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鳥居れな
2024年2月29日 22:10
子どもの時、毎週末 母方の祖父母の家に泊まりに行っていた頃がある。母方の祖父母はガラス屋さんで、母の弟の哲也も後を継いで一緒に暮らしていた。わたしは自分の叔父である哲也が、子供の頃から大好きだった。ぽっちゃり……と言うよりは、ぶってん!と言った感じ。 怒らないでね。大きなトラックの運転が上手だったり、ぶてっと黒い手でありながらガラスに綺麗な線をピーと引いたり、あんなに大きな体なのに声
2024年2月18日 13:04
私は脱皮したかった。あらゆる夜が怖くて。孤独から逃げようとしていることに気付いた時寄りかかっていたものからきっぱり離れることができる大人になりたい。もう1人でも怖くなくなるように。1度も振り返ったりせずに。今年は梅雨に入ってからも晴れ間が多く、例年のガックリ落ち込む遅延五月病も発症していない。わたしは夏がすごく好き。空が高くて、雲が真っ白で、野菜がきれいで葉っぱが青くて、ノ
2024年2月16日 13:25
ステージ上に身を乗せた自分は夢うつつ自分に向けられたまなざしを食べる。どこにだって行けるような気持ちにさせてくれる色とりどりの照明を全身に浴びながら大きく息を吸い込み背伸びをする。音は海。とめどなく寄せては返す波と、どこまでも深く潜っていける未知の場所冷静ではいられない閑かな熱がそこに存在している。音の輪郭を撫でながら、かなしみの淵を歩いたり、おとぎの国の中でワルツを踊ったり
2024年2月9日 15:10
私にはふたつ年の離れた兄がいる。これまでの記事で何度か兄が出演した回もあるがお分かりの通り兄には阿呆な一面がある。兄にはよく口喧嘩でボロボロにやられて泣いていたが、意外と遊んでくれた。だが時々その遊びが、男の子の男の子による男の子のための遊びすぎて私にはついていくのが精一杯なことがあった。だけど兄が遊びいく時、「レナもついてくる?」と聞いてくると、年上の遊びに参加できることがとても
2024年2月2日 15:55
小学生のころ、通学路に交通安全のおじいさんがいた。みどり色のキャップをかぶって時々、登校時間だけでなく学年によって下校時間もばらばらなのに帰り道にも子どもたちを見守っている時があった。幾人か見守り隊はいたけれど、ランドセル時代のれなちゃんには1人だけ仲良しのおじいさんがいた。何度も聞いたし、呼んでいたあのおじいさんの名前を、いま思い出せないのが悲しい。思い返してみても本当