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セクシーさよりも天真爛漫さ~「紳士は金髪がお好き」

ハワード・ホークスのコメディ作品の決定版と言えばこの作品だろう。
1953年公開「紳士は金髪がお好き」

ホークスコメディの最高傑作であり、マリリン・モンロー主演の一番の作品だと思う。
彼女はこういう「ブロンドで美人で少しおつむが足りない女性」像は好まないかもしれないが、良くも悪くも本作のモンローが彼女のイメージを作り出していることは否定しがたい。

彼女を観ていて、実に飽きない。テンポがいいし、弾むような動き。
昔の歌で「処女と少女と娼婦に淑女」というフレーズがあったが、彼女の表情はまさにこのどれをも表現し得ている。いくつもの顔を持っている。

たとえばこのシーン。映画史・音楽史でも名を残す「ダイヤモンドは女の親友」の場面。

このシーンをオマージュとしたのが、マドンナの「マテリアル・ガール」。主題は同じなのだが、見比べてみるとどうだろう。

その表情(つくりではなく)がまったく違うのがわかる。これだと「娼婦」のみなのだ。

後年のモンローはセクシーシンボルのレッテルに悩むことになる。我々の持つイメージもそうなのだが、彼女の魅力はむしろ天真爛漫な少女のような部分にこそあるのではないかと思うのである。

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