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教え過ぎない教え方

こんにちは、ラン丸です。

拙著『自分の頭で考えて動く部下の育て方』が多くの人に読まれるようになり、「指示待ち人間」の発生は指導する側の対応に問題がある、
ということが広く認知されるようになったそうです。

今回は、教えなさ過ぎでも教え過ぎでもない、「教えない教え方」について解説していきます。

「教え過ぎ」が「指示待ち人間」を作る原因

私の親世代は、「教えない」のが標準的な接し方のようでした。

結果を否定し、「どうしたらいいですか?」と尋ねても、
「人に聞いて楽をしようとするな、自分で考えろ」と放置プレイが多いです。

何度やり直しても「だめだ! やり直し!」とだけ言われる。

ただ、一から十まで教えすぎると「指示待ち人間」になってしまいます。

教えたその時はできるのに、翌日には忘れていることも。

再度、詳しく教えるとできますが、翌朝には忘れている。

例え、記憶力・理解力が優れていても「指示待ち人間」になってしまいます。

その知識が根付かないのではお互いに無駄が生じてしまします。

指示待ち人間から脱却するために「教えない教え方」を実践してみましょう。


ひと手間が愛着と意欲を生む

「教えない教え方」は、何のヒントも与えず、結果をダメ出しするだけの「教えなさ過ぎ」とは明確に異なります。

考える材料を十分に提供するからです。

この違いを理解するには、「ホットケーキ」の例が分かりやすいです。

水と混ぜるだけでホットケーキを焼ける、画期的なホットケーキミックスが開発されたもののいまひとつ売上が伸びなかったそうです。

そこで、ミックスから卵と牛乳の成分を取り除き、
自分で卵と牛乳を混ぜる一手間が必要な商品を売り出したところ、爆発的に人気を博したといわれています。

便利な方より面倒な方が売れたのはなぜなのか?
気になりませんか。

キーワードは「自己効力感」にあります。

自己効力感、またはセルフ・エフィカシー(self-efficacy)とは、
自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できると、自分の可能性を認知していること。

人は自己効力感を通して、自分の考えや、感情、行為をコントロールしています。

前者は、水と混ぜるだけなので、お母さんが「子どものために焼いてあげた」、という自己効力感が得られにくいです。

一方、卵と牛乳を加えてかき混ぜるという一手間を加えると、子どものために焼いて上げられた、という自己効力感が得られやすいです。

誰かのためにやってあげられた、という自己効力感が、「水と混ぜるだけ」では得られにくかったのです。

「卵と牛乳を混ぜるホットケーキミックス」は、自己効力感が得られる絶妙なバランスを保っています。

もし、小麦のタネとニワトリと乳牛を渡されて、「これでホットケーキを作れ」と言われたところで、作ろうとは中々なりませんよね。

これが「教えなさ過ぎ」と同じの状態です。

皆目見当がつかない、途方にくれる状況に置かれて、どうしたら意欲を維持できるでしょうか。

途中でくじける可能性がはるかに高いと思います。

教え過ぎ問題

水に混ぜるだけのホットケーキミックスは「教え過ぎ」に該当します。

卵と牛乳を混ぜる必要のあるホットケーキミックスであれば、卵がつなぎとなり、牛乳が風味を添えるということも、混ぜる作業の中で感じ取れます。

粉がダマにならないように混ぜる中で、「この粉の材料は何だろう?」と考える時間も得られます。

焼きあがったホットケーキは、自分で作ったという自己効力感が得られます。

一手間かけて作った料理が、おいしいと感じるのもこの自己効力感が含まれるからではないでしょうか。

「自分で考える」材料の与え方

まだハイハイしかできない赤ん坊に「走れ!」といったところでできるはずがありません。

それは、達成するのに必要な能力や環境が整っていないためです。

指導する際、大切なのは、その指導する人の現状を見極め、
次のステップにこれを選べば、おそらくできるだろうという目利きをすることです。

ハイハイからつかまり立ち、手放しで立って、一歩を歩き出す。
歩く練習をして、その次にようやく「走る」があります。

基本や手順を飛び越すことはできません。

指導者は、現在の能力水準を見極め考える材料を十分に与えた上で、
最後の「一押し」を自分で考えてもらうことが大切です。

それだけの材料をそろえれば、自分で答えを導き出すことができると判断できる状態まで持っていく。

自分の口でそれを提案してくるのをひたすら待ちましょう。

本人が混乱しているようなら、考える材料をさらに追加し、本人の答えを待ちます。

発した言葉が、たとえ期待するものでなくても落胆せず、受け入れましょう。

「なるほど、そういう考え方もできるよね。面白いね。その場合だと、
こういう問題が考えられるね。だとしたら、他にどういうことが考えられるだろうか?」と導けるといいですね。

本人が勇気を出して発言したことを評価し、ヒントを追加して、さらに思考を促します。

意見を言ったことに否定的な反応がなければ、相手は意見を述べることを恐れなくなります。

その発言を指導者が面白がれば、むしろ自分の頭で考えることが楽しいことだと認識していきます。

大切なことは、自分で考えることの楽しさを相手にも感じてもらうこと。

そのためには、考える材料を与えつつ、
本人の力で道筋をつけられそうな部分を残しておくことです。

考える材料は与えても、それをどう料理し、
自分の意見へと昇華させるかは、本人にやってもらいましょう。

それをやり通したとき、自己効力感が得られ、自分で考えることが楽しくなります。

指導のコツは、自分だけでは発見できない材料はをこちらで提供しつつ、
道筋をつけられることは、相手に任してみる。

たとえ答えが違っていても、自ら解決しようとした勇気をたたえて、
不足の材料をさらに追加して、再度、考えてもらいましょう。


指導で大切なこと

「教えない教え方」は「教えない」のでは決してないことに注意してほしいです。

「教えない教え方」のコツは、本人の力で達成可能な条件をそろえた上で、最後の一手を本人の手で実践してもらうことです。(小さな成功体験)

「教えなさ過ぎ」でも「教え過ぎ」でもない、「教えない教え方」を多くの人が習得すれば能力をひとつずつ、着実に伸ばしていける人が増えるでしょう。

ぜひ、バランスの取れた指導を、指導者の方は心がけていただけたらと思います。

今回は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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