マガジンのカバー画像

感情のエッセイ

49
気持ちを込めて書いた文章
運営しているクリエイター

#優しさ

noteを始めてから、他人への視点に体温が生まれた。

noteを始めてから、他人への視点に体温が生まれた。

むかしの僕はほんとうにダメなやつだった。努力はできないし、そのくせ武器もない。自信のなさを隠すための、偽物の自信だけがあった。

なんにもできなくて、いろんなことに怯えていた。でも、あの頃の僕は優しかったと思う。心に波たつのは自分の弱さばかりで、人を見下すようなことはなかった。そもそも見下せるだけの土台が自分になかったんだ。

いまの僕はそれなりに色々できる。あいかわらず努力はできないけど、いくつ

もっとみる
嫌いなままでいさせてくれよ

嫌いなままでいさせてくれよ

介護士は別に優しくない。端から見ればその職についているだけでという感じだけど、当事者に言わせればむしろ冷たくないとできない仕事だと思う。僕のような施設勤務の人は、特に。

なにせ老人というのは弱っていく。
まるで花が枯れるような速度で、昨日のあの人が過去になっていく。
歩けていた人が歩けなくなり、覚えていたことを忘れ、我慢できていたことが我慢できなくなる。

それを目の当たりにしながら、他人事だと

もっとみる
種を誇ってなんになる

種を誇ってなんになる

思えば幼ないころから気が長かった。

とっくみ合いの喧嘩なんてしたことがないし、理不尽を投げつけられても黙って泣くだけだった。
お母さんに気持ちを受け止めてもらうことはあったけど、誰かにストレスを思いきりぶつけたことはない。

ただの臆病者ってだけなんだけど、昔からずっと「やさしい子」と言われ続けてきた。
気づけば短気な人を見下してしまっている。でも、そもそも僕は頑張ってこの気の長さを獲得したわけ

もっとみる
優しくなんて

優しくなんて

あなたってなんでそんなに気が短いの?
そんな風に、人が怒っている姿を見ることがある。

自分だってそうだ。
なんでその程度のことが許せないのとか、なんですぐ雰囲気悪くするのとか。
そんな風に、水面下でいろんな人を見下しながら生活している。

ストレスというのは肌で伝わる。
近くに苛々している人がいる時、自然と空気は流れを止め、ただ物体が動いているだけの空間となる。

この息苦しさを産み出したあなた

もっとみる
こたつから出るために

こたつから出るために

優しい人と言ってもらえることが多い。
昔からそのことに喜びを感じていたし、そこに縋っている自分もいる。

ただ、僕が純に優しい人間かとかんがえると、そうは思わない。
大抵が角の立たないよう振舞っているだけで、人のために何か動くことはほとんどないのだ。

負の感情のこもった視線を向けられることが怖くって、保険で優しくふるまっているだけ。だから、僕はべつに外国の子供が飢えていたってどうでもいい。もっと

もっとみる
不良と優良

不良と優良

アニメやドラマで、不良が更生するくだりがたまにある。それ自体がテーマとされていることもある。

僕はあの流れが、どうにも震える。うるっとくる。
このあいだ、Amazonプライムで火ノ丸相撲というアニメを見ていた時も、涙が出た。

相撲部を荒らしていた不良グループのリーダーが、主人公により無理やり相撲部に入れられることになるのだけど。練習や交流を経るうちに自分がなにを踏みにじっていたか自覚していく

もっとみる
介護職の何が辛いのか。

介護職の何が辛いのか。

20歳の頃から、もう8年ほど介護の仕事を続けている。気が長いということが武器になる世界。僕が向いている数少ない仕事だと自覚している。

辛くて仕方ない時期もあったけど、なんだかんだ楽しくやれていると思う。

この仕事をしていると、「大変な仕事をされていて偉い」そんな評価を受けることが多い。でも、定時にしっかり終わるし、週休2日は確保されてるし、人並みの生活ができる程度には給料もあたる。世間様が思う

もっとみる

優しいを貪る

キレる、という行動をとったことがない。

自慢ではなくて、キレるというのは技術だと思う。そこにデメリットが存在するだけであって。

ゲームとかでいう、呪われたスキルみたいな。乱用しすぎるとキレやすくなってしまったり、場を制せる有能感に浸ってしまったり。そういうマイナス値みたいなのを管理しながら上手く使っていく技術なのだろう。

そのスキルを僕がなぜ習得できないのかと考えると、これまた呪いがかかって

もっとみる