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【おしり】真夜中の図書館

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#読書好きな人と繋がりたい

愛し方を間違えたとか思わなくていい、その時その時の愛の形を、アップデートしていけばいいだけ。【家族最後の日(植本一子著)】前編

愛し方を間違えたとか思わなくていい、その時その時の愛の形を、アップデートしていけばいいだけ。【家族最後の日(植本一子著)】前編

「自分の気持ちにきちんと向き合ってもらって育って来た人って、
少ないよね」
友達にそう言われて、ハッとしました。
会社のために、国のために、皆のために、誰かのために、
自分の時間や命を捧げて、がむしゃらに懸命に生きることが美しいとされていた価値観でできていたこの世界で、
一体どれほどの子供たちが「自分の気持ち」に興味を持ってもらえただろう。
そして、どれほどの子供たちが、「親の気持ち」に興味を持て

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知らない人と、知らない場所で、知らないうちに、生きていく【高山なおみ「日々ごはん⑥」】

知らない人と、知らない場所で、知らないうちに、生きていく【高山なおみ「日々ごはん⑥」】

高山なおみさんの日々ごはんが好きです。
高山なおみさんは料理家なのですが、執筆活動も料理と同じくらいされていて、多方面で活躍なさっている方です。
日々ごはんは高山さんの日々の日記なのですが(今現在も続いています。)、その素朴さや飾らなさがたまらなく良いです…。
(大人気なので続編もあるほどめっちゃ長いんですが、もったいなくて一日分ずつ味わうように読んでいます)

今回日々ごはん⑥を読んでいて、あま

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私に相応しくなかったはずの黒に染まったり、そこに別の色が入ったり【森絵都「カラフル」】

私に相応しくなかったはずの黒に染まったり、そこに別の色が入ったり【森絵都「カラフル」】

※本文はネタバレを含みますのでお気をつけください

私は幼い頃、自分の心変わりが許せなかった。
今日感じた苦しみは明日もずっと続けたかった。
だって明日けろっと元気になってしまったら、昨日の悲しんでいた私がかわいそうじゃん。
ずっとずっと悲しいままでいてあげたかった、私がどれだけ苦しかったかを誰かに分かって欲しかったのかも知れない。
いや、誰にも分かってもらえないことが分かっていたから自分だけは寄

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汚くて、みじめで、見ていられなくて、クソみたい、それが生きるってことなんじゃないでしょうか。(前編)(「おまじない」(西加奈子著)を読んで)

汚くて、みじめで、見ていられなくて、クソみたい、それが生きるってことなんじゃないでしょうか。(前編)(「おまじない」(西加奈子著)を読んで)

世の中には正しいと悪いが存在するじゃないですか。
私今年28になる立派なアラサーなのですが、未だに何が正しくて何が悪いかが分かりません。
(危険なアラサー)
もちろん人を殺したり、動物を虐待したりとか、そういう事が悪い事だというのは分かります。
でも、みっともないとか、だらしないとか、卑怯とかずるいとかクズとか汚いとか痛いとか薄情だとか言われてる人って、本当に悪い人なのかとか、考えれば考えるほど、

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汚くて、みじめで、見ていられなくて、クソみたい、それが生きるってことなんじゃないでしょうか。(後編)(「おまじない」(西加奈子著)を読んで)

汚くて、みじめで、見ていられなくて、クソみたい、それが生きるってことなんじゃないでしょうか。(後編)(「おまじない」(西加奈子著)を読んで)

本文は下記コラムの後編です。
西加奈子さんの「おまじない」の中の短編ストーリーについて勝手にまとめて勝手に語っています。

【ドブロニク】
映画が大好きな主人公は、人付き合いが苦手で、学生時代まで、頭の中にいる空想の友達を心の拠り所にしていましたが、大学になってやっと友達が出来た時、彼らはいつの間にか姿を消してしまいます。
そして、大学卒業から44歳になるまで、ずっと同じ劇団の広報として脇目もふら

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