詩 『星ひとつ』

”ちぎれた楽譜は燃えて空へ。
姿のおかしい炎は迷わず森に入っていく。
私にはそれが踊りに見えてしまった。”

まだ青白い朝の時間。
肌にグサっと刺さる冬の冷たさが
私がひとりだという事をしらせてくれる。

連なる街頭はきっと彼を見てきた。
夢の占い師は街を出ていく。
離れていく。無くなっていく。
川沿いの都会が自然に美しく壊れていく。

少しだけズレていようと、
少しだけ抜けていようと、
魚が溺れていようと、
見知らぬ誰かが
それに吸い込まれていようと。

そんな物語も、それは物語で、
走った万年筆においていかれる。
ただの物語も、多々の物語で、
歩いた散歩道で冬が浮かれる。

また青白い朝の時間。
二度と太陽は昇らないような。
またどこかで見えるような。
まだ分からないような。
そんな国はおとぎ話だったような。
忘れそうな。

もう思い出せないような。

思い出したくないような。

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