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介護職の何が辛いのか。

20歳の頃から、もう8年ほど介護の仕事を続けている。気が長いということが武器になる世界。僕が向いている数少ない仕事だと自覚している。

辛くて仕方ない時期もあったけど、なんだかんだ楽しくやれていると思う。

この仕事をしていると、「大変な仕事をされていて偉い」そんな評価を受けることが多い。でも、定時にしっかり終わるし、週休2日は確保されてるし、人並みの生活ができる程度には給料もあたる。世間様が思うほど、大変な仕事ではないと思う。

そう。仕事だからね。その緊張感が、優しさという商品の質を保っている。

うちの夜勤は一人でやるから気楽だ。そう言い切れるくらいには平和なことが多い。要所要所で大変な時間はあるけど、それ以外はのんびりとしている。人間、夜は寝るもんだから。起きているといえば、僕か虫くらいなもんだ。

・・・と、いけばいいのだけど、そうじゃない日もある。やっぱり、辛い時だってある。

一切寝ることなく、幻の自宅を探して歩きまわる人。クリスタルキングの大都会ばりの叫び声を上げ続ける 人。「今何時や」を、2分おきに繰り返す人。様々な人が施設で夜を過ごしている。

なにせ一人だ。これが重なってくると、加速的に精神は追い込まれていく。

おしっこが漏れてしまって、全部着替えなきゃいけない→着替えている間に転びやすい人が起きてくる→その人を寝かせてる間にナースコールが鳴る→鳴ったお部屋に行った後、戻ってきたら寝かせたはずの人が転んでる。

この、トドメの転んでる姿ってのが、かなり心にくる。万力で心を締め上げられていたところから、ナイフで刺されるような感覚だ。

その傷口から、噴射するように苛立ちが溢れてくる。

でも。いくら一人だからって、誰も見てないからって、僕たちはそれを露わにしてはいけない。

でも。やっぱり一人だから。誰も見てないから。汚い自分が顔を出してくる。

「黙って寝てろ」 

この言葉を飲み込むので精一杯。優しさなんてぼこぼこに殴られて横たわっている。

でも。でも。その倒れた優しさのうめき声が聞こえてくるんだ。それでいいのかって。相手は病気だぞって。

介護職の何が辛いか。それは、汚い自分と優しい自分に挟まれて、潰れそうになる心だ。

そもそもが、転んだからってなんなんだ。それは僕に何の被害があるんだ。なんで僕はそれに腹を立てているんだ。

転べばいいじゃん。別に。骨が折れても、そいつの人生だろ。

死んでもいいじゃん。別に。命が消えても、そいつの人生だろ。

・・・そういう風に、割り切れないのが辛いんだ。


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