むぎ光葉
思うままにつらつら書いたエッセイです。
漢字一字から溢れるイメージで書いたエッセイです。
もわっとした空気に うとうとうと 慌てて非常階段へ 都会の空は 狭いはずだった けれど今日は ビルとビルの間に 空(そら)のビルがある 狭い空間を突っ切って どんなビル…
雨降り 駐車場 わたしのもうひとつの部屋 雨から守ってくれる ガラスの向こうの景色がゆがむ 昨日の人の顔を思い出す わたしたちと喋ってたけど ほとんどもうひとりの方見…
窓ガラスの向こう 机ならべて椅子に座って 浮かぶわたしたち 鏡みたいな ふたつの教室 ぼーっとしていると 皆がどこかに 引いている蛍光ペン 慌てて隣を盗み見て 本当の教…
イントロのギターリフ 聞こえてきたよ 揺れる波は 鼓動と共鳴する ライブの音源 思い出したい記憶は はじめから無くて はじめからある 何もない記憶 前にも後ろにも どこ…
窓の外には 海が広がる 光が水面を キラキラに化粧する 窓の中には 部屋が広がる 仕方なく使ってる 小さめの古い棚に 埃が今も積もってる 窓の額の中は外 窓の額の外は中…
朝の光 雑貨屋さんで 見つけた指輪 わたしの指で きらきらひかる 冬の間の 低い日差しを 集めるように わたしに届く 光の届く場所に いれば傷んでくるけれど お気に入り…
晴れた空に 油断していた 振り向くと 向こう側で雷雨 雲はもうそこにあり 子どもたちは 公園からいなくなった わたしは近くの カフェで雨宿り ティーラテひとつに ガレッ…
ファミレスの 窓の隙間から のぞくひつじ雲が 美しかった すぐに忘れてしまいそうな パーツを綴り 生活の手触りを 確かめている 心地よいものを 長く共にしたい みんな…
駐輪場のハンガーが おめかしする日 髪についた水滴 振り払いながら いつもの場所へ 急ぎ足は 水たまりの水しぶき ステップ軽やかに 水滴が乾いた頃には くるくると 踊…
誰もいない砂浜に ござを敷く 今日買った ジェノベーゼパン 昨日買った りんごジュース 海を見ながら 朝ごはん 貝殻 飛行機 灯台 太陽 ほんとうに 素敵なものは 教えら…
太陽はひとつ 今日も顔を出す じわーっ 「どこで見ても同じだよ」 そうかもしれないけれど その地で 顔を見た瞬間に 感じたものは いつも初めてで 思いがけない 気持ち …
形のちがう石を 渡って歩く 向こう岸までは もうすぐか 鯉にえさを あげる人 楽しそうにしてる ひとつずつ ひとつずつ 途切れながらも 次がある よく出来た橋よりも 趣…
貨物列車を 追い越していく ピンク色の 空があたりを 包むころ 今が記憶を 追い越していく 電車の窓から 馴染んだ文字 見えるころ あの子が働くビルを 追い越していく 灯…
視線の先 助けを求める 彼女はもう いつかの時代の人 生きることは 苦しさとともに 名前もない 時代背景を 語る多くの中の ひとり いつかどこかのまちで 照らされ誰かの…
書店の隅で 読んでた雑誌は もう消えた 在ったもの 辿ると わたしだけの時間 パッケージされてるような いつのまにか 変わっていた 世の中に 気付かなかったのは わたし…
あの日先生に 言えなかった言葉 あの日友達に 言えなかった言葉 あの日教室で 言えなかった言葉 今日をもって 笑顔に変わる あの日の言葉 わ になって話すと色がつき い…
2024年7月31日 23:24
もわっとした空気にうとうとうと慌てて非常階段へ都会の空は狭いはずだったけれど今日はビルとビルの間に空(そら)のビルがある狭い空間を突っ切ってどんなビルより高いこうして都会のなかで大きな自然をくりぬいた
2024年6月28日 21:00
雨降り駐車場わたしのもうひとつの部屋雨から守ってくれるガラスの向こうの景色がゆがむ昨日の人の顔を思い出すわたしたちと喋ってたけどほとんどもうひとりの方見てた合わない目線を追いかけて合わない空気に笑みを浮かべて合わない温度設定がわたしの頭ボーッとさせてく今日はエアコン入れなくてもちょうどいい温度まだまだ居場所を探せるね雨よどんどん降ってくれ薄い車体に打ち付け
2024年5月31日 23:55
窓ガラスの向こう机ならべて椅子に座って浮かぶわたしたち鏡みたいなふたつの教室ぼーっとしていると皆がどこかに引いている蛍光ペン慌てて隣を盗み見て本当の教室に世界は戻る先生の言葉ひとつから想像の蜘蛛の巣はどこまでも広がったどこにも行けなくても教室で旅をし続けた豊かな時間は小さな机にいつもこうしてはりついている
2024年4月30日 23:36
イントロのギターリフ聞こえてきたよ揺れる波は鼓動と共鳴するライブの音源思い出したい記憶ははじめから無くてはじめからある何もない記憶前にも後ろにもどこにも行かずここにいることを揺らぎの中で寂しく知る気持ちだけがゆらりゆらりいまの位置を高めていつしか大人になっていった寂しいと思う記憶があってよかったそんな風に思う日を待ちながら歩いている音の波
2024年3月31日 23:09
窓の外には海が広がる光が水面をキラキラに化粧する窓の中には部屋が広がる仕方なく使ってる小さめの古い棚に埃が今も積もってる窓の額の中は外窓の額の外は中遠くの美しさに気がついているのなら遠くの美しさも眺めているようだこちらの絵を誰かの憧れがあって夢があって時間だけが紡ぐ物語があって泣き笑いのなかのキラキラに化粧した窓辺に今も佇んでいる
2024年2月29日 19:46
朝の光雑貨屋さんで見つけた指輪わたしの指できらきらひかる冬の間の低い日差しを集めるようにわたしに届く光の届く場所にいれば傷んでくるけれどお気に入りを身につけていたい日の当たる場所傷ついても探しているきらきらとても美しい色にはあらわせない心のなかの色がまた揺れて
2024年1月23日 00:01
晴れた空に油断していた振り向くと向こう側で雷雨雲はもうそこにあり子どもたちは公園からいなくなったわたしは近くのカフェで雨宿りティーラテひとつにガレットひとつ窓辺のソファ席深く腰かけ外を見ながら大人の贅沢味わってる今こうして雨を避ける屋根を買った甘いものを口にする権利を買ったリラックスした時間を過ごすソファを買った避けるものたくさん買えるのも
2023年12月9日 23:51
ファミレスの窓の隙間からのぞくひつじ雲が美しかったすぐに忘れてしまいそうなパーツを綴り生活の手触りを確かめている心地よいものを長く共にしたいみんなが違うもの好んでいるからいろんな素材に溢れているいつも変わる美しい組み合わせ揺れ動きを楽しむ心がぽわんと浮いてる空
2023年11月13日 21:46
駐輪場のハンガーがおめかしする日髪についた水滴振り払いながらいつもの場所へ急ぎ足は水たまりの水しぶきステップ軽やかに水滴が乾いた頃にはくるくると踊っている毛先部屋の外静かに騒がしく音楽は続いているおめかししてステップ踊っている音楽と今度はいつだろうどうせまた踊るのだからおめかししなくちゃとハンガーと約束する
2023年11月6日 01:23
誰もいない砂浜にござを敷く今日買ったジェノベーゼパン昨日買ったりんごジュース海を見ながら朝ごはん貝殻飛行機灯台太陽ほんとうに素敵なものは教えられない素敵なままでわたしのこころをまもるのだ
2023年10月29日 01:34
太陽はひとつ今日も顔を出すじわーっ「どこで見ても同じだよ」そうかもしれないけれどその地で顔を見た瞬間に感じたものはいつも初めてで思いがけない気持ち胸の中にひろがる宇宙にいまきらりと想いを巡らせる壮大で繊細なひとりであること思い出し日の出としばらく佇むころ
2023年10月22日 07:38
形のちがう石を渡って歩く向こう岸まではもうすぐか鯉にえさをあげる人楽しそうにしてるひとつずつひとつずつ途切れながらも次があるよく出来た橋よりも趣のある形を渡りたい楽しそうだからと選べるうちは選んでる向こう岸に辿り着くまでは不安定の美しい調べにのせて軽やかに
2023年10月14日 14:38
貨物列車を追い越していくピンク色の空があたりを包むころ今が記憶を追い越していく電車の窓から馴染んだ文字見えるころあの子が働くビルを追い越していく灯りがついてること確認したころ貨物列車が追い越していく空の光が奪われたころ生活は進む誰かがどこかで今日もまたやさしい色を分け合いながら
2023年10月6日 22:38
視線の先助けを求める彼女はもういつかの時代の人生きることは苦しさとともに名前もない時代背景を語る多くの中のひとりいつかどこかのまちで照らされ誰かの目にとまったとき彼女はまた生きているいつかどこかのわたしもまた何かの名前をもって存在すること理解する多くの画家はもういない絵のなかで出会う市井の人と目を合わせいつまでも過去と対話していよう
2023年9月29日 16:45
書店の隅で読んでた雑誌はもう消えた在ったもの辿るとわたしだけの時間パッケージされてるようないつのまにか変わっていた世の中に気付かなかったのはわたしがいつのまにか変わっていたから幻と消えた時間に重ねながら別人みたいな私を迎える同じ書店分かってくれると信じてる変わっていくと知ったことで大人になっていったこと
2023年9月22日 13:44
あの日先生に言えなかった言葉あの日友達に言えなかった言葉あの日教室で言えなかった言葉今日をもって笑顔に変わるあの日の言葉わ になって話すと色がつきいつのまにか覚えのない約束を果たす大人たち話したいような気がして話したくないような気がしてつっかえてしまった記憶はつっかえたまま大切に言葉を少しずつ貼り合わせて不格好ながら温かい今をふんわりとただ噛みし