青猫

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記事一覧

タイトル@世界.com

本格的に夏が到来。駆け足で日本を熱波で包んでいきましたね。水面下で南海トラフの噂も流れ、まるで世界の終わりが夏の終わりと同時に来るのかとも思われ、永遠がそうでは…

青猫
1か月前
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8.32*光へ

これは誰かの話で、僕たちの話。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 僕がカラーコーンを蹴っ飛ばそうと試みると、スリッパが放物線を描いて明後日に飛んだ。その赤い三角標を僕の足はす…

青猫
3か月前
11

2023.12.29

坂本龍一の曲名みたいなタイトルですがそんなに価値あるものではなく、どこにでも居るような人間の経過報告であることを冒頭で謝らせてください。 これを言うことによって…

青猫
9か月前
9

あの時、赤信号を渡れなかったきみへ

父親が生前遺した唯一の図書カードで彼女への誕生日プレゼントとして本を買うために隣町の本屋に向かっていた時のことだ。原付で小さな交差点の赤信号に止まった時にふと、…

青猫
1年前
35

星が降って来たからさばいてみた。

先に言っておくと昨日はなんとか流星群だったらしい。 2日前に干した洗濯物を取り込もうと思い立った時にはもう夕暮れだった。排水溝が詰まりに詰まって雨水が流れなくなっ…

青猫
1年前
9

【短編小説】「靉靆」

 都会の夜はどこか寂しく思える。  青白い空も、いつまでも一人点滅している看板も、遠くで揺らいでいる電波塔も。全部自分のもののようにも思え、また世界の果てのよう…

青猫
2年前
225

【短編小説】「沙羅と夏」

 一/ 「妹よ、やはりお前は疎ましい」  妹宛の郵便物を覗き見た玄関先で、私は思わず呟いた。――お姉ちゃん、お姉ちゃんと、耳鳴りのような蝉の声までもが妹のものの…

青猫
2年前
26

【短編小説】「夜行衝動」

   ふと、視線を感じた。  生物的本能である。  それが誰から何処から向けられているものかは分からなかった。  私は、会社の帰りに古本屋に寄った。ほんの気まぐれ…

青猫
2年前
28

【短編小説】「誰そ彼」

 或る秋の夕暮。  私は缶コーヒーを片手に延々と続くかと思われる階段を静かに降りていた。昨日の天気は雨であった、故にコンクリートは湿り、駅のホームには悶々とした…

青猫
2年前
7
タイトル@世界.com

タイトル@世界.com

本格的に夏が到来。駆け足で日本を熱波で包んでいきましたね。水面下で南海トラフの噂も流れ、まるで世界の終わりが夏の終わりと同時に来るのかとも思われ、永遠がそうではなくなる可能性も秘めた特異な夏ですね、今年は。台風10号「サンサン」も予想出来ない動きばかりで。

はじめまして、色々なところで色々な名前を名乗りすぎてこういう初場所で何と名乗ればいいか迷います。
普段は映画を撮ったり写真を撮ったり、小説を

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8.32*光へ

8.32*光へ

これは誰かの話で、僕たちの話。
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僕がカラーコーンを蹴っ飛ばそうと試みると、スリッパが放物線を描いて明後日に飛んだ。その赤い三角標を僕の足はすり抜け、挙句の果てに履いていた一回りも二回りも大きなスリッパは陽炎に溺れた。それを見てか、蝉は前よりも強く鳴き始める。呼応するかのように僕を囲う乱立した物体にしがみついて鳴く蝉はまるでシューゲイザーのようだ。
夏。
昼下がりの冷房の聞いた

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2023.12.29

2023.12.29

坂本龍一の曲名みたいなタイトルですがそんなに価値あるものではなく、どこにでも居るような人間の経過報告であることを冒頭で謝らせてください。

これを言うことによって以下の自分語りが許されると祖母に教えてもらった気がする。
小説が書けなくなって、久しぶりに文章を書くので、読みにくかったらすみません。

全部を捨てて、死んでもしまっても良かった。
新品のタオルケットに包まれたら泣いてしまうくらいに自分は

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あの時、赤信号を渡れなかったきみへ

あの時、赤信号を渡れなかったきみへ

父親が生前遺した唯一の図書カードで彼女への誕生日プレゼントとして本を買うために隣町の本屋に向かっていた時のことだ。原付で小さな交差点の赤信号に止まった時にふと、彼のことを思い出した。泣きながらも、漠然とした未来に走って、赤信号を越えれなかった君のこと。

たとえば緩い幸せがだらっと続いたとする、の緩い幸せの部分を感じることが出来ている日常を送っている私は初めて彼に共感することが出来た。
私は最近、

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星が降って来たからさばいてみた。

星が降って来たからさばいてみた。

先に言っておくと昨日はなんとか流星群だったらしい。
2日前に干した洗濯物を取り込もうと思い立った時にはもう夕暮れだった。排水溝が詰まりに詰まって雨水が流れなくなったツバル国みたいなベランダに大きな金平糖が落ちていた。というよりも多分これは星だった。
多分というのはこんな至近距離で星を見たことがなかったから断言が出来ないのだ。私は洗濯物をそっちのけでその星を持ち上げた。色は白というより透明に近く、内

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【短編小説】「靉靆」

【短編小説】「靉靆」

 都会の夜はどこか寂しく思える。
 青白い空も、いつまでも一人点滅している看板も、遠くで揺らいでいる電波塔も。全部自分のもののようにも思え、また世界の果てのようにも感じる。白い息の行方を目で辿ると、薄明の空が僕の頭上に横たわっていた。――みんなの知らない夜の姿、それを見るために僕は人より早く目を覚ます。
「おはよう、じいちゃん」
「えっと、お前は……たかし?」
「そう、だね」
 僕は目の前から歩い

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【短編小説】「沙羅と夏」

【短編小説】「沙羅と夏」

 一/
「妹よ、やはりお前は疎ましい」

 妹宛の郵便物を覗き見た玄関先で、私は思わず呟いた。――お姉ちゃん、お姉ちゃんと、耳鳴りのような蝉の声までもが妹のもののように聴こえ、私は身震いをする。しんみりとした長い廊下が、ただ呆然と立ち尽くす私をじっと見つめていて、無情なまでに冷たく苦しい夏の気配が流れる汗となり、私の首筋を静かにたらりと垂れた。

 里美こと私の妹は、一ヶ月前にこの世を去った。自死

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【短編小説】「夜行衝動」

【短編小説】「夜行衝動」

   ふと、視線を感じた。

 生物的本能である。
 それが誰から何処から向けられているものかは分からなかった。

 私は、会社の帰りに古本屋に寄った。ほんの気まぐれだ。
 残業終わりの夜の匂いがそうさせたのか、私は気付けばここに立ち寄っていた。本の背を眺めながら店内を歩いていると、一冊の本の前で止まった。
 ――少女地獄、夢野久作著。
 私はその本を読んだことが無かった。しかし覚えている。――ま

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【短編小説】「誰そ彼」

【短編小説】「誰そ彼」

 或る秋の夕暮。
 私は缶コーヒーを片手に延々と続くかと思われる階段を静かに降りていた。昨日の天気は雨であった、故にコンクリートは湿り、駅のホームには悶々とした空気が漂っている。明るい地上から地下鉄のプラットフォームへと降りて行く様子は地獄へと堕落していくように感じ高揚感というか、不吉感というか、得体の知れない感情が震える。さもありなん、私は既に堕落した人間なのだ。純情と気遣いは五年前の箱根で、愛

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