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教育・保育

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学校現場や学童保育での経験やエピソードを踏まえつつ、私なりに感じ考えたことをまとめていきます。
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#教育

〝かえるくん〟人形から紡がれた実践に出会う〜臨床育児保育研究会レポート〜

〝かえるくん〟人形から紡がれた実践に出会う〜臨床育児保育研究会レポート〜

昨晩は、オンラインで開催された臨床育児保育研究会に参加させていただきました。

幼稚園に通うある女の子が、前年度に着ていたエプロンの布地を見に纏う〝かえるくん〟の人形をお家で作り幼稚園にもってきた(しばらくは引き出しにしまっており、そこに先生の素敵な感性が動いた)ところから展開する実践。やがて他の子どもたちも加わって温かな関わり合いの中で劇作り遊びが生まれ、一般的には「課題のある子」として捉えられ

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レッジョ・エミリア現地研修から2年…②~「研究者」としてのこども観と至適な応答性〜

レッジョ・エミリア現地研修から2年…②~「研究者」としてのこども観と至適な応答性〜

しばらく私自身の自己紹介についてのブログが続きましたが、今回から少しずつ2年前に訪れたレッジョ・エミリア現地研修の振り返りをまとめていきたいと思います。

第1回目の振り返りブログでは、導入として「生産性を中心にした台形型のライフサイクル」という発達観と「銀行型教育」という教育観について考えていきました。

今回のブログでは、これらとは対照的であるレッジョ・エミリアの発達観・教育観について、現地研

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レッジョ・エミリア現地研修から2年…③~レッジョ・エミリアで大切にされている「美」「アート」観考察~

レッジョ・エミリア現地研修から2年…③~レッジョ・エミリアで大切にされている「美」「アート」観考察~

前回の投稿から、かなり間が空いてしまいました…!大変申し訳ございません。

先日、オンラインでレッジョ・エミリア研修を通して学んだことを報告させていただきました。以前のレッジョ関連のブログ(https://note.com/pegasus19/n/n8cc498df83f3)の最後に「次回はプロジェクトとドキュメンテーションについて…」と書いていましたが、オンライン報告会の流れを受けて、先にレッジ

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今、学童保育職員の視点から「コロナ禍」を振り返る~何気ない日常の中でこどもたちが生み出した遊び・学び・育ち~

今、学童保育職員の視点から「コロナ禍」を振り返る~何気ない日常の中でこどもたちが生み出した遊び・学び・育ち~

今年の3月から約3ヶ月、新型コロナウィルスの影響を受けて休校措置がとられました。私が勤務している学童保育はこの期間中、朝から夜までの運営が行なわれたため、普段以上に日常の中で生まれるこどもたちの遊びや活動が見えてきて、その中に込められた思いや願いを感じる機会がたくさんあったように思います。休校措置解除から4ヶ月が経ち、今日では、感染拡大へのリスクマネジメントを行いつつも少しずつそれまでの日常が戻り

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ルールについて考える〜固定化・絶対化、独裁化を越えた〝動き〟として捉える視点についての一考察〜

ルールについて考える〜固定化・絶対化、独裁化を越えた〝動き〟として捉える視点についての一考察〜

ルールってなんだろう…。学校現場と放課後の現場の双方を経験している立場から、その難しさに直面することがあります。今回のブログでは、ルールが固定化・絶対化されている状況と、表面的にはルールがない状況との比較をした上で、私自身が持っているルール観を、こどもたちとの遊びの事例や、レッジョ・エミリアの「権利 diritti」という価値観を通してまとめていきたいと思います。今回もかなりの長文なので、もし読み

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こどもたちが生み出す遊びの”動き”と「ピアッツァ」

こどもたちが生み出す遊びの”動き”と「ピアッツァ」

しばらく間隔が空いてしまいました💦
遅くなってしまいましたが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

新年最初のブログは、遊びの混ざり合いと「ピアッツァ(広場)」について書いていきたいと思います。

遊びを取り巻く様々な囚われ「このおもちゃとこのおもちゃを混ぜて遊んだらいけないんだよ!」「折り紙は折るもの!絵を描いてはいけません!」「一度始めた遊びを抜けるのはダメ!抜けるなら、もう入らないで!

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フレネ教育研究会に参加させていただきました

今日はフレネ教育研究会に初めて参加させていただきました。今まで興味はあったものの、なかなか接点がなかったため、たくさんの学びを得ることができました。その中でも特に自由テクストが持つ2つの可能性について、私自身の学びや興味関心がある分野と結び付けながら考えました。

マリオ・ローディの実践〜「個からコミュニティへ」のきっかけとしての自由テクスト〜午前中は、フレネのアプローチから学びイタリアで実践され

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誰も知らない「ミッキーマウスマーチ」〜未知の前では皆平等〜

誰も知らない「ミッキーマウスマーチ」〜未知の前では皆平等〜

「無知の前では皆平等」というのが、最近の個人的なモットー。とはいえ日常の保育やワークショップで自分がリーダーシップをとる時は、結構緻密に展開を組み立てることが多いです。もちろん「結果」や「ゴール」、その過程の一挙手一投足を縛るような決め方はしませんが、予想や想定をするからこそ予想外や想定外に驚き感動することができると考えています。

そんな私ですが、先日ほぼノープランで未知に飛び込む面白さを保育の

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〝逆みかん〟と〝恐竜のしっぽ〟〜未知と既知との出会い〜

〝逆みかん〟と〝恐竜のしっぽ〟〜未知と既知との出会い〜

いよいよ2021年も今日で最後になりました。
これまで小学生たちとの関わりがメインだった私にとって、乳幼児たちとの関わりの場に移ったことは大きな出来事でした。

保育園で子どもたちと関わる中で学んだことは、「目の前に広がる世界を捉えるために持っている知識を躊躇いなく組み合わせて未知のものを生み出す姿勢」です。それは特に、子どもたちが未知のものと出会い、持ち合わせている知識を組み合わせて捉えようとす

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「自由」「子ども主体」を越えて〜社会構成主義と特異性理論〜

「自由」「子ども主体」を越えて〜社会構成主義と特異性理論〜

しばしば子どもたちとの関わりの場で「自由」や「子ども主体」という言葉が謳われることがあります。もちろん大切な概念ではありますが、個人的にはあまりピンと来ておらずモヤモヤすることも多いのが正直なところ。そこで今回のブログでは「自由」「子ども主体」を越えていくための一つの視点について考えていきたいと思います✏️

「自由」「子ども主体」の危うさこれまで小学校・学童保育・保育園などの様々な現場を経験する

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