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本のPOPを「手紙」にする。

――「封筒を手に取って、中から手紙を取り出して開く。そして読む」という作業をあえて用意することで、「作者からの手紙を読んで本を紹介される」という体験をつくることになり、少なからず購買意欲の促進につながるのではないかなと仮説を立てました。


人生は物語。
どうも横山黎です。

大学生作家として本を書いたり、本を届けたり、本を届けるためにイベントを開催したりしています。

今回は「本のPOPを手紙にする。」というテーマで話していこうと思います。





📚本のPOPをどうするか

昨日、茨城県大洗にある「焚火と本」という本屋さんに行ってきました。以前からずっと行きたかった場所で、そこの管理人である佐藤穂奈美さんはずっと会いたかった人でした。

やっと昨日タイミングが合ってお伺いすることができたんですが、僕の期待した通り、ステキな空間が広がっていました。店名から想像つくように、キャンプギアやキャンプに関する本も販売しており、店内に置かれて椅子や照明などもキャンプを想起させるものでした。

そこでアイスコーヒーを飲みながら、読書に耽り、最後には穂奈美さんと歓談することができました。話の流れで、僕の初書籍『Message』を置かせてもらうことに。『Message』5冊を委託販売という形で売っていただくことになりました。

また新しい場所で自分の本を届けるチャンスをつくることができた。そう思い、素直に嬉しかったんですが、そこでひとつ課題が生まれました。

「本のPOPをどうするか」です。



📚本のPOPを「手紙」にする

穂奈美さんから「できればPOPをつくってほしいです」とお願いされたとき、僕はどうして準備をしてこなかったんだと自分を責めました。「焚火と本」に行くと決めてから、できれば本を置かせてもらえないかなと希望を抱いていたので、『Message』を複数冊持っていったんですが、それと一緒にPOPもつくって持っていくべきでした。

みなさんも本を買ったことはあるでしょうから経験として理解していると思いますが、本を買うときに頼りにするのは、帯やPOPに書かれた情報です。誰が紹介しているのか、あらすじはどうか、どういう魅力があるのか……などなど。お客さんは買うメリットがないと、その本にお金を出して買って、時間をかけて読もうとしません。

つまり、本の中身の良し悪しは直接関係なくて、本の外側でどれだけ価値を高めることができるのかが勝負になってくるのです。

さて、どうしたものか。

POPをつくってこなかった僕は考えました。穂奈美さんからは「次に来たときでもいいですよ」と言われましたが、せっかくだし今日どうにかしたいと思いました。そのとき、僕は持っていた鞄の中にレターセットが入っていることを思い出しました。
#なんでそんなものが入ってるんだ

そうです。僕は「本のPOPを手紙にする」というアイデアを実行しようと思い至ったわけです。



📚本を買う行動にも体験を

少し前に話題になったニュースのひとつに、「イマーシブ・フォート東京」があります。USJを再建した森岡毅さんが東京お台場に新しいテーマパークをつくり、来年4月にオープンすることを発表しました。

イマーシブとは、「完全没入体験」と訳されます。

「イマーシブ・フォート東京」では、お客さんの数だけ楽しみ方があるテーマパークなんです。詳しくは分かりませんが、テーマパーク内で何かしら「事件」が起きて、それに対する客さんの言動によって物語が変わっていくそうです。

以上の話に代表されるように、今、「物語を体験する」という波が来ていることは確かで、今後はさらに「イマーシブ」を意識したサービスやコンテンツが増えていくのではないかと推察されます。

僕が中学生の頃に隆盛した「リアル脱出型ゲーム」も自分で謎解きをする「体験」に価値が置かれたエンタメですし、今では「体験する物語」というまさに「イマーシブ」を追求したエンタメも話題になっています。

僕は注目してはいるもののなかなか体験しにいくことはできていない状況ですが、僕の友達に脱出ゲーム好きな人がいて、「体験する物語」にも何度か参加しているんですが、彼いわくめちゃくちゃ面白いとのことです。そういえば、僕の高校時代の友達で、当時からずっと脱出ゲームが好きだった人がいました。彼女は既にキャストとして運営側に回っている人でもあるので、今度機会があったら会いにいってこようと思います。



さて、話を戻しますが、「体験」に対する価値を軽んじてはいけない時代、逆にいえば、「体験」を追求することがよりよいサービスやコンテンツにつながるわけですから、どうにか自分の活動でも「体験」を追求していきたい気持ちがずっとありました。

そういえば、小説『Message』は僕ひとりでつくったわけではなくて、僕の友達やnoteで知り合った人と一緒に協力してつくった作品でした。共同創作を追求したんです。これも、「物語をつくる」「本をつくる」という体験の価値を試してみたいという理由もあり、挑戦したことでした。

また、『Message』の出版後、僕はいろんな人に手売りを続けてきたんですが、それも「本をその著者から買う」という体験を提供したかったから。まだアマチュアの大学生作家だからこそ自分の作品を届けるためにやるべきことでしたが、蓋を開けてみればそこに価値を感じてくれる人は少なくなくて、手売りをしてきてよかったなと今では振り返っています。

同じように、本のPOPを手紙にするということは「体験」をプレゼントすることになると、僕は思い至ったのです。手紙の封筒には、以下のような文章を添えました。

親愛なる読者様へ

小説『Message』に興味を持ってくださった方は、この手紙を読んでいただけると幸いです。

作者より

そして、その封筒の中には、僕からのメッセージを書き記した手紙が入っていて、小説『Message』のPOPになっているというわけです。

本来であれば、一目見てすぐに情報が伝わった方が良いんだろうけれど、「封筒を手に取って、中から手紙を取り出して開く。そして読む」という作業をあえて用意することで、「作者からの手紙を読んで本を紹介される」という体験をつくることになり、少なからず購買意欲の促進につながるのではないかなと仮説を立てました。もちろん、手紙の中身は、思わず読みたくなるような文面にしましたし、悪くないアイデアだと思いました。

かつ、小説『Message』は手紙の物語でもあります。これは本を読んでから気付くことになるわけですが、コンセプトとしてもPOPを手紙にするという試みは自然なんですよね。

はたしてこれがちゃんと結果につながるどうかは分かりませんが、今日書いたような「本を買う」という行動に「体験」を添えるためにはどうすればいいのか、これからも考えて、実験していこうと思います。それがいつか、次の僕の本を出して売るときの参考になるはずなので。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

20231025 横山黎



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