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ぜんぶ、だけど

ぜんぶ、だけど

私の彼氏は、顔が良い。
じっと見つめて女を辞めたくなるくらいには。

イケメン、というには美しすぎる。
見目麗しい、と表現した方が合っている。
意味的には同じかもしれないが。

まぁ、その、なんだ。
人としてもちろん彼のことは好きなのだが、それ
と同じくらい顔が好きなのだ。

隣を歩き始めて早3年。
すれ違う女の子が色めき立つことにも慣れた。
気持ちはわかる。
きっと私も同じようにするはずだから。

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invisible

invisible

君たちを見つけた、あの日。
それはきっとただの偶然なんかじゃなかった。
もしかしたら、君たちが私を導いていたんじゃ
ないかって思ってしまうんだ。

そんな君たちが、たくさんの出会いを経て
変化していく姿をこんなにも近くで見られることとても嬉しく思うよ。

…さて、何から伝えたらいいんだろう。
君たちと過ごした時間はあまりにも濃くて、
眩しくて、感じたものも得たものも本当に
たくさんありすぎて、持て

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ハロウィン、だってさ

ハロウィン、だってさ

10月31日。
世の中はハロウィンで賑わっている。

「ハロウィンって、なんなんだろうね。」

ソファーに座る彼女がなんの感情も無く呟いた。

「…コスプレして街を闊歩したり騒いだりしても
 許される貴重な日?」

「…許されてはいないだろうね。だけどある意味
 正解かも。」

なんて中身のない会話なんだろうか。
お互いローテンションで、目を合わせることなく
意識は完全に手元で繰り広げられている戦

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How sweet do you like?

How sweet do you like?

つくづく思う、私は面倒くさい女だなぁと。

「どうかした?」

あ、気づかれた。意外と早かったな。

「いや、綺麗な顔してるなぁって思って。」

「ふはっ、なんだそれ。」

彼は少し照れ臭そうに笑って、また手元の
スマホへと視線を戻す。

今は私の家で彼とまったりタイム。
お互いスマホゲームをして楽しんでいる。

正しく言うと、彼は現在進行形で楽しんでいるが
私はゲームに飽きて、目の前の綺麗な顔を

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刹那的ロマンチスト

刹那的ロマンチスト

例えば、夕焼けに染まる空。
ピンク色が混ざったオレンジと紫。
あんな色の食べ物あったら映えそうだな。
…なんて柄にもなく、JKらしいことを思った。

例えば、水溜まりに映る世界。
風もなく綺麗に逆さまの世界が見える。
踏み込んでみたら吸い込まれて異世界へ…
なんてことが起きるはずはないけれど
淡い期待と共に水溜まりに足を踏み入れる。
わかっていたが、吸い込まれることなんてなくて
ただ映る世界が揺ら

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Reason

Reason

当たり前が当たり前じゃなくなって
何もかもが未知で上書きされた生活も
もう1年以上が経つ。
少しずつではあるけれど新しいスタイルが
浸透していき日常が戻りつつある。
恐らく、収束したとしても完全に元通りには
ならないだろう。
それでも、変わった世界で一喜一憂しながら
強く生きている。

「お客さん入れてライブするんでしょ?
 やっとだね。」

スマホ越しに聞こえる君の声は明るく、
どこか嬉しそうだ

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不透明な愛

不透明な愛

あなたがくれる

濁った水の中でも生きていけるようになったのは

いいえ…濁った水の中でしか、

生きられなくなってしまったのは

いつからだろう。

こんなはずじゃなかったと思う反面、

この現状に幸せを感じている自分がいる。

綺麗な恋愛に憧れたあの頃の私は

とうの昔に置いてきた。

あなたといる今が、この空間が

何よりも大切で、何よりも好きだから

誰かに邪魔されるなんて考えられなかった

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Wonder

Wonder

一面深緑の世界に降る色とりどりの雨。

白や黄色、ピンクに青…

いつもどこかで雨が降り、世界を彩っている。

土砂降りの日もあるけど、ほとんど毎日霧雨。

だけど1年に3回くらい、全く雨の降らない

いわゆる乾季がやってくる。

いつもは賑やかな外の世界が

しんと静まり返り、少し寂しい気持ちになる。

雨季は、毎日雨続きで嫌だし

乾季は、私の楽しみが奪われてしまうから嫌。

…私の楽しみ、知

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memory

memory

好きとか嫌いとか。
夢を見ていたいとか、目を覚まさなきゃとか。
考えすぎて頭が痛いくらい。

それなのに
いろんな思考の狭間で揺らいでいた感情も、
それが一体何を探すためだったのかも
もう見つからない。

逆算で鳴らした目覚まし時計を止めて
何もない天井を見つめる。
いつもどこか気怠いのは変わらないけど、
今日はいつにも増して感じる。
何か行動する気になれないけど
生憎今日も仕事だから
仕方なく重

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Like a Sugar

Like a Sugar

気がつけば、俺の頭の中を支配していて

気がつけば、お互いに求め合っていて。

それなのに君が振り向くことなんて、

奇跡に等しい。

「俺のことは遊び、なんだろ?」

きっといつもみたいに、素っ気ない言葉が

返ってくるだろうと思っていた。

「…そう思うんだったら、

 私を本気にさせてみてよ。」

何かが違う、夜が始まった。

部屋に響く君の甘い吐息。

唾液の交わる感覚が身体中を駆け巡る。

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チョコレート事件

チョコレート事件

世の中がバレンタインだと浮かれていた中、
私たちの学校は絶賛テスト期間。

最終学年への進級がかかった大事な
学年末テスト。
チョコだのなんだの言ってる場合じゃないよ。

そして無事テストが終わり、
遅めのバレンタインが学校に訪れた。

昼休みはみんなでお菓子パーティーだし、
放課後はテストが終わった開放感で
遊びに行く人がいっぱい。

私? 私は、お菓子パーティーはするけど
真っ直ぐ帰宅組。

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