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坂道シリーズの歌詞考察

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乃木坂46、欅坂46、けやき坂46、日向坂46、櫻坂46の歌詞考察です。
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#歌詞考察

そんな幻想抱いてるのは僕だけか【櫻坂46 油を注せ! 歌詞考察】

そんな幻想抱いてるのは僕だけか【櫻坂46 油を注せ! 歌詞考察】

僕の思い込みと不器用さの物語君と僕の恋の上手くいかない様を錆び付いた自転車をモチーフに表現する。
油を注せば錆び付いた自転車が動くように、いつも近くで大切にしていれば良かったと回想する。
そして出てくる考えが「出会った時から変わらないそんな幻想抱いてるのは僕だけか」であることを見るにこの主人公の僕は思い込みが強いきらいがある。
ここに垣間見える「不器用さ」がこの楽曲の本質なのかもしれない。

すで

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思い出の日々は普通だ【櫻坂46 何歳の頃に戻りたいのか? 歌詞考察】

思い出の日々は普通だ【櫻坂46 何歳の頃に戻りたいのか? 歌詞考察】

大人になったその分だけ青春を美化し続ける2023年1月24日(水)22:00に櫻坂46 8thシングル「何歳の頃に戻りたいのか?」のMVが公開された。

4thシングル「五月雨よ」以来の通算2度目の表題曲センターを務める山﨑天さん。
また欅坂46の、改名までに出したシングル(デジタルシングル除く)の数に並び、選抜には1期生は選出されなかった。

まさに「新・櫻前線」、新章スタートという感じだ。

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秋元康哲学の集大成だと思う。【日向坂46 君は0から1になれ 歌詞考察】

秋元康哲学の集大成だと思う。【日向坂46 君は0から1になれ 歌詞考察】

秋元康の歌詞は再現性が高い。
何故ならしっかりと理論として「言語化」が成されているからだ。
確固たる「生き方の正解」を教えてくれる。

一言で言えば「今を生きろ」だ。
つまりは「反応的」から「主体的」になればいい。

不幸に対する向き合い方で説明ができる。
自分に降りかかる不幸に対して、誰かのせいにするのが反応的な子どもっぽい対処法で、自分事として受け入れるのが主体的な大人な対処法だ。

いつまで

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「魔物」とは何なのか。【日向坂46 見たことない魔物 歌詞考察】

「魔物」とは何なのか。【日向坂46 見たことない魔物 歌詞考察】

「僕」は「君」と真夜中過ぎに家から抜け出して街を見下ろす丘で会う約束をする。
そこには愛があると感じてる。
ここでの愛とは「救い」である。

見たことない「魔物」とは何か。
それは「現実」である。
「僕」は「君」にその見たことない魔物が出てきたって絶対そこから逃げないでよと言う。
つまりは自問自答だ。
恐ろしいもの=現実は幻覚なんだ、と。

「君」とはタナトス(死への衝動)の擬人化だ。
僕らの約束

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「10月のプールに飛び込んだ」、「風の音」、「隙間風よ」は三部作の物語だ。【櫻坂46 歌詞考察】

「10月のプールに飛び込んだ」、「風の音」、「隙間風よ」は三部作の物語だ。【櫻坂46 歌詞考察】

「僕」は誰にも邪魔をされない本当の自由を確かめたかった。
その証明方法が最強で、誰にも真似ができない。

青春とは主観と客観が共存する。
その相反するものを、同じ「10月のプール」に「飛び込む」という普通は結びつかない言葉で表現する。

青春という「10月のプール」に飛び込んだ。
それは僕なりの抵抗だ。
できるものならなってみろよ。

教室の窓からみんながこっちを見て騒いでいる。
その中の一人に「

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それならずっと僕のことは数に入れないでよ【櫻坂46 隙間風よ 歌詞考察】

それならずっと僕のことは数に入れないでよ【櫻坂46 隙間風よ 歌詞考察】

「優等生」の憂鬱「完璧」の象徴として「雲ひとつない青空」を使い「僕」と対比させる。
それを「僕」は残酷だと言う。
何も無い空っぽな「僕」が浮き彫りとなるだけだ。
言い訳という逃げ場が無くなる。

そう思う理由は何故なのか。
普通に幸せな日々を送っているはずだ。
「過去」の象徴として「親とか教師」を使い、それらからの期待にもそれなりに応えてきたと言う。
何がそんなに不満なんだ。
そんなに差し迫った不

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そう今度は私たちの番だ【櫻坂46 マモリビト 歌詞考察】

そう今度は私たちの番だ【櫻坂46 マモリビト 歌詞考察】

何故この楽曲に感動するのだろうか。
それは櫻坂46の物語に感動しているからだ。
当て書きだと思われる歌詞がそう感じさせる。
今このタイミングで3期生がうたう意味(必然性)がある。

欅坂46時代からの長い歴史を感じることができる。
それを遠くから見ている主人公。
まだ傍観的な存在だ。

1期生、2期生という先人が優しく迎えてくれた。
名もなき者(3期生)の物語のスタートだ。

私たちは既に当事者だ

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私ではない私が暴走する【櫻坂46 承認欲求 歌詞考察】

私ではない私が暴走する【櫻坂46 承認欲求 歌詞考察】

2023年9月25日(月)22時より櫻坂46の7thシングル「承認欲求」のMVがプレミア公開された。

冒頭で眼鏡を踏む森田ひかる。
過去(今までの自分)からの脱却か。
Startover!からの地続き感があり今作は前作では1登場人物だった少女の物語とも読み取れるし、俯瞰的に見れば櫻坂46が新しいフェーズに入ることへの暗喩なのかもしれない。

冒頭の歌詞での、「聖徳太子か!」って本当に好き。
固有

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寂しさよ語りかけるな 心が折れそうになる【乃木坂46 ここにはないもの 歌詞考察】

寂しさよ語りかけるな 心が折れそうになる【乃木坂46 ここにはないもの 歌詞考察】

齋藤飛鳥は「強がり」だ。
そう捉えているかのような歌詞である。
完全に当て書きに思える。
我々は何故この歌に感動するのか。
それは齋藤飛鳥への解像度が高いからだと思う。
引いては乃木坂46という物語に感動している。
歌詞が詰め込まれてるのが齋藤飛鳥のブログのタイトルように感じるし、読書好きからの文学的な歌詞、また「裸足」というワードを出すことで、齋藤飛鳥の物語を追想することができる。

この楽曲が

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ずっと 何も届いてない【日向坂46 ガラス窓が汚れてる 歌詞考察】

ずっと 何も届いてない【日向坂46 ガラス窓が汚れてる 歌詞考察】

教室の窓は何故だかいつも汚れていて
僕はそれが気になるから授業に集中できない。

授業=現実の言い換えであるとすれば、
ガラス窓が汚れてる=言い訳だ。

大人たちは、それならおまえが拭けばいい(言い訳ばかりしてないで現実を見ろよ)と綺麗事ばかりを言ってくるが、拭いて綺麗になった陽射しの向こうに見える景色(現実)にそもそも期待はできるのか?

やる気のない3年生たち(キラキラしてない未来)が
報われ

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何を聴いていたかではなくて聴きたくない 何かあるんだろう?【櫻坂46 風の音 歌詞考察】

何を聴いていたかではなくて聴きたくない 何かあるんだろう?【櫻坂46 風の音 歌詞考察】

君は授業中に席を立って教室の後ろのドアから正々堂々出て行く。
それに教師は気づいていないか、諦めているのか注意をしない。
そんなとても映像的な歌詞から始まるのだが、この既視感の正体は「10月のプールに飛び込んだ」の世界観に似ているからだと思う。

10月のプールという二律背反な言葉の組み合わせで表現しているのは「青春」か「人間」か、それとも主人公の僕が確かめたかった「自由」なのかは分からないが、1

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藤吉夏鈴はジョーカーである。【櫻坂46 Start over! 歌詞考察】

藤吉夏鈴はジョーカーである。【櫻坂46 Start over! 歌詞考察】

藤吉夏鈴はJOKERだ。
正確に言えばその一歩手前の状態である。

何故なら、「行動を起こす直前の物語」だからだ。

まず、映画「JOKER」とは2019年に公開されたトッド・フィリップス監督、ホアキン・フェニックス主演の作品で、『バットマン』に登場する最強の悪役(スーパーヴィラン)ジョーカーが誕生する経緯を描いたものだ。

この映画では「軽い生き方の生きづらさ」を描く。
誰からも相手にされず、存

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大事なのはどこからやり直すか?そりゃ諦めかけた数秒前【櫻坂46 Start over! 歌詞考察】

大事なのはどこからやり直すか?そりゃ諦めかけた数秒前【櫻坂46 Start over! 歌詞考察】

君は僕の過去みたいだな 
僕は君の未来になるよ櫻坂46らしさとは「前向きな狂気」

櫻坂46 6thシングル「Start over!」のMVが2023年5月30日22時にYouTubeにてプレミア公開された。

櫻坂46の魅力として「狂気性」が欠かせなくなってきたような気がする。
今回、表題曲初センターを務めた藤吉夏鈴は
狂気がとても似合う。
なによりMVの映像作品としての完成度が高い。

そして

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雨が降り止まなきゃいいのに【日向坂46 シーラカンス 歌詞考察】

雨が降り止まなきゃいいのに【日向坂46 シーラカンス 歌詞考察】

1番と2番の歌詞の対比。
この雨に対する主人公の受け取り方の違いが恋そのものだ。
誰かを好きになるということは価値観が180°変わること。
目の前に起こっている現象は同じなのに、自分が変われば世界が変わる。

雨が降ってきた時に後ろから不意に傘を差し出す女性。
そんな「君」に対する眠っていた想いを生きた化石であるシーラカンスをモチーフにして表現する。

何か大きな出来事が起きることなく「君」と出逢

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