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「黒影紳士」season7」

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「黒影紳士」シリーズ、最大の大連鎖が起こる予感。 season2再開当時から、現れた黒影紳士の時間軸の謎に迫る。 今季はゆっくり更新だが、長くなりそうですよ。
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#超大作

最終回season7-5幕 黒影紳士〜「色彩の氷塊」〜第七章 花手水

最終回season7-5幕 黒影紳士〜「色彩の氷塊」〜第七章 花手水

第七章 花手水(はなちょうず)

 届かなかった想い
 届いた想い
 どれも何時しか願いとなりて
 此の世界を安らかに見守っている

 清まれし願いは
 生きていく我々に
 魂の安寧を授けん
 ――――――――

「サダノブ行くぞ!」
 黒影は痛む背中から血を滲ませながら、朱雀剣を後ろ手に精一杯引く。
 三匹の龍が更に水中を出たと思われた時、華渦巻く朱雀剣が丁度全ての花弁を巻き込んだ。
 サダノブ

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最終回season7-5幕 黒影紳士〜「色彩の氷塊」〜第一章 流雪蔦

最終回season7-5幕 黒影紳士〜「色彩の氷塊」〜第一章 流雪蔦

第一章 流雪蔦

 流雪蔓

 雪柳が咲く
 桜を前に
 白き雪の名残を讃えた

 ――――――――
 染井吉野が咲く頃、小さな白い雪の花がぽつりぽつりと咲き始めた。
 温かな風に吹かれ、其れは軈てふんわりと嫋やかに揺れるのであります。
 真っ黒な猫が一匹…その白い雪柳の簾を掻き分け現る。
「あっ……「先生」じゃないか。……ほら…花弁だらけじゃないか。さては遊んでいたな?」
 微笑む青年が一人、其

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season7-4幕 黒影紳士〜「黒水晶の息吹」〜第三章 君を前に独り

season7-4幕 黒影紳士〜「黒水晶の息吹」〜第三章 君を前に独り

第三章 君を前に独り

「……分かりました。風柳さんが其処迄言うのなら」
 黒影は少し不服そうにだが、その時は納得した様だ。
 不服な理由は風柳にも分かる。
 幾ら予知夢で先に知っているとは言え、時を人が操るなんて容易な訳がないのだ。
 分かった所で実際に止められなかった殺人事件は何件もある。黒影が見るのはあくまでもヒントに過ぎない。
 其れを十分に使い熟せるか否かは、初動捜査の迅速さに掛かってい

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season7-3 黒影紳士 〜「手向菊の水光線」〜🎩第五章 見知らぬ花

season7-3 黒影紳士 〜「手向菊の水光線」〜🎩第五章 見知らぬ花

第五章 見知らぬ花

「……そんな、遥々こんなに遠い異国の地に来たんですよ?!」
 式田 暁春は従姉妹の揺波を何とか彼方此方から資金を用立て、スイスにいた。
 日本で揺波の容態をずっと匙も飛ばさず、対処療法で診てくれていた田沼 嘉樹(たぬま よしき)の紹介状も持っている。
 田沼 嘉樹の紹介状を見たスイスの医師、ハロイド•デュランテ・ガーベルは即座に揺波を最先端医療機器の精密検査へと回した。
 到

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season7-3幕 黒影紳士 〜「手向菊の水光線」〜🎩第四章 光の導くままに

season7-3幕 黒影紳士 〜「手向菊の水光線」〜🎩第四章 光の導くままに

第四章 光の導くままに

「大体ね、先輩が湖を恥ずかしがって囲むから、余計に何があったか分からないじゃないですか」
 と、サダノブが言った。
「……そうだ。だからやはり、僕が湖を囲む前に沈めたんだ」
 黒影は皆んなが黒影と白雪のデートを見てやろうとしていた事を思い出し、時間を絞って行く。
「だぁ〜かぁ〜らぁ〜!そうじゃ無くて、中で犯人が何をしていたかが見えなかったって話しです」
 と、サダノブが言

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season7-3幕 黒影紳士 〜「手向菊の水光線」〜🎩第三章 菊の在処

season7-3幕 黒影紳士 〜「手向菊の水光線」〜🎩第三章 菊の在処

第三章 菊の在処

「サダノブ……衛星画像からこの辺一帯を探してくれ。此れだけ色が豊富なんだ。かなりの数の菊を育てているに違いない」
 黒影はそう指示を出す。
「先輩」
「何だ、問題でも発生したか?」
 黒影はサダノブがさっさとタブレットPCで検索しないので、若干苛立ち言った。
「いえ……其れより、白雪さん……」
「えっ?白雪……何処行ったんだ!?」
 黒影はさっきまで隣にいたのに、突如姿を白雪が

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season7-3幕 黒影紳士 〜「手向菊の水光線」〜🎩第一章 崩壊した世界で

season7-3幕 黒影紳士 〜「手向菊の水光線」〜🎩第一章 崩壊した世界で

第一章 崩壊した世界で

 僕は其の世界の名を知っていた。
 だが、其の世界の事を現実には無い夢の様に思っていたのだ。
 其の世界の名を「正義崩壊域」と云う。
 僕は其の世界の表面を知っていたにも関わらず、内面を知ろうともしなかった。
 もし、もしもだよ?
 自分の世界に小さな世界が在って……そう、例えば日本の中に小さな日本が独立している様なものだ。
 然も其れが大地の様に浮かんでいて、自由に操作

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season7-2 黒影紳士 〜「東洋薔薇の血痕」〜🎩第五章 再生

season7-2 黒影紳士 〜「東洋薔薇の血痕」〜🎩第五章 再生

時藤 浩史宅付近で、やはり黒影の思っていた通り、蔦は動きを止めた。
「此処からは、夢探偵社だけで十分です。有難う、涼子さん、穂さん」
黒影は二人に言う。
「でも黒影の旦那だって、サダノブも」
涼子は二人の怪我を気にした。
「もう、肉体労働はする気はないのです。此処からはこっちだ」
と、黒影は己の頭を指差し微笑んだ。
「成る程、そう言う事なら私達じゃ太刀打ち出来ませんね。お二人共、其れに白雪さんもご

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season7-2 黒影紳士 〜「東洋薔薇の血痕」〜🎩第四章 蔦

season7-2 黒影紳士 〜「東洋薔薇の血痕」〜🎩第四章 蔦

「なっ!……何だ!?」
黒影は足を引っ張られる感覚に、驚いて声に出す。強い力で足が引き摺られ、地上に手を付いた。
何が起きたのかとサダノブを見ても異変は無い。
着いた掌に不気味な感覚があった。
ミミズの様に冷たい何かが一瞬通ったかと思うと、手の甲に其れは姿をやっと現す。
シュルッと黒影の指に絡まり、蔦は其の身体毎引き摺り、サダノブから離そうとするのだ。

まるで意思を持っているかの様に、黒影が成す

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season7-2 黒影紳士 〜「東洋薔薇の血痕」〜🎩第三章 落下

season7-2 黒影紳士 〜「東洋薔薇の血痕」〜🎩第三章 落下

 3 落下

「どうせ調べるのでしょうから、此方からお話しします。庭に面して、丁度椿の直ぐ隣にハンバーガーショップありますでしょう?」
 と、時藤 浩史は確認する。
「ええ、在りますね。あのハンバーガーショップの店の景観も落ち着いた色に抑えているのは、此方の建物に十分配慮されている様に窺えましたが……」
 黒影は良くあるご近所トラブルからの行き過ぎた犯行の線を消そうとしている。
「景観「は」問題な

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season7-2 黒影紳士 〜「東洋薔薇の血痕」〜🎩第ニ章 東洋薔薇

season7-2 黒影紳士 〜「東洋薔薇の血痕」〜🎩第ニ章 東洋薔薇

2 東洋薔薇

 濃緑、紅が点々と差します東洋薔薇の
 上に見えますは綻びた
 夏名残、忘れ置かれた簾
 そぞろ寒さに揺れまして
 窓の中に見えますは

 温もりでせうか
 冷徹か
 ――――――――――

「まぁ、綺麗な庭。……あの、SNSで写真を趣味で上げているのですが、良かったらお花を一枚撮らせて貰えませんか?」
 一人の大学生程の若い女が、モダンなコンクリートの一定間隔に開けてある四角い穴

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season7-2 黒影紳士 〜「東洋薔薇の血痕」〜🎩第一章 暖炉

season7-2 黒影紳士 〜「東洋薔薇の血痕」〜🎩第一章 暖炉

1 暖炉

 いないかも知れない
 この永遠に終わりが見える頃
 君と僕は

 だから先を見たく無くなって
 願う事しか出来なかった
 その時大量に降る
 容赦無い雨を想い
 立ち尽くしていた

 何時も不可能を可能にしたよ
 どんな事だって成し遂げてみせたさ
 ずっとそれで良いと思っていたのに
 僕は意思を持ち始めた……影、屍

 ――――――――――――
 プチプレリュード 「ゼロポイント」

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season7-1 黒影紳士 〜「白心願華」〜逃亡せし君🎩第五章 息吹の答

season7-1 黒影紳士 〜「白心願華」〜逃亡せし君🎩第五章 息吹の答

9 息吹の答え

 ……渇望する……「生きたい」と言う願い。
 ひしひしと伝わる、それが困難な嘆き。
 僕等はそんな事で、戦ってしまうんだ。
 始めはさ……願いだった事も忘れて。

 平等であり、平和である。
 簡単な言葉に聞こえるかも知れない。
 其れはこんな犯人の様な男からしたら、何よりも藁をも掴む程、欲しいのさ。
 ……結局……人間ってのは……失った物を欲しがる。

犯人「……黒影――っ!!

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