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過去の自分を終わらせる出逢い

――人と出逢うということは、少なからずその人の物語に影響されるってことだから、どんな人と会うかによって、どんな自分が形作られるかが決まっていきます。時に、自分の全てを変えてしまうような出逢いを果たし、自分に革命を起こすこともあるでしょう。


人生は物語。
どうも横山黎です。

今回は「過去の自分を終わらせる出逢い」というテーマで話していこうと思います。


📚Lullaby

5月21日(日)に開催される文学フリマ東京36に、僕は出品者として参加します。最新作『夜明けのうた』といううた集を販売する予定です。

詩のような、歌詞のような、うた。中学時代から400以上の作品を綴ってきた僕が、20作品を厳選して1冊の本に仕上げました。1日の終わりに1作品をじっくり味わう読み方がおすすめです。眠る前のあなたに小さな革命を起こしたい。ステキな夜明けを迎えてほしい。そんな願いが込められています。

Amazonで購入できますが、文学フリマ価格で少しお安くご案内します。是非、【N-38】のブースにお越しください!


文学フリマまで少し時間があるので、うた集に収録してる作品たちを毎日紹介していこうかなと思います。そのうたにまつわるエピソードを物語っていきますね。

今回取り上げるのは、「Lullaby」という作品です。

気になっている子との寝落ち電話の様子を描いた静かな夜の恋のうた。枕元から声が聴こえてくるのに、体温はそばにない。そんなもどかしい状況がさらに感情を駆り立て、相手にのめりこんでいっていく姿を描きました。

今回はこのうたをベースに、「過去の自分を終わらせる出逢い」というテーマで話していきます。恋愛に限らず、どんな人と出逢うかで、いくらでも自分を変えることができるよね、という話です。


📚寝落ち電話でのめりこむ

「Lullaby」の話から始めますね。

このうた、個人的にかなり気に入っている作品なんですが、特にうまくいったな!と自画自賛しているのが、主人公の感情の微妙な変化が描けたことです。それは言葉の違いからいえることです。

もう寝るの?
もう少し話そうよ
枕のそばで君が囁く甘い言葉

こんなフレーズから始まります。この時点では一緒にベッドに寝ているとも読み取れますが、以後のフレーズから電話越しに話していることが分かります。つまり、「もう寝るの?」「もう少し話そうよ」の台詞は、枕元のスマホから流れてきているということです。

その後、主人公はどうなったか。こんなフレーズが続きます。

電話越しの君の声を子守歌にして
今日の自分を閉じていく bye bye

そう、主人公はそのまま寝落ちてしまうんです。その日の自分を閉じていくんです。寝落ち電話とは、相手の声を子守歌にして眠ること、という捉え方から生まれたうたで、それが端的に表現されたフレーズだと思います。

「Lullaby」の物語はさらに続きます。何度も何度も寝落ち電話をすることになって、その度に「もう寝るの?」と訊かれ、主人公はそれに応じていく……気が付けば、相手にのめりこんでいっているんです。で、さっきと似たようなフレーズが続きます。

電話越しの君の声を子守歌にして
過去の自分を閉じていく bye bye

「今日」が「過去」に変わっています。そう、「君の声」が過去の自分を終わらせる「子守歌」になったんです。きっとそれまでの自分だったらしないようなこと、言わないようなことが、君との電話では実現してしまった。その気付きは同時に新しい自分に気付く契機でもあったのです。

もう完全にのめりこんでしまった主人公、最後のフレーズでは自ら行動を起こしています。

もう寝るの?
もう少し話そうよ
枕のそばで君に囁く甘い言葉

最初のフレーズとほぼ一緒ですが、一文字だけ違います。「が」が「に」に変わっているんです。つまり、主体が変わっているということです。

「もう寝るの?」「もう少し話そうよ」の甘えるセリフ、元々は相手から言われていたわけですが、最後は、相手にのめりこんでしまい新しい自分に生まれ変わった主人公が囁いているんです。


話をまとめると、この「Lullaby」といううたは、寝落ち電話を通して過去の自分を終わらせるまでの物語を孕んでいるというわけです。


📚過去の自分を終わらせる出逢い

ちなみに、このうたは僕の実体験が元になっていたりなっていなかったりするんですが(笑)、きっとみなさんのなかにも心当たりのあるフレーズが多いんじゃないかなと思います。

寝落ち電話のくだりへの共感もそうですが、今までの自分がなくなってしまうようなそんな衝撃の出逢いをしたことがありませんか? どんな物語も太刀打ちできないそんな出逢いがあったはずです。

それは恋愛に限らず、友情関係、師弟関係、仕事関係……あらゆる関係においての話です。

人と出逢うということは、少なからずその人の物語に影響されるってことだから、どんな人と会うかによって、どんな自分が形作られるかが決まっていきます。時に、自分の全てを変えてしまうような出逢いを果たし、自分に革命を起こすこともあるでしょう。

僕自身、これまでにいくつかそういう運命的な出逢いを果たすことができたし、そういった出逢いが僕という人間の大部分を占めている気がします。

きっとたくさんの人に出逢わなければ、はっとするような出逢いは生まれません。逆をいえば、会う人の数を増やせば、運命的な出逢いの実現する確率が高まるってこと。やることはいうまでもありません。自分のなかに革命を起こすためのLullabyを探しにいきます。

最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

20230511 横山黎



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