マガジンのカバー画像

読書日記

30
読者記録をまとめています
運営しているクリエイター

#本好き

オーディオブックにのめり込む

オーディオブックにのめり込む

「本が大好き」と豪語する割、最近小説を手に取っていない。大きな理由は時間が区切れないから。読書はジェットコースター。作品という線路を走る車に乗車し最高速度まで加速可能。あとは作品の引力に従って全身を振り回されつつ、一気に読み進める。良い。問題は最高速度に行くまでの間。此処で途中下車し、何らかの噛み合わせの悪さで身体が速度に乗れない場合は大惨事。最近の私の読書はしょっちゅうこの大惨事を引き起こし、為

もっとみる
読書日記〜人生がときめく片付けの魔法2〜

読書日記〜人生がときめく片付けの魔法2〜

小さい頃から自分の背丈以上ある大きな本棚を持つことに憧れる。元は父の影響。父の書斎には壁一面に漫画、様々な文豪の作品集が敷き詰められ迷路。大人になった私はカラーボックスという簡易的な処置で金に物を言わせ自分の好きな本、画集を壁に並べ、敷き詰め、自分の秘密基地の空間を作る。何時か誰かがSNSで本棚は恥部と呟く。正しくその通り。私の大好きを作ってくれたもの、私に新しい価値観を教えてくれたもの。私の頭の

もっとみる
読書日記〜リスを実装する〜

読書日記〜リスを実装する〜

朝のアラームが鳴り無の中から無理やり目をこじ開け、働かない頭でスマホを手にとりSNSを眺めることが日課。顔認証でスマホを立ち上げ、指が自動的にSNSアイコンを探り文字を追う。自分の眠った間に交わされた面白いお喋りを見逃さないよう投稿をじっとりと遡る。知り合い達の会話の応酬に参戦したい気持ちもあれど時間が経ったやり取りを無理やり蒸し返すのも野暮。じっとりとした気持ちを残しつつ止めどなく続きゆく文字列

もっとみる
読書日記〜カム・ギャザー・ラウンド・ピープル〜

読書日記〜カム・ギャザー・ラウンド・ピープル〜

朧気ながらも女優になるという大層な目標に近づく為、組み立てていた予定が白紙に戻り私は焦ら立つ。昨今のコロナ禍の為だということは十分分かっていて誰が悪い訳でもないからこそ余計歯痒い。くそ。何が悪かった。畜生。誰にも向けられない苛々は私の中でぐつぐつマグマのような音を立て、煮える。私も大人。表面上は問題ない。通常運転。澄ました顔で粋な受け答えが可能。何時もなら気にしない些細なことで突然怒りの導火線が着

もっとみる
読書日記〜儚い羊達の祝宴〜

読書日記〜儚い羊達の祝宴〜

あと少しでお休み、金曜日。月曜日から走って息切れ気味な金曜日に読んで欲しいのは「儚い羊達の祝宴/米澤穂信」 

最後の1文に殺される。 本作程、物語の終わり方が分かり易く幸せでおぞましく綺麗な物語は中々ない。物語は5つの短編集構成。

・完璧主義により倫理を踏み外してした子の話
・欲に任せ兄を殺した子の話
・冬の山荘にお客様を饗す為に人を消した子の話
・自分の敬愛する主人に尽くしどんな命令にも応え

もっとみる
読書日記〜中原中也全詩集〜

読書日記〜中原中也全詩集〜

まだ週の真ん中、木曜日。頭を空っぽにして楽になりたい時に読んで欲しいのは「中原中也全詩集」 此処で突然の詩集?ゆあーんゆよーんゆあゆよんの「サーカス/中原中也」で有名な彼の作品は独特の文字遣い、歩調により優しい描写が可能なことが特徴的。私が特に大好きなのは「春日狂想/中原中也」

彼の詩にはあまり喜び、俺は頑張るみたいな正の感情は多く出てこない。その場に置かれた人にとっては至極辛く悲しい状況を軽快

もっとみる
読書日記〜他人事〜

読書日記〜他人事〜

1週間の真ん中は何もしたくない。重怠い仕事、課題も全部ふっ飛ばしたくなる水曜日に読んで欲しいのは「他人事/平山夢明」

胸糞悪い話が勢揃い。特に秀逸なのは短編集の題名でもある他人事。 倫理って?道徳って? 私達が今まで生き一生懸命学び体得してきた平和な世界を作る概念を本作は一瞬で破壊。交通事故により妻、同乗していた幼い娘が瀕死。主人公も脚を挟まれ身動きがとれない状態。現れた男に主人公は助けを頼む。

もっとみる
読書日記〜後藤さんのこと〜

読書日記〜後藤さんのこと〜

課題も仕事も山程あり他人からはよく分からないことを言われる。面倒な火曜日に読んで欲しいのは 「後藤さんのこと/円城塔 」

最初から断る。意味不。後藤と言うんだから人?何ていう前提をつけてかかってはいけない。それをしていると早々に作品からグーパンで殴られる。 だからといって読者を置いてきぼりにせず丁寧に説明。後藤を分かった気になる事実を鵜呑みにして自分の常識の範疇で後藤という存在を仮定してしまうと

もっとみる
読書日記〜ぐうたら人間学〜

読書日記〜ぐうたら人間学〜

疲れ切った平日夜に読んで欲しい本。おやすみ、また明日。月曜日は憂鬱な日。月曜夜に読んで欲しい本「ぐうたら人間学/遠藤周作」。先生が日頃感じているエッセイ集。読んでいると本当にくだらなくふふっと笑うことが多い文章。とある学生の尿検査の試験管に焦げ茶色の物体が詰まってきた話は先生の日記。何だか人生こんなに息を抜いて生きてもいいと感じさせてくれる本。息の詰まりそうな月曜日に。是非。