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毎日が病みあがり

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2019年12月の記事一覧

日付が変わるだけなのに

師走。あと数時間で、正月が来る。宇宙規模で考えたら、太陽の周りを一つの星がくるっと回っただけ。しかも、自転しているその星の日付が変わっただけ。ただそれなのに、カウントダウンまでして盛り上げ、祝う。初日の出を見ようと、富士山に登ったり、海辺まで行ったりする。

あのセレブレーション感は何だろう。全世界の人が、一つの区切りを「せーの!」でまたぐ。でも一斉にじゃない。地球の自転のスピードに合わせて、世界

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少し考える

少し考える

昨日、地下鉄に乗った。もう冬休みだし、帰省ラッシュだし、当然、混み合っていた。ドアが開いてびっくりしたのは、ドアのあるあの広いスペースの真ん中で、大きなスーツケースに座っている若い男性がいたからだ。イヤホンで何かを聴きながら、スマホをいじっている。彼はまるでスーツケースと上半身が繋がっているようにさえ見えるほど、「座って」いた。くたっとしたぬいぐるみのような感じだった。

迷惑だな、と思った。でも

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餅を殿様に焼かせてはいけない

餅を殿様に焼かせてはいけない

子どもの頃、雑煮と餅はお正月だけの食べ物だと思っていた。少なくとも餅は、冬の食べ物だと思っていた。その理由は、おばあちゃんが餅を焼くときにストーブを使ったからだ。ストーブの上で餅の裏表をくるくると返しながら、おばあちゃんが言った。「昔から、魚は殿様に焼かせろ、餅は乞食に焼かせろって言うんだよ」

どういう意味かと尋ねたら、裕福な人はおっとりしていて、焼けるのを待つことができる。魚のように身が崩れや

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あほ毛?

あほ毛?

ムスメは小さい時から、髪を切リたがらない。だからずいぶん長い。中学校に入って一番困るのは「校則」が面倒くさいことと、トイレの便座に毛先が入り込んでしまうことだ。(家のトイレには、必ずおだんごにして行く)

校則。前髪は眉にかかってはいけない。耳を隠してはいけない。肩にかかる長い髪は黒いゴムで縛り、飾りをつけてはいけない。一つ結びか二つ結びで、それ以外の髪型は違反。染めてはいけない。昭和から何も変わ

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悪い知らせ

悪い知らせ

いい知らせを待っているというのに、「悪い知らせ」というタイトルのメールが来た。しかも、長い。飽きる。赤ペン先生になって、添削して返送したい。

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こんにちは!

私はあなたに悪い知らせがあります。
2019年9月11日 - この日、私はあなたのオペレーティングシステムをハッキングし、あなたのアカウント(xxxxa-pxxxx

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年末状

年末状

不定期にお便りをくださる先輩がいる。わたしが広告の会社で働いていた頃の仕事仲間であり、業界の大先輩でもある。わたしが出産を機に家にいると知った頃から、年に2〜3枚のハガキを送ってくださる。それは、町歩きをしながら撮った写真をそのままハガキに仕立てたもの。おそらく自宅のプリンターで作っているのだと思う。風景がほとんどだが、ムスメが小さい頃は動物園のキリンの写真なんかも送ってくださった。お酒と本が大好

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灯りという恵み

灯りという恵み

日曜の夜に寝室の蛍光灯が切れた。寝室は二階にあり、ムスメとわたしが同室で寝る。日中は窓からの光で十分に明るい。日が落ちてからは真っ暗。当然ながら。だから、ムスメとアウトドア用のヘッドライトを使って、寝床を確認し、毛布を整え、布団に潜る。朝起きるのは、まだ夜明け前なので、再びヘッドライトをつけて、階下へ降りる。明るいって、ありがたいなあとしみじみ思う。こんな生活も、もう3日目だ。

蛍光灯を買ってく

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クリスマスイブに書くことがない

クリスマスイブに書くことがない

夕方、用事があって街に出た。びっくりするくらい人が多くて、光がキラキラで、ステージで歌ってる人がいて、クリスマスマーケットの屋台がずらっと並んでいて、いやはや、クリスマス満開だ。ふわっとシナモンの香りがして、フラフラとホットワインの屋台に足が向く。いかん。目的が違う。

わたしが買いに行ったのは、おととい切れた寝室の蛍光灯。今朝切れた洗面所の白熱灯。およそクリスマスらしくないが、どうしても買いたか

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電気によるお知らせ

電気によるお知らせ

昨夜、寝室の照明が突然、ビカビカっと点滅したかと思ったら、ツーと心電図の反応がなくなるみたいに切れた。ちょっと怖くなった。

それは先日、お父さんを亡くした友だちから、「死者が自分の死を知らせに電気を点滅させる」という話を聞いたからだ。

話はこうだ。お父さんが亡くなって、すぐに知らせた相手から「それは何時何分?」と聞かれた。臨終の時刻を告げたら、ちょうどその時間に、その方のお宅のトイレで電気がチ

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待ち合わせ力

待ち合わせ力

この記事を読んでみて欲しい。この方の、軽妙ながらも情熱的な文章と、草の根をかき分けてでも真相を究明しようとする姿勢が素晴らしい。

わたしがこの記事を読んで思ったのは「子どもたちに、ケータイやスマホを頼らずに待ち合わせできる能力があるか」ということだ。

今日の昼過ぎ。「今日は外食しよう。19時に予約した」とオットが言った。ムスメは15時からの友だちとのクリスマスパーティに浮かれて出かけて行った。

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喪服

喪服

友だちのお父さんが亡くなった。

訃報を受け、友だちのことが心配で、すぐにでも駆けつけたい気持ちだったが、その直後に一抹の不安がわたしの胸の内をかすめた。そうだ。喪服。

最後に着たのは、たしか去年。あの時はパツパツで、背中のファスナーを自分で上げることができなかった。朝練に行く前のムスメに頼んで、葬儀が始まるまでの4時間、ろくに座ることもできない状態で待機していた。座るとどこかの縫い目がほころび

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今年はどんなところでクリスマスをするの?

 タイトルを見て「あ!」と思ったあなたは同世代を生きたナカーマである。今後ともよろしくおねがいします。

さて、クリスマスは宗教行事であるにもかかわらず、日本の多くの子どもには「プレゼントをもらう日」として浸透し、恋人たちは一緒に過ごす日としての不文律が確立し、ほとんどの人がクリスマス商戦に巻き込まれている。「メリークリスマス」もまた、宗教的な言葉であるわけで、仏教徒のわたしがそれを言うのはちょっ

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ハル・ハートリー、映画作りたいってよ

ハル・ハートリー、映画作りたいってよ

わたしの好きな映画監督のひとり、ハル・ハートリー。

スカパー!で「トラスト・ミー」「シンプルメン」「フラート」の三作が放映された。あらためて観てよかった。いろんなことを思い出した。映画的で、自主制作的で、実験的。特にこのシンプルメンのダンスシーンときたら、本当にすばらしく、何度でも観たい。トラストミーの背面飛びも本当に胸を打たれた。フィルムの質感もすばらしく良かった。4Kとかの技術力に頼らない(

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歯の話よ。

歯の話よ。

余命宣告された。余命、といっても『歯』の話である。不謹慎なたとえかもしれないが、わたしにはそれくらいのインパクトだった。

歯周病。「リンゴをかじると歯茎から血が出ませんか」というCMを見ていた子どもの頃、これはお年寄りの話だと思っていた。

おととし。事情があって徹夜が続き、1週間くらいガタガタの生活をした。歯周病菌の繁殖力と、免疫力のバランスが一気に崩れたのだろう。歯茎が腫れ上がって、眠れない

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