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【詩】図書館にて ~一端の詩人だ~

外は
雨が降っている

「詩歌」の棚には
詩人達の本が並ぶ
詩って何だよ
詩人って何なんだよ
なかば喧嘩腰で詩集を羽交い絞めにしては
つまらん
くだらん
それがどうした
と片っ端から難癖をつけて棚に戻す

きっぱりとした雨が降っている

素敵な女性がソファーに座っている
僕は退屈な詩集を小脇に抱えて向かいのソファーに座る
スカートの中が見えそうで見えない微妙な場所を陣取り
詩人の 詩集の 詩の 言葉の 文字の 行間の 紙の ブックカバーの 椅子の 背もたれの 机の
淀んだ図書館の空気の おばさんの化粧臭さの うろちょろして視界を遮る学生の この行為は変態だよなという自責の念 越しに
詩を読む
彼女のスカートの中を読む
スカートの中の詩を読む

雨はジワリジワリと水位を上げる

詩には
色があり 香りがあり
風が吹き 鳥たちが歌っている
それは愛の喜びであり 時に陰鬱な懺悔である
ささやきであり 叫びである
ページをめくりながら
彼女のスカートの中を読む
スカートの中の詩を読む

雨が降る
きっぱりと雨は降る
雨はジワリジワリとスカートの中を濡らす

温かな雨が降っている
その退屈な詩集を抱えて暖かな雨に僕も濡れる
雨に濡れながら僕は彼女の中を スカートの中を ストッキングの中を パンティーの中を 散歩する

詩人の 詩集の 詩の 言葉の 文字の 行間の 紙の ブックカバーの 椅子の 背もたれの 机の
淀んだ図書館の空気の おばさんの化粧臭さの うろちょろして視界を遮る学生の この行為は変態だよなという自責の念 越しに
スカートの中に
詩というものが少し分かった気がする

僕は変態ではない

一端の詩人だ


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