました。
 
一方ドイツですが、DIYは盛んです。というか、そのような自己作業が既に生活の一部に組み込まれているといっても過言ではないでしょう。周りを見ても大体のドイツ人は立派な工具セットを持っており、電動工具は一家に1台は必須です。工具もただのドライバー用のものだけでなくコンクリートの壁に穴を開けるインパクトドリルを持っています。こちらのアパートや家は基本的に何も無い「箱」で取引されるため、引き渡されてから自分で何もかも準備しなければなりません。私も過去、キッチンを自分で取り付けた事があります。譲ってくれた人が手伝ってくれましたが、大人2人で丸々2日かかりました。DIYショップで天板を買い、電動ノコギリで穴を開け、シリコンゴムでパッキンされたシンクを取り付け、配管工事も自分でやりました。コンロ、食洗機の配線、壁に穴を開けて戸棚を取り付けるなど、最後の方は辛すぎて泣きそうになったものです。しかしながらできてみると、その達成感はプラモデルなどの比ではありませんでした。工具と時間をかければこのような作業は誰でもできるという発見もありました。まあ私は事情を知らなかったため、ある意味強制でしたが。ドイツ人は基本的に自立心が高く、それ故自分でできる事をお金で人に任せない「けち」でもありますので、このような作業を好んでやるという傾向があります。
今から半年ぐらい前、それ以前一緒に働いた事がある知り合いのドイツ人が「家を建てているので見に来て」ということで見に行きました。私の街から電車で約50分、マイチンゲンという小さな町でした。見晴らしのいい場所にあるそこは、畑と住宅街とを隔てて通っている農道のすぐ脇に立っており、自生したカモマイルが庭一面に咲いていました。見るからに工事中という玄関から中へ入ると、壁のコンクリートは打ちっぱなし。床も木のタイルが張ってあったりなかったり。階段を下りると床暖房のシステムと家庭用インターネットの配線盤がこ汚い地下室にありました。階段もコンクリートそのままで、手すりもなし。地下室で説明を受けている時に、インターネットの配線は自分でやったとのことだったので、ところでこの家はいつ完成するの?と質問しました。彼の回答は来年の秋頃には終わらせたいとのことでした。はあ?あと一年このまま?どういう業者なの?ということで、再度聞きなおすとこれから一年かけて壁塗りから床のタイル貼り、各部屋の電気工事(照明のみ)、家具の取り付け、暖房の調整、キッチンの取り付けなど全て自分ひとりでやるとのこと。それぐらい普通だと言われました。ちなみにこの方はまだ、私が働いているドイツの会社で働いていますので作業は週末のみです。さすがに基礎工事や窓を含む家そのものは業者に建ててもらったそうです。その家は3重窓で壁の保温材もいいものを使っており、すでに何千万もかかっているそうです。できる事は自分でやり節約する替わりに、気に入ったものにお金を惜しげもなく使う。典型的な(南)ドイツ人のお金の使い道だと思いました。日本では、「建売物件」などという家もありますがドイツではありえないと思います。まあ、納得できて安ければ別でしょうけどね。
 
ただ日本では消費者自身でやらない分、建設業者に仕事が回っているのだと思います。業務効率化で時間ができれば、家を自分で建てるということもドイツの現状を鑑みると非現実的では無いかも知れませんね。私以外の皆さん、頑張ってください。
 
それでは、また!


Coffee Break:カリーブルスト博物館

 
こんにちは。
カリーブルストという食べ物をご存知ですか。焼いたソーセージを細かく切って、それに特製のケチャップをまぶしカレー粉をふりかけた食べ物です。それをオカズにしてパンを食べたり、フライドポテトを食べたりするいわゆるドイツのジャンクフードです。日本ではカレーライスが国民食と言って良いほど発達していますが、それくらい(勝手な主観ですが)認知度があり私が働いているドイツの会社の食堂でこれが出ると必ず行列になります。カレー好きは世界共通なのですね。まあソーセージ自体ドイツ人は大好きなのでそれが要因ともいえます。なぜならベリタリアン向けにカレーライス(というか、インド風カレーの混ぜご飯)も時々食堂に並びますがそっちはあまり人気がありません。美味しくないからかも知れませんけど。
ただしこのカレーブルスト、日本で言えば高速のサービスエリアなどで提供されるフランクフルトにもケチャップやマスタードをつけますので、そのバリエーションの一つと考えるとカレーである理由があまり無いと思います。ところが、ドイツ人にとってはとてもこだわりがあるのだそうです。ドイツ人に言わせるとカリーブルストの発祥はドイツのベルリンで、実は結構な歴史もあるのでかなりドイツ人の心とプライドに食い込んでいるようです。インターネットのサイトなどを見ると、カリーブルストの記事が結構あります。サイトによってはドイツの各都市の人気カレーブルストをランキングしているところもあります。ここシュトットガルトの情報ももちろん載っており、カリーブルストが如何に人気の食べ物か垣間見る事ができます。
実はドイツに来て子供(息子)がカリーブルストにはまり、本物を食べに行きたいということでベルリンまでカリーブルストを食べに行きました。どれほど好きかというと、冬のクリスマスマーケットで食べたいものを聞くと「カリーブルスト」と答えます。他にも沢山美味しいものがあるのに、彼はカリーブルストしか食べません。チョコバナナや、キャラメルピーナッツ、飴細工などこちらにもあるのですが一切食べた事はありません。それでドイツの思い出になるのか?と疑問も沸きますが、本人が食べたいのだからしょうがないです。
さてシュトットガルトからベルリンまで片道ICEで約5時間の男旅、土日の強行日程でした。食べたカリーブルストは6種類。翌日の朝を除き、土曜日の昼から次の日の3時のおやつまでカレーブルストのみです。私は最終的に気持ち悪くなりました。
そんなベルリンには、カリーブルスト博物館なるものがあります。以前紹介した「ブタ博物館」を思い出し、何でも博物館にしてしまうドイツ人の逞しさ?を感じました。館の中ではカリーブルストの歴史から、カリーブルストの歌、世界のカリーブルストなども紹介されています。また、カリーブルストに使われている材料の紹介やスパイスの種類、カリーブルストに使われるソーセージの製造工程などを勉強する事ができます。そしてチケットと引き換えに、カリーブルストを試食する事もできます。ここのカリーブルストは博物館の入り口の手前にあり入館しない人も食べられます。ランキングに載っている程の人気だそうです。
前出の「ブタ博物館」同様、この手の博物館を見学すると必ず思うのがこれほど入る前の期待とその後の落差の大きい経験はなかなか無いのではということです。入ってみないとわからないのですが正直、いっそのこと入館料を恵まれない子供たちに寄付した方が世界のためになると思います。
 
それでは、また!


ドイツのダイバーシティ その27: ドイツのネット事情

 
こんにちは。
もはやインターネットを使っていないご家庭は少数はなのではないかと思いますが、ここドイツでもインターネットは生活の中心になっています。つい先日までは私個人的意見としてドイツのネットは日本より遅れていると思っていました。10年ぐらい前の事です。日本では光通信が台頭し盛んに宣伝されていましたが、当時ドイツでは未だADSLでした。今でも光通信網に関してはドイツの普及率は日本より低いと思いますが、こちらでは現在ADSL+LTEというどちらかが切断した時に切り替えできるようなものが主流になっています。これで、25Mbpsのベストエフォート(実際は10Mbpsぐらい)を保証しています。前の書き込みで話をしたかと思いますがドイツのネットは結構ぶちぶちきれるのでこれはいいソリューションだと思います。まあ機械の品質もいまいちなのでそれでも切れるときは切れますけど。先日も在宅勤務時にSkypeをしていたのですが、突然全員無言となり切断。再開に2分ほどかかり、その間の焦燥感と再接続後の気まずさはさすがに慣れませんね。
ネットといえば利用の中心はやはりメールとWebの閲覧、それにネットショッピングかと思います。ドイツのTVでは現在半分くらい?のCMがネットサイトの宣伝になっています。ネットショップもamazonやe-bayのような、モノを中心に取引するものだけでなく中古車をオークションするサイト、プレゼントを手配するサイト、料理を注文するサイトなどもありあます。最近おもしろいな、と思ったのは自分や家族の歴史をどこかに(どこに?)残してくれるサイトです。My heritage(マイヘリテイジ)というサイトで、ここでは家系図を作成したりDNAを分析して記録したりしてくれます。またそれらをプレゼントする事も可能です。誰がもらって嬉しいんだろう?この宣伝を見て、40年ぐらい前にやっていた海外ドラマを思い出しました。「ルーツ」というアメリカのドラマで、黒人奴隷親子3代の問題を取り上げたものです。このドラマに影響され、自分たちの「ルーツ」を探す事が日本でも流行りました。私の親も見事にはまり、家系図を作ったり、旧家があった市役所に住民票を取りに訪れたり、親族を集めて遠いご先祖様の墓参りツアーなどしていました。子供心に「先祖を知って、何が楽しいの?」と思っていましたが、ま、暇だったんですかね。
さて、さすがドイツだと思うのは最もTVのCMで多いのが旅行関係のサイトです。航空券、ホテル、レンタカーなど旅行に関するあらゆるものが手配できるサイトです。小一時間見ているだけでも、4~5社のサイトがとっかえひっかえ流されています。インターネットサイトの宣伝をTVで見ることに始めは違和感がありましたが、効果があるんでしょう。近頃は大手のBooking.comなんかも宣伝をやっていますから。
 
何故このような話題を持ってきたかというと、最近ネット関連の子供の記事が多いような気がするからです。ネットの使用時間と虫歯の関係とか、赤ちゃんにスマホがいいとか悪いとか。ネットのせいで子供が本を読まなくなったとかです。どれもデータに基づいた事実だとは思いますが、それらを特段に問題視するのはどうかなと思います。そもそもどの記事もネットをまず「悪いもの」(=新しいもの)と仮定して話を始めようとしているからです。電話が普及し始めた時も、保守的な人は「手紙でなく、電話で用を済ますのは失礼」とか、「りんりん鳴って、突然人の時間を奪う」などと批判しました。漫画なども絵があるだけで、私的には活字本と変らないと思っていますが「漫画のせいで子供が活字に弱くなる」「漫画を読むと不良になる」などと批判されました。よっぽど仕事で使っているパソコンの方が活字に弱くなると思いますが。漫画関係ないジャン。
まあ、言いたいことはこれら抵抗勢力の批判に負けずに新しいもの今までと違うものをキチンと理解しどんどん取り入れていくのがダイバーシティにも必要ということかと。かなり無理やりな締め方でしたが、こういう新潮流には批判はつきものですのでそれをも楽しんで、時には無視し、主張を続けたいですね。電話や漫画のようにいつかは本流になる時がくると信じて。
 
それでは、また!


Coffee Break:国ご飯

 
こんにちは。
「衣食住」という言葉がありますが、人間が生活して行くうえで欠かせない要素であり生活における基本要件との説明が一般的です。これらはハードウェアの代表ですが、コミュニケーションの手段である「言葉(手話を含む)」や、「教育」等はソフトウェアの代表例として挙げられるでしょう。社会が発展し集団(コミュニティ)の機能が発達するにつれ、ソフトの必要性が高まっているということは誰しも気づいている事だと思います。時代はコネクティッドカーですしね。
 
で、食に関する話題です。Facebookなどをみていますと日々自分が食べたものをアップしている人が多いです。もしかすると、お昼に何を食べたか忘れないように備忘録の意味で投稿している人もいるかもしれませんが、そういう人は投稿した事も忘れますので意味なしですね。言いたかったのは、食というのは人間の話題の中でもコミュニケーションの手段として有用な情報であり、共通の話題になり得るという事実です。とりあえず、「今日何食べた?」と言っておけば話がつながる、という事だと思います。
さて、子供が通っているインターナショナルスクールのイベントに「マルチカルチャーナイト」というものがあります。毎年5月に開催されるのですが、父兄も参加するイベントとしては最大規模のものです。各学年の出し物もあり歌やダンスなども披露されるのですが、その中でなんと言っても人気なのが「テイストオブネイション」というコーナーです。その名の通りインターナショナルスクールに来ている全家族が、それぞれの国および地域の「ご飯」を作ってみんなで食べるというイベントです。規模のでかい持ち寄りホームパーティーのような感じでしょうか。このイベントがなかなか侮れないのは、各国それぞれ力の入れようが異なっていて面白い点です。15の国と地域の家族が参加しますが、日本チームは毎年「巻き寿司」「から揚げ」「やきそば」という3種の神器で勝負しています。日本食ブームもあり、毎年ほぼ一番で完食となります。中国、韓国も人気です。またヨーロッパ勢ではハンガリー、イタリア、フランスが頑張っています。多種多様な民族料理に加え、ワインやアイスも提供します。力が入っていないわけではないと思いますが、最もご飯が余っていたのはドイツでした。普段食べているからかな。特にプレッツェルが大量に余っていました。ちなみにこのイベント、1人8ユーロで食べ放題です。売り上げはPTA会費および学校の運営資金に回されます。
この手のイベントで日本と最も異なる点は、アルコールが提供される点です。イベントは夜行われますが開催は学校の構内です。日本では学校でアルコールを飲むということに抵抗がありますが、こちらではディナーでのアルコールは当然の習慣ですので各国料理とともにバーが設置されアルコールが振舞われます。子供だけでなく大人も楽しめるというところがイイと思います。もちろん子供たちは大はしゃぎで、食べたい料理のコーナー前でニコニコしながら列を作ります。この頃のドイツは夜9時まで明るいので食べた後は外で遊ぶ子も多いです。
 
会食もしかりですが、このように食べながらコミュニケーションするとなんとなく気持ちが通じる気がして不思議です。イタリアでは「好きな人の胃をつかめ」という言葉があるそうです。美味しいものを食べると幸福中枢が刺激されるようですから、理にかなっています。自称グルメの方、まだまだチャンスがありそうですヨ。
 
それでは、また!


またどこかでお会いしましょう。

 
こんにちは。
告知どおり、今回を持ちまして本連載を終了いたします。
今まで読んでいただき、誠にありがとうございました。
全く気張らずに書いていたつもりですが、やはり途中空白ができたりすると落ち着かないものですね。
日本のダイバーシティも道半ば(一部には、外資系企業は他社より格段に進んでいる!という意見もありますが、
やはりドイツから見てしまうと。。。)だと思いますが、続ける事に意味はあります。電話やTVのように必ず普及
する日は来るはずです。そうじゃなきゃ、ヤバイかも。
 
またどこかでお会いしましょう。
 
それでは、また! アオフ ビィーダーゼーエン!
 
* アオフ ビーダーゼーエン:
別れのご挨拶。形式ばった「さようなら」である。意味的には「またお会いしましょう」。毎日顔を合わす相手には「チュース」を使う。これに英語の「バイバイ」を組み合わせた「バイチュー」をドイツ人に普及中。誰も「ニャンちゅう」が語源だとは知らない。




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