鳥居れな

はじめまして 曲を作って歌っています。 小さな記憶の欠片と、日々のつぶやきエッセイ。 各SNSリンクはこちらからhttps://lit.link/renatorii

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44.鼓動

子供の頃、母の背中に耳をくっつけて 大人のよくわからない会話を聞くのが好きだった。 話を聞いていたというよりは、音。 母の体の中で鳴っている声を聞くのが好きだったのだと思う いつも聞いている声よりも、深く共鳴して聞こえる音と体温、かすかな鼓動とがセットになって、心地よいのであった。 私が5歳の時に両親は離婚した。 それから母は美容関係の店を開いた。 私にはふたつ年上の兄がいるので、当時2人の子供を抱えて店を立ち上げるなんて、相当の覚悟と裏の努力があったはず。 朝から夜遅く

    • 75.飛べないのは

      本当はどうしたいのか 自分がいちばん分かっているよ もう何度も何度も何度も ここから飛び降りようとしたけれど 足がすくんで、 その先を知ることができないでいるのは 死ぬことが怖いんじゃなくて 今日まで 今まで この瞬間も 大切だと思ってきた君に いつか忘れられちゃうことが 怖いからなんだ。

      • 74.野良猫のたい焼き

        その日、お店はあまり混むことがなかった。 ママはお客様が来るたびに、 「今日初めてでお手伝いに来てくれたれなちゃんです」と紹介してくれた。 わたしは緊張してこういう場所ってどういう会話をすればいいんだろう… 笑うってどんな感じだっけ。と、もはやぎこちない人間初心者になっていた。 お客様も常連さんが多く、落ち着いたトーンで普段は何をしてるの?だとか 若いねえ。だとか気さくに話しかけてくれた。 終電までの勤務時間はあっという間に過ぎて行った。 わたしはこの日グラスの磨き方だ

        ¥200
        • 73. Deep down

          I still can’t get over with a black stain in this body. In a moment of inadvertence, it will let me know " You're not over yet. " It's about time I tried to put an end But God never takes eyes off me In the darkness Deep down… Still go o

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          72.アジフライ弁当

          それから約束の日はあっという間にやって来た。 ひとりであの銀座のバー 「アンコーラ」に行くまでの道のりは長い。 考え事が捗る移動時間。 早くお店に入りたい気持ちと、 右も左もわからず、 足手まといになるのでは無いかという不安とが 頭の中を行ったり来たりしているうちに、 予定より1時間も早くお店の前に着いてしまった。 ひとまず近くにあった某大手チェーンの ドーナツ屋さんに入ることにした。 わたしが普段から行くような場所にあるそのドーナツ屋さんは、絶対に混雑していて座れないのに

          72.アジフライ弁当

          71. 8丁目のポルシェ

          8丁目の森に迷い込んだの あなた今日は帰れないわ カウンター越しのお喋り おじさま素敵なお帽子ね 午前零時をまわったて解けちゃくれない 魔法ばっかで嫌になるわ 明け方になって訪れる 静寂がやけに怖いの 教えてポルシェ 終わりは来るの 教えてポルシェ 赤いカーペットに血が滲むわ あかんたれたバーテンダー あたし最初っからやる気なんてないわ あなたが救い出してくれる 日を待ち続けてた 3軒目の女の子になりました あなた今日は帰さないわ 残り一杯分のキープボトルは スレスレ

          ¥500

          71. 8丁目のポルシェ

          ¥500

          70.言葉のしっぽ

          言えないことばかりしてきたバチが 今になって当たったみたい 貴方の瞳の奥 静かに揺れる 青い火が怖くて今日は触れない どれだけ後悔しても 人はまた繰り返す 傷つけない為の嘘なんか 本当はないのに あたしは貴方の心の内側を見ている 寂しそうな顔にも騙されてなんかあげない 言葉のしっぽに「愛」をくっつけたって あたしはちゃんと傷いてるよ 見えないものばかりこの世には多くて 簡単に信じてはいけません 貴方の瞳の奥 静かに揺れる 青い火を今夜こそ吹き消してあげる どんなに償っ

          70.言葉のしっぽ

          69.ひまわり

          ぼくが生きてきた どんな夏よりも 甘くて 苦くて 強く 濃く 残ってる ぼくが生きていく どの季節よりも 忘れられない 君といた夏 君より背の高いひまわりが 俯いていると つぶやいていた 突然の通り雨に 濡れた体を 本当は 本当は ぼくが守りたかった あんなに熱い日々は もう戻ってこない まるでひとつの季節が 終わるみたいに ぼくが生きてきた どんな夏よりも 甘くて 苦くて 強く 濃く 残ってる ぼくが生きていく どの季節よりも 忘れられない 君といた夏 うるさいほど

          69.ひまわり

          68. kuulei

          あたしのおでこに落ちかけて来たお月様 今日はいつもより寂しそう なんだか堪らなくって 窓を開けてこんばんはと呟いたの 何も言わずにただ見つめてくるから 貴方も寂しいのかなと思って 電話をかけたわ すぐに受話器から 今かけようとしてたって嬉しそうな声 あたしが泣いていると思ったなんて言うから きっと貴方もお月様を見ていたのね

          ¥100

          68. kuulei

          ¥100

          67.うれしい通知

          今日は珍しく、5分おきに鳴る 大音量のアラームより先に目が覚めた。 普段なら片目をうっすら開けてアラームを止め、 直ぐにまた目を閉じるのだが 今朝は両目を開けてアラームを解除し 天井に伸びる光の筋を眺めながら 天国みたいだなと思った。 何か夢を見ていたはずなのだが、 あんまり綺麗な天井のせいで忘れてしまった。 起床後すぐに朝日を浴びると幸せホルモンが分泌されるという健康オタクな思考が急に呼び起こされてベランダに出てみると、まだ涼しい秋めいた朝の訪れにスキップしたくなった。

          67.うれしい通知

          66.追憶

          忘れないでいてほしい。 この身ひとつで生まれて この身ひとつで死ぬけれど あの世に持っていけるものがある。 それは思い出だと、教わった。 けれど この世にはそれすら奪っていく悪魔がいる。 大好きな貴方は、私のことをいつか忘れてしまうかもしれない 会いたい時に会っておかなくちゃ 次に「ただいま」を言う時「おかえり、よく来たね」ではなくて、 「どこの人かいね」と返されてしまうかもしれない。 そんなの冗談でも耐えられない 少しずつ分からなくなっていく。 貴方の作る野菜で私が

          65.わがまま

          君のすべてが欲しいだって、 ずるいよね 奪えないよならないよ 心全部は渡せない 切り取って レンズ越しに 瞳の奥は何色 誰にも見せない正体 絶対なんてどこにもないじゃない わたしこれまで生きてきて それくらいのこと知ってる 信じたいだけ貴方のわがままを つま先だけで立っている 恥ずかしい 奪えないよできないよ 貴方全部はもらえない 急き立って わたし越しに 心の奥は何色 貴方だけが知っている 隠してばかりの正体 永遠なんてどこにもないじゃない 貴方もこれまで見てきた

          65.わがまま

          64.突き刺す詩

          先日友達と下北沢で飲んだ夜 音楽を聴く時、何を重要視しているのだろうかという話になった。 互いに好きな曲のメロディーやBメロのココのコードが…とか 思い思いに述べ合った後、 最終的にどの曲も、この歌詞が刺さる。というところに落ち着いた。 ライブハウスでブッキングイベントに出演して 出会わせていただいた方々で、この人の音楽が好きだと気付く時は 「この歌詞まるで自分に言われてるみたいだな」といつも思う。 それは書き手が自分に向けた言葉だったり、 もしかしたら、特定の相手に向け

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          64.突き刺す詩

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          63.泣いている

          ぼくの幸せのうらがわで 今日は誰かが泣いている ぼくの悲しさのうらがわで 今のあなたが幸せになるなら 望むことばかり叶ったり 思い通りが愛ではないと 小さな不幸のおかげで気づくのかしら もしも明日が来なくても 遠くで誰かが笑顔なら ぼくは何も欲しくはないと 今は思う。 少しヒリヒリする心に あなたがくれた思い出をぬりこんで あと少ししたらまた歩いてみる だいすきだよ 泣いている 泣いている 心が 誰かが 泣いている 泣いている 嬉しくて 誰かが 泣いている

          63.泣いている

          62.たぬき公園

          きのう揺らしたブランコは雨で濡れてしまったよ。 今日は何をして遊ぼうか。 と平気な顔で話しかけられたらいいけれど、 本当は言いたかったことがあるの。 悲しさのわけは分からないけれど、 君が泣くのは嫌だから 代わりに僕の痛みに変えて泣いておく。 僕は君じゃないのにね。 ごめんねも言えないまま帰っていく僕らは あのたぬき公園のブランコと同じ。 いつまで経っても 僕らは交互に揺れて どこまで行っても 平行線の空の下 一個の夜を超えて 雨に降られたブランコは 僕らの跡を洗い流

          62.たぬき公園

          61.ビジートーン

          どんなに言葉でつなごうとしても、 埋まらない溝は 灯を消したままのこの部屋に ひとりぼっちでしか繕えない 寂しい時に優しかった人を あの時と同じような今、思い出してみても 何も慰めてはくれなかった。 優しいところが好きなんだと思っていたけれど それはどうやら違ったみたいね。 氷みたいに少しずつ固まっていく 電話の向こうから伝えて欲しかった熱も 欲しがった言葉も この先もう二度とあなたの声で受け取ることはできない。 白く覚めた愛がそこにとどまっているだけ。

          ¥500

          61.ビジートーン

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