むぎ光葉

20代。エッセイや詩を書いています。 好奇心旺盛な、のんびりした人間です。

むぎ光葉

20代。エッセイや詩を書いています。 好奇心旺盛な、のんびりした人間です。

マガジン

  • 自由なエッセイ

    思うままにつらつら書いたエッセイです。

  • 漢字エッセイ

    漢字一字から溢れるイメージで書いたエッセイです。

最近の記事

詩 ガラスの向こうの

雨降り 駐車場 わたしのもうひとつの部屋 雨から守ってくれる ガラスの向こうの景色がゆがむ 昨日の人の顔を思い出す わたしたちと喋ってたけど ほとんどもうひとりの方見てた 合わない目線を追いかけて 合わない空気に笑みを浮かべて 合わない温度設定が わたしの頭ボーッとさせてく 今日はエアコン 入れなくても ちょうどいい温度 まだまだ居場所を探せるね 雨よ どんどん降ってくれ 薄い車体に打ち付ける 音が今日は心地良いから 昨日より

    • 詩 浮かぶ教室

      窓ガラスの向こう 机ならべて椅子に座って 浮かぶわたしたち 鏡みたいな ふたつの教室 ぼーっとしていると 皆がどこかに 引いている蛍光ペン 慌てて隣を盗み見て 本当の教室に 世界は戻る 先生の言葉ひとつから 想像の蜘蛛の巣は どこまでも広がった どこにも行けなくても 教室で旅をし続けた 豊かな時間は 小さな机に いつもこうして はりついている

      • 詩 イントロ

        イントロのギターリフ 聞こえてきたよ 揺れる波は 鼓動と共鳴する ライブの音源 思い出したい記憶は はじめから無くて はじめからある 何もない記憶 前にも後ろにも どこにも行かず ここにいることを 揺らぎの中で 寂しく知る 気持ちだけが ゆらりゆらり いまの位置を高めて いつしか大人に なっていった 寂しいと思う 記憶があってよかった そんな風に 思う日を 待ちながら 歩いている 音の波を頼りにして

        • 詩 窓

          窓の外には 海が広がる 光が水面を キラキラに化粧する 窓の中には 部屋が広がる 仕方なく使ってる 小さめの古い棚に 埃が今も積もってる 窓の額の中は外 窓の額の外は中 遠くの美しさに 気がついているのなら 遠くの美しさも 眺めているようだ こちらの絵を 誰かの憧れがあって 夢があって 時間だけが紡ぐ 物語があって 泣き笑いのなかの キラキラに化粧した 窓辺に今も 佇んでいる

        詩 ガラスの向こうの

        マガジン

        • 105本
        • 自由なエッセイ
          4本
        • 漢字エッセイ
          0本

        記事

          詩 揺らめき

          朝の光 雑貨屋さんで 見つけた指輪 わたしの指で きらきらひかる 冬の間の 低い日差しを 集めるように わたしに届く 光の届く場所に いれば傷んでくるけれど お気に入りを 身につけていたい 日の当たる場所 傷ついても 探している きらきら とても 美しい 色には あらわせない 心のなかの色が また揺れて

          詩 揺らめき

          詩 雨雲と傘

          晴れた空に 油断していた 振り向くと 向こう側で雷雨 雲はもうそこにあり 子どもたちは 公園からいなくなった わたしは近くの カフェで雨宿り ティーラテひとつに ガレットひとつ 窓辺のソファ席 深く腰かけ 外を見ながら 大人の贅沢 味わってる 今こうして 雨を避ける 屋根を買った 甘いものを口にする 権利を買った リラックスした時間を過ごす ソファを買った 避けるもの たくさん買えるのも いいことだ どこにいても 降る雨のための 傘を持ち続けるために はたらいてい

          詩 雨雲と傘

          詩 ひつじ雲

          ファミレスの 窓の隙間から のぞくひつじ雲が 美しかった すぐに忘れてしまいそうな パーツを綴り 生活の手触りを 確かめている 心地よいものを 長く共にしたい みんなが違うもの 好んでいるから いろんな素材に 溢れている いつも変わる 美しい組み合わせ 揺れ動きを楽しむ 心がぽわんと 浮いてる空

          詩 ひつじ雲

          詩 おめかし

          駐輪場のハンガーが おめかしする日 髪についた水滴 振り払いながら いつもの場所へ 急ぎ足は 水たまりの水しぶき ステップ軽やかに 水滴が乾いた頃には くるくると 踊っている毛先 部屋の外 静かに騒がしく 音楽は続いている おめかしして ステップ 踊っている 音楽と 今度はいつだろう どうせまた 踊るのだから おめかししなくちゃと ハンガーと約束する

          詩 おめかし

          詩 朝の海

          誰もいない砂浜に ござを敷く 今日買った ジェノベーゼパン 昨日買った りんごジュース 海を見ながら 朝ごはん 貝殻 飛行機 灯台 太陽 ほんとうに 素敵なものは 教えられない 素敵なままで わたしのこころを まもるのだ

          詩 朝の海

          詩 日の出と

          太陽はひとつ 今日も顔を出す じわーっ 「どこで見ても同じだよ」 そうかもしれないけれど その地で 顔を見た瞬間に 感じたものは いつも初めてで 思いがけない 気持ち 胸の中にひろがる 宇宙にいま きらりと想いを巡らせる 壮大で繊細な ひとりであること 思い出し 日の出としばらく佇むころ

          詩 日の出と

          詩 庭園

          形のちがう石を 渡って歩く 向こう岸までは もうすぐか 鯉にえさを あげる人 楽しそうにしてる ひとつずつ ひとつずつ 途切れながらも 次がある よく出来た橋よりも 趣のある形を 渡りたい 楽しそうだからと 選べるうちは 選んでる 向こう岸に 辿り着くまでは 不安定の美しい 調べにのせて 軽やかに

          詩 追い越していく

          貨物列車を 追い越していく ピンク色の 空があたりを 包むころ 今が記憶を 追い越していく 電車の窓から 馴染んだ文字 見えるころ あの子が働くビルを 追い越していく 灯りがついてること 確認したころ 貨物列車が 追い越していく 空の光が 奪われたころ 生活は進む 誰かがどこかで 今日もまた やさしい色を 分け合いながら

          詩 追い越していく

          詩 対話

          視線の先 助けを求める 彼女はもう いつかの時代の人 生きることは 苦しさとともに 名前もない 時代背景を 語る多くの中の ひとり いつかどこかのまちで 照らされ誰かの目に とまったとき 彼女はまた 生きている いつかどこかの わたしもまた 何かの名前をもって 存在すること 理解する 多くの画家は もういない 絵のなかで出会う 市井の人と 目を合わせ いつまでも過去と 対話していよう ざらざらとした この空の下

          詩 幻と

          書店の隅で 読んでた雑誌は もう消えた 在ったもの 辿ると わたしだけの時間 パッケージされてるような いつのまにか 変わっていた 世の中に 気付かなかったのは わたしが いつのまにか 変わっていたから 幻と消えた時間に 重ねながら 別人みたいな 私を迎える 同じ書店 分かってくれると 信じてる 変わっていくと 知ったことで 大人になっていったこと

          詩 言えなかったら

          あの日先生に 言えなかった言葉 あの日友達に 言えなかった言葉 あの日教室で 言えなかった言葉 今日をもって 笑顔に変わる あの日の言葉 わ になって話すと色がつき いつのまにか 覚えのない約束を果たす 大人たち 話したいような気がして 話したくないような気がして つっかえてしまった記憶は つっかえたまま大切に 言葉を少しずつ 貼り合わせて 不格好ながら 温かい今を ふんわりとただ 噛みしめている

          詩 言えなかったら

          詩 きらきら

          思い出せるよ 地下に向かって行く電車 斜陽が照らす 秋の色 揺れる制服のスカート シワを気にしながら イヤホンから流れる あの曲が包んでいた 一瞬を いつまでも 忘れずにいる 私の学生時代 あの日の朝に 宝物みたいに 閉じ込められている きらきらは 永遠に きらきらしてる 瞳の中の 一色となり

          詩 きらきら