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総曲輪通りでつかまえて(1) 絲山秋子『まっとうな人生』と、追憶のなかの富山
芥川賞作家、絲山秋子さんの『まっとうな人生』(河出書房新社,2022)を読んだ。
コロナ禍の富山県での暮らしを、結婚を機に移住した「花ちゃん」(『逃亡くそたわけ』の主人公でもある)の視点から描いた一冊。
「たびのひと」として北陸の地で暮らす中で去来するさざ波立つ微細な感情と情景の描写に、私自身の同県で暮らした2年間が重なった。
作品の時系列は、コロナ禍に入る直前の2019年4月から20
リトルプレス、詩歌、いそがない(文芸アドベントカレンダー4日目)
久しぶりのまとまった記事の更新です。2020年、いろいろありましたが、読書によって「いま、ここ」ではないどこかを想う時間は私にとってある種の救いでした。その中で、今まで触れてこなかった表現の世界にも視野を広げられたことが、個人的には大きな収穫だったと思っています。特に印象的だった書籍を、三冊選びました。
今回は「文芸アドベントカレンダー」の四日目の担当として記事を公開します。ランドル・マリオ