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映画と芝居の融合~「Wの悲劇」

今月は専ら邦画三昧。とりわけ80年代の角川映画を中心に鑑賞中。
メディアミックス戦略の先駆けと言われ、いまだその評価は分かれるところであるが、邦画史に残る作品も多いのもまた事実。
今回はこれは馬鹿にできぬと思った作品を紹介。1984年公開「Wの悲劇」

原作は夏樹静子の同名小説。だが、それはこの映画の劇中劇で使われているだけで、映画のプロットはそれを演じる俳優(とその卵)たちの人間模様を描いている。

これが単なる劇中劇としての使い方ではなく、本筋と劇中劇とが二重写しになっているかのよう。それがゆえに、観ているものからすれば、彼らは今どっちの心情で演じているのだろうと思わせられ、よりその演技に引き込まれていく、そんな効果にもなっていると思う。

劇、芝居を題材にしているからか、全体的に演技は大仰な印象。
でも、芝居の演技はこってりで、映画は淡白であるべき、という決まりがあるわけでもない。要は観る者の心をどうやって揺さぶるかである。
最近はリアルとリアリティとを同義として捉えているのではないかと思うような作品が多い気がするが、本作のように大ぶりの演技を堪能するのも、ザ・映画、ザ・芝居という感じがして、むしろ爽快感さえ覚える。

もちろん、それを演じきれる俳優陣がいてのことであるが、薬師丸ひろ子もさることながら、三田佳子の存在感たるや。あまり大女優という印象は持っていなかったが、この人の作品を他にも観てみたいと思わせる、強烈な演技であった。

あと、これも忘れてはいけないが、テーマ曲も名曲なのである。


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