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『きおいもん』 あらすじ
文政の江戸。
版元、永寿堂の店主・西村屋与八は、旅に出て一向に帰らぬ人気絵師・北斎に代わり、北斎の娘のお栄に筆を取らせ、北斎の新作と偽り店に並べていた。しかし、父親譲りで気まぐれなお栄は扱いづらく、西村屋は、番頭が止めるのも聞かず、“きおいもん”の絵師・芳三郎に北斎の偽モノを描かせる。
“きおいもん”とは気負った者、血気盛んで向こうっ気が強い者のこと。芳三郎は喧嘩っ早いが、筆はさらに早く、北
『きおいもん』 第二話
○同・店前
重右衛門を見送る西村屋と九兵衛。
重右衛門「……では明後日に」
西村屋「誠に、ご足労をおかけいたします」
西村屋たち、うやうやしく頭を下げる。
重右衛門「いえ。こちらこそありがとうございます。頑張ってみます」
ふり返り、去っていく重右衛門。
○同・店内
西村屋と九兵衛、店の中に戻りつつ、
九兵衛「本当に描くって言ったんですか?」
重右衛門「ああ。無理だ無理だとうるさかっ