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懐メロせんにんの記録

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#映画レビュー

やっぱり松田聖子しか思い浮かばないよね~「青い珊瑚礁」

やっぱり松田聖子しか思い浮かばないよね~「青い珊瑚礁」

昔の歌謡曲で映画のタイトルを拝借していていて当時の人からはバレバレなのだけど、今となっては曲だけが記憶に残っているというものも少なくないようだ。松田聖子がスターダムに駆け上がることになったきっかけが「青い珊瑚礁」なのだが、これも元ネタとなった映画があった。1980年公開「青い珊瑚礁」

若い男女が無人島に流れ着いて、そこでたくましく成長していくというお話。最後は無事に助けられるのだが、10年以上も

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ゲンキ爆発!でも邦画は袋小路か~「河内のオッサンの唄」

ゲンキ爆発!でも邦画は袋小路か~「河内のオッサンの唄」

「河内のオッサンの唄」を知っているだろうか。
ミス花子という男性シンガーの曲である。1976年発表ということで、時代を映す知る人ぞ知る曲で、一度聴いたら忘れられない。

この映像はおじさんだが、発表当時は20代前半だったようだ。
ミス花子という名前にしたは、女性アイドルに間違われてレコードを買ってくれるかもしれない、という動機だったようなことを聞いたことがあるが、曲名が「河内のオッサンの唄」じゃあ

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セクシーさよりも天真爛漫さ~「紳士は金髪がお好き」

セクシーさよりも天真爛漫さ~「紳士は金髪がお好き」

ハワード・ホークスのコメディ作品の決定版と言えばこの作品だろう。
1953年公開「紳士は金髪がお好き」

ホークスコメディの最高傑作であり、マリリン・モンロー主演の一番の作品だと思う。
彼女はこういう「ブロンドで美人で少しおつむが足りない女性」像は好まないかもしれないが、良くも悪くも本作のモンローが彼女のイメージを作り出していることは否定しがたい。

彼女を観ていて、実に飽きない。テンポがいいし、

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文字通り”時代をかけめぐる作品”~「時をかける少女」

文字通り”時代をかけめぐる作品”~「時をかける少女」

さて、”角川娘”として薬師丸ひろ子と並び立つのが原田知世。
そのデビュー作にして、日本芸能史・サブカル界に大きな影響を与えた作品がこちら。「時をかける少女」。映画は1983年に公開、その後何作か映像化されて2006年のアニメ映画も話題になった。これももう17年前か。
なお、原作の小説は1965年に連載開始とのことなので、もう半世紀以上も前になる。

もはや「時をかける少女」はアイドル女優の登竜門の

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映画と芝居の融合~「Wの悲劇」

映画と芝居の融合~「Wの悲劇」

今月は専ら邦画三昧。とりわけ80年代の角川映画を中心に鑑賞中。
メディアミックス戦略の先駆けと言われ、いまだその評価は分かれるところであるが、邦画史に残る作品も多いのもまた事実。
今回はこれは馬鹿にできぬと思った作品を紹介。1984年公開「Wの悲劇」

原作は夏樹静子の同名小説。だが、それはこの映画の劇中劇で使われているだけで、映画のプロットはそれを演じる俳優(とその卵)たちの人間模様を描いている

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そして歌が歴史に残った~「スローなブギにしてくれ」

そして歌が歴史に残った~「スローなブギにしてくれ」

往時の角川映画は、小説と映画と主題歌をセットで売り出して世の中を席巻する手法で成功を収めていた。
本作もその一つ。今では映画より主題歌が一番有名になっているが。1981年「スローなブギにしてくれ」

当時の空気というのはこういうものだったのだろうか、と腕組みをして考えてしまうくらい、どの人物に対しても共感を覚えることができない。こういうのがクールだったのだろうかね。家出少女とワケアリの中年男性、そ

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映画も歌も少しおセンチ?~「太陽がいっぱい」

映画も歌も少しおセンチ?~「太陽がいっぱい」

一昔前の映画スター、というと必ず名前があがっていたのがアラン・ドロン。自分が物心ついたころには、半ばネタみたいな扱いになりつつあったが、この作品を見ればむべなるかな。
1960年公開の「太陽がいっぱい」である。

ヨーロッパの人たちの太陽に対する憧れというのは、ちょっと我々には計りがたいものがあるようだ。そりゃ日向ぼっこは気持ちいいけど、バカンスをとってまで日焼けにいきますかと。。肌の色素の関係で

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草書のような映画!?~「恋する惑星」

草書のような映画!?~「恋する惑星」

日に日に中国本土との同一化が強まっている香港。
しかし20世紀の香港は、混沌であると同時にモードの先端をいっていた。
そんな香港の(最後の)空気を色濃く纏っている映画、それが1994年公開「恋する惑星」であろう。

公開当時はまだ映画にそれほど興味はなく、金城武とフェイ・ウォンの名前を聞いたことがあった程度。しかもフェイ・ウォンはこの数年後のファイナルファンタジーの主題歌から知ったという。。

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みんな違って、みんないい~「グッドモーニング、ベトナム」

みんな違って、みんないい~「グッドモーニング、ベトナム」

人類はまたしても戦争を選択してしまった。
そんな折に観た映画を紹介したい。1987年公開「グッドモーニング、ベトナム」

戦争映画ではあるが、主人公は銃後の任務ということもあり、凄惨な戦闘シーンはほとんどない。

現地のベトナム人にも溶け込み、兵士からも人気がある主人公・クロンナウア。きっと彼は、彼なりにこの戦争の大義というものを信じ、一人ひとりの目線を失わずに任務を全うしている・できている、と思

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家族への気持ちは時として複雑だ~「ホーム・アローン」

家族への気持ちは時として複雑だ~「ホーム・アローン」

時期は過ぎてしまったけれども、クリスマスに観たい映画で上位にランクインされることの多い作品。
遅ればせながら今回初視聴。1990年公開「ホーム・アローン」

正直に言います。
ワタシ、コドモが主人公の映画って苦手です。
だから本作も今まで敬遠してきたわけで。

そんな食わず嫌いを克服すべく本作を視聴したところ、実にテンポがよいことに気が付く。と言っても、主人公であるケヴィンが独り取り残されるところ

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主題歌によって歴史に残る~「ネバーエンディング・ストーリー」

主題歌によって歴史に残る~「ネバーエンディング・ストーリー」

ハリーポッター、ロードオブザリングなどのファンタジー枠の先駆けとも言える作品。40才前後ならその主題歌を聞くだけでワクワクする映画なのだが、いまいちストーリーに覚えがないのも事実。
1984年の「ネバーエンディング・ストーリー」

CGもない当時としては、がんばっているのではないだろうか。
やはりファルコンの印象が強いのだが、全身もふもふではなくて背中にウロコがあったというのは新たな発見であった。

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岸壁の”妻”とのん気な夫~「ユリシーズ」

岸壁の”妻”とのん気な夫~「ユリシーズ」

日本ではあまりこのようなジャンルはないのだが、海外映画には神話モノが存在するようだ。
1954年公開「ユリシーズ」だとピンときにくいかもしれないが、言いかえればオデュッセウス。英語にすればオデッセイである。

英語のオデッセイとは、長い放浪の旅のことを指す。それがいまでは自動車のブランド名にもなっているわけである。
本作はその起源の冒険譚なのであるが、トロイア戦役に勝利した知将ユリシーズがトロイア

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”男の子って少し悪い方がいい”という時代~「グリース」

”男の子って少し悪い方がいい”という時代~「グリース」

「ラ・ブーム」は1980年頃のフランスの学校生活を描いていたが、今度はアメリカの高校生活をテーマにしたミュージカル映画を。
これが一般的だったかどうかはわからないけれども。1978年公開の「グリース」。

ジョン・トラボルタは前作「サタデーナイト・フィーバー」で大ヒットを記録。続く本作ではダンスのみならず歌も披露し、その勢い変わらずといったところだったのだろう。
迎えるヒロインは、オリヴィア・ニュ

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「王様と私」と「花とみつばち」

「王様と私」と「花とみつばち」

近年では、本場のブロードウェイで渡辺謙が王様役として出演したことでも話題になった、この作品。最初の映画の作品を、今回視聴した。
時代背景は、19世紀半ば。シャム、今のタイ王国にも近代化の波が迫ってきていた時代だ。

この映画を観て、最も強く感じたことは、思っていた以上に西欧主義的な作品だということだ。
タイが近代化を目指そうとしていたのは事実なのかもしれない(私は不勉強のため知らないが)。そうであ

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