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【創作】詩や小説や絵や

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記事一覧

僕は心から佳代を愛していた。    ~ショートショート~

僕は心から佳代を愛していた。    ~ショートショート~

それは突然に、テレビから圭くんと眞子様の婚約会見が放映された。
「まさか圭くんが眞子様と。。。」
嬉しかった。
圭くんは立派になった。
そして、まさか眞子様と婚約をされるなんて。。。

僕は心から佳代を愛していた。
婚姻こそなくとも僕らは夫婦だと思っていた。
だから圭くんも当然、僕の息子だと思っていた。
だから二人の生活費も圭くんの学費も、支援する事に躊躇はなかった。
そりゃそうだよ。
婚姻こそな

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【詩】カレーライス

【詩】カレーライス

カレーが嫌いな人っているのかな?
探せばいるんだろうな

僕を嫌いな人なんているわけないと思ってたけど
案外にいるって事
この頃 気づいたよ

さまざま香辛料で僕を調合して
さまざまな肉や野菜で僕を調理しても

僕を嫌いな人もいるんだよね

カレーはカレーを嫌いな人に食べられるのは
やっぱり嫌なのかな

僕は僕を嫌いな人
やっぱり好きにはなれないや

僕は僕を好きで

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【詩】ラムとマトンと君の喉元

【詩】ラムとマトンと君の喉元

人気店にありがちの
少しツンとした姉さんが肉を持ってくる
「こっちはラムでこっちはマトンね。」

その値段の違いから
きっとマトンよりラムの方が若く柔らかいのだろう

ジンギスカン鍋のふちに野菜を並べて
ジンギスカン鍋の山にラムとマトンを並べる
「こっちはラムでこっちはマトンね。」

ラムとマトンを食べ比べる
若いという理由だけで値段が高いのか
若いという理由だけで人気が

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【詩】ラーメン評論家

【詩】ラーメン評論家

小一時間待ったラーメンをすすると
思っていたより醤油っ辛くて
旨いと言えば旨いけど
そうでもないと言えばそうでもない

ラーメン評論をなんて
饒舌になれないバカ舌を
詩にもできないバカ舌を
なんだかとても誇りに思う味だね

車に戻ったら
ラーメン味のキスをしよう

僕はチャーシュー
君はワンタン
ラーメン味のキスをして

ラーメン評論なんかそれからだ

【ショートショート】走れディオニス王 ~続・走れメロス~

【ショートショート】走れディオニス王 ~続・走れメロス~

メロスは走った。
メロスは友情の為に走り抜いた。
セリヌンティウス友情の為に待ち続けた。
ディオニス王は二人の友情に感動をし
「おまえらの望みは叶かなったぞ。おまえらは、わしの心に勝ったのだ。信実とは、決して空虚な妄想ではなかった。どうか、わしをも仲間に入れてくれまいか。どうか、わしの願いを聞き入れて、おまえらの仲間の一人にしてほしい。」
と共に涙した。

その夜。
ディオニス王とメロスとセリヌン

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【詩】スケキヨは面長でなくてはならない

【詩】スケキヨは面長でなくてはならない

スケキヨは面長でなくてはならない
丸顔のスケキヨはどこかお茶目だ
まるでパンダだ
怖くない

丸顔の女性は胸が大きくなくてはならない
♪ 顔のわりに小さな胸や~ ♪
と唄ったミスチルの桜井さんはさすが天才だが
♪ 胸のわりに大きな顔や~ ♪
と唄えばミスチルの桜井さんといえど女達に叩かれるだろう

顔と胸とは医学的関係性はないが
この顔の女性はきっと胸が大きいに違いない!
そんな顔は確かにある

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【詩】図書館にて ~一端の詩人だ~

【詩】図書館にて ~一端の詩人だ~

外は
雨が降っている

「詩歌」の棚には
詩人達の本が並ぶ
詩って何だよ
詩人って何なんだよ
なかば喧嘩腰で詩集を羽交い絞めにしては
つまらん
くだらん
それがどうした
と片っ端から難癖をつけて棚に戻す

きっぱりとした雨が降っている

素敵な女性がソファーに座っている
僕は退屈な詩集を小脇に抱えて向かいのソファーに座る
スカートの中が見えそうで見えない微妙な場所を陣取り
詩人の 詩集の 詩の 言

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【詩】かくれんぼ

【詩】かくれんぼ

言葉は僕を離れてしまえば
もう僕のものではない

それをどう解釈されようと
もう僕のものではない

それは受け止めた人の感性に委ねられ
その感性に
その人の中に僕が形作られる
本当の僕は無力に立ち尽くす

ああ
ああ
ああ、またしても
「本当の僕」
などという言葉を口にしてしまった

「本当の僕」
なんと陳腐な言葉だ
と反吐が出る

「僕は僕らしく」
「君は君らしく」
安い流行歌だ
ああ陳腐だ

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【詩】キリン

【詩】キリン

医学の進歩は目覚ましく
臓器を切ったりつないだり
誰かの臓器をもらったり

キリンの首をちょん切って
首の短いキリンとか

キリンの首を僕につないで
首の長い僕だとか

背の高い僕
うっとり見上げて
「届かないよ」とキスせがむ君

首のたてがみに
指をからめて
背伸びをしながらキスをする君

医学の進歩は目覚ましく
なんだか少し
首筋が痒い


【詩】ラーメンとおっぱい

【詩】ラーメンとおっぱい

夜遅くにやっているラーメン屋で
週刊誌を眺めては
うら若き女子の水着写真を眺めては
なんだかな~とため息をつく

どれもこれもおっぱいは若くパンパンと張りがあるが
所詮どのおっぱいも空っぽで
プチンと針を刺せば虚しい音をたてて風船のように空へ飛んでいく
そんなただただおっぱいと言うだけのおっぱいだ

例えばそれぞれにしゃぶりつけば
おっぱいは確かにおっぱいの味はするだろうが

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【詩】スイスアルプス

【詩】スイスアルプス

アルプスの風はミルク
頬に残る母の匂い

アルプスの土はビール
父の膝の上のいたずらな苦み

アルプスの空は虫取り網
雲を追いかけて膝すりむいた赤い血

アルプスの命は滴
子宮の中の卵子と精子

アルプスからアルプスへ
摂理は当たり前につらなり
不連続の連続に
今

連立方程式
DNA
円周率
コスモ

鏡の中の瞳
鏡の中の瞳の中の瞳
鏡の中の瞳の中の

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【詩】肉よ

【詩】肉よ

君が肉を食う
肉が君となり
肉が君の肉となり
その贅沢な尻となり
足となり
肩となる

君が肉を食う
肉が君となり
肉が君の肉となり
その奔放な胸となり
血となり
熱となる

ああ肉よ
君に食われし肉よ
吾は肉を愛撫し
甘噛みし
いつまでも飲み込まず
筆先のそれのような優しさで愛おしみ
見つからぬ場所に爪痕を刻むだろう

ああ肉よ
君に食われし肉よ
その咀嚼音よ
その唾液に絡まれる繊維よ
その閉じ

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【詩】花言葉

【詩】花言葉



私達は年頃になると
生殖器がぷっくりと膨らむの
やがて太陽のギラギラとした視線を浴びて
生殖器を開くの
開くの 開くの 開くの
ねえ、見てって大きく開くの
生殖器から漂う香りに虫さん達が集まるわ
虫さん達ったら私の生殖器に顔をうずめて・・・
ああ恥ずかしい
人間の男なんて私達の生殖器を束にして
愛する人に贈るの
女達は私の生殖器の香を嗅いで
「ありがとう」なんて涙浮か

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【詩】竹

【詩】竹

空を突き抜ける竹も
ただ
すくすくと伸びたわけではなく
竹なりに夏を超え冬に絶え
竹とて争い
竹として何故、自分は竹なのかと悩み
時に竹も竹として恋をし
恋に破れ
涙し
眉間に皺を寄せ
歯軋りし
頭をかきむしり

竹は竹ゆえの挫折感と戦い
挫折は節となる

挫折のエネルギーが節で
節と節との連続が竹なのだ

節のない竹など
挫折のない竹など
己の身の重さに

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