悠葉

声を巡る研究。時々道草。 月に一、二回の更新です。

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記事一覧

大切

保護されたそのネコは じっと人の目を見る この人は安心できる人か 危害を加えないか じっと目を見てしばらく動かない やがて安心できそうだと判断すると ゆっくり頭…

悠葉
3週間前
3

全体

夜空を見上げる 星を探す ひとつひとつ 星が揺れている いくつか数え ある時それが 絵に見える 星座と呼ぶ でもそれは 夜空に浮かんでいない 人の心に浮かんだものだ …

悠葉
1か月前
5

近代的自我

「私」というものができてから 私との間に距離が生まれた 私の身体 足が痛い 私の感情 怒りが湧いた 私と足の間に距離がある 私と怒りの間に距離がある そこにある物の…

悠葉
2か月前
3

別れ

大切な人との永遠の別れは 覚悟をする時間があっても やっぱり突然な気がして ぼんやりしてしまう 用意しなければならないことや 聞かなければならないことがあ…

悠葉
3か月前
3

置いておく

都合の悪いものは 排除したくなる 例えば寂しさや不安や怒りや 人によって色々 でもそれも自分 排除ばかりしていたら 全体の力を失う だから駄目とせず そのまま置…

悠葉
5か月前
3

ねこ

使い魔のような エメラルドグリーンの目を細め 三本の足で 堂々と歩く猫 自分も猫になって 一緒に日向ぼっこできたらなあ 1日だけでいいから叶えてくれる 魔法使い…

悠葉
6か月前
4

無題

光に願いを 影に願いを 穏やかに

悠葉
7か月前
4

逆行

野良猫は怪我をしたり 体調を崩すと 姿を消す 具合が良くなるまで 安全なところに身を隠し 日光を体に当てたり じっとして回復を待つ 任せる そしてもう大丈夫というと…

悠葉
7か月前
4

枯れていくもの

春がいい 桜も咲くし 元気になるから そんな声を聞いたけど 秋や冬もあるから 華やかな春がある 静けさの中に 枯れていく佳さがある

悠葉
8か月前
4

倍音

ロングトーンで声を響かせると ネコは時々倍音を聴く メロディやリズムには 興味がないらしい 響きが身体に及ぼす力は どれほどのものか 体験を通して 気づきながら …

悠葉
9か月前
4

最後は置いていく

生まれて呼吸を始め 動きや言葉を覚え 数えきれないほどの体験をし 何かを得て 何かを失い 何かは残る いつの間にか与え いつの間にか受け取る 一瞬のすれ違うだけの人…

悠葉
10か月前
4

暑さと身体

雲が形を変えていく 次どうなるのかはわからない とても暑い夏だった まだ終わってないけれど 来年も同じくらい暑いのか 先のことはわからない 塩を舐めたら甘かった 身…

悠葉
11か月前
4

情報感覚

情報がたくさんあり過ぎて 次から次へと忘れていく 分かった気になって終わる 身につくというのとは ちょっと違う 情報って何だろう あるものまね芸人さんが …

悠葉
11か月前
5

忘れない

祖母は戦争のことを語らなかった 語れない という顔をしていた どれほどの痛みが 傷がそこにあるのか おばあちゃんに こんな思いを抱えさせた 子供の私には そ…

悠葉
1年前
5

作品を通して

予期せぬ出来事に なんで自分ばかり なんでこんな人生 そう傾く精神と どう折り合いをつけるか 映画を観て身に届く 言葉にならない 心地悪くはない塊 良いか悪いか…

悠葉
1年前
6

小さな幸せ

久しぶりに本屋さんで本を買った。 「スタジオジブリ物語」 店員さんがカバーをかけながら 「映画、もうすぐですよね」と言った。 「はい。楽しみで」 「楽しみですよ…

悠葉
1年前
4
大切

大切

保護されたそのネコは
じっと人の目を見る

この人は安心できる人か
危害を加えないか

じっと目を見てしばらく動かない

やがて安心できそうだと判断すると
ゆっくり頭をすりつけてきた

時々またこちらの目を見る
大丈夫だよねと確認するように

この子に過去何があったんだろう

他のネコが近づくと唸る
信用できない

怖い

人間だってネコだって
心があるのは同じ

大切にされたいのは

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全体

全体

夜空を見上げる
星を探す

ひとつひとつ
星が揺れている

いくつか数え
ある時それが
絵に見える

星座と呼ぶ

でもそれは
夜空に浮かんでいない

人の心に浮かんだものだ

影のような
余韻のような

ひとつひとつの点が
人の中で芸術を生む

全体はいつも掴めない

けれど文化はそこからしか生まれない

近代的自我

近代的自我

「私」というものができてから
私との間に距離が生まれた

私の身体
足が痛い

私の感情
怒りが湧いた

私と足の間に距離がある
私と怒りの間に距離がある

そこにある物のように言う

痛みも怒りも
私そのものなのに

客観的になったことで
人には説明しやすくなる

自分からは遠ざかった

だから考え始める
なぜ起きたのか

痛みや怒りそのものならば
ただそうなだけなのだが

「私」の探求心は果て

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別れ

別れ

大切な人との永遠の別れは

覚悟をする時間があっても

やっぱり突然な気がして

ぼんやりしてしまう

用意しなければならないことや

聞かなければならないことがあるのに

ぼんやりしてしまって

あっという間に時間が過ぎていく

それでも人と会えば

どうしたって気を張るだろうだから

もう少しあの人といた記憶を

交わした言葉を

存在を

置いておく

置いておく

都合の悪いものは
排除したくなる

例えば寂しさや不安や怒りや
人によって色々

でもそれも自分

排除ばかりしていたら
全体の力を失う

だから駄目とせず
そのまま置いてみる

嫌だけど
駄目ではない

森とタタラ場
双方生きる道はないのかと

アシタカも言っていることだしな

ねこ

ねこ

使い魔のような
エメラルドグリーンの目を細め

三本の足で
堂々と歩く猫

自分も猫になって
一緒に日向ぼっこできたらなあ

1日だけでいいから叶えてくれる
魔法使いがいたらなあ

無題

無題

光に願いを

影に願いを

穏やかに

逆行

逆行

野良猫は怪我をしたり
体調を崩すと
姿を消す

具合が良くなるまで
安全なところに身を隠し

日光を体に当てたり
じっとして回復を待つ
任せる

そしてもう大丈夫というところで
いつもの場所に戻って来る

人は
生活に追われると
待つ暇が無くなる

だから早く都合よく治れと
身体の声を無視する
任せない

そんなことを繰り返していたら
その思い通りは
もう無理だよって
いつか身体にそっぽを向かれそ

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枯れていくもの

枯れていくもの

春がいい
桜も咲くし
元気になるから

そんな声を聞いたけど

秋や冬もあるから
華やかな春がある

静けさの中に

枯れていく佳さがある

倍音

倍音

ロングトーンで声を響かせると
ネコは時々倍音を聴く

メロディやリズムには
興味がないらしい

響きが身体に及ぼす力は
どれほどのものか

体験を通して
気づきながら

けれどそれが覆るように
まだ深くにいくのかと
驚きながら穴を掘る

科学的にどうかもいいけれど
自分の生きる中でどうかが大切

ネコと一緒

最後は置いていく

最後は置いていく

生まれて呼吸を始め
動きや言葉を覚え
数えきれないほどの体験をし

何かを得て
何かを失い
何かは残る

いつの間にか与え
いつの間にか受け取る

一瞬のすれ違うだけの人に
励まされたりもしながら

そして

当たり前にできていたことを
少しずつ置いていくように失くし

最後は息も
ここに置いていく

少しずつの人もあれば
いっぺんにの人も

生きていくうちに
当たり前がどれだけ幸せか
実感として

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暑さと身体

暑さと身体

雲が形を変えていく
次どうなるのかはわからない

とても暑い夏だった
まだ終わってないけれど

来年も同じくらい暑いのか
先のことはわからない

塩を舐めたら甘かった
身体が塩を必要としていた

感覚は無視したくない
呼吸みたいに気づけたらいい

身体のことはわからない
いつまでたってもわからない

情報感覚

情報感覚

情報がたくさんあり過ぎて

次から次へと忘れていく

分かった気になって終わる


身につくというのとは

ちょっと違う

情報って何だろう

あるものまね芸人さんが

ものまねは

残像でやるくらいがいいのかもしれない

と言っていた

自分が受け取った

内側に届いた「感じ」に

にじり寄る

自分のものにしていく

その感じが

人にも届くのかもしれない

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忘れない

忘れない

祖母は戦争のことを語らなかった

語れない

という顔をしていた

どれほどの痛みが

傷がそこにあるのか


おばあちゃんに

こんな思いを抱えさせた

子供の私には

その表情だけで充分だった

深い悲しみ

底しれない虚しさ

祖母が見せてくれたもの

忘れない

作品を通して

作品を通して

予期せぬ出来事に
なんで自分ばかり
なんでこんな人生
そう傾く精神と
どう折り合いをつけるか

映画を観て身に届く
言葉にならない
心地悪くはない塊

良いか悪いか
役に立つか立たないか
把握やコントロール
そんな視点から離れ

いつの間にか共に
奥深く潜っていって

戻ってきたときに
ひとり感じ残ったもの

作品のタイトルが響く
でもそれはみんなではなく
ひとり  ひと

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小さな幸せ

小さな幸せ

久しぶりに本屋さんで本を買った。

「スタジオジブリ物語」

店員さんがカバーをかけながら

「映画、もうすぐですよね」と言った。

「はい。楽しみで」

「楽しみですよね」

そんな他愛もない会話でもう幸せ。

店員さん、ありがとう。