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短歌俳句詰め合わせ

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現代短歌・俳句・川柳をまとめました
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記事一覧

息吹の風琴│短歌13首

息吹の風琴│短歌13首

木漏れ日の五月緑の坂道を
少年の自転車風となる

花終わり
みどりの種、藤見上げれば
残り香の風と五月晴れ

クローバーの柔らかで
長く伸びたそよぐ手に包まれ寝転んで

少女らは 
シロツメクサの花束片手に
蝶々になって駆け回る

五月の楓
木洩れ日きらきら
小さき青葉の星空まぶしい

風にとかした長い髪
耳まで切って
きみを待った日の潮騒聞く

青嵐
花水木をさらりとさらって
新緑を揺らしこいの

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水の音│短歌・俳句

水の音│短歌・俳句

【短歌三首・俳句八句】

テクノのリズムが雨の春夜に響きしワイパーとウィンカー道標点滅

たゆたゆと川の流れにわれも乗り
たどり着きたいきみのほほ笑み

春の闇
霧霞あい色のまま傘ささずぼんやり立つ灯り

気がつけばフキの傘葉と春の雨

縁側を綺麗に拭いて緑の風

根っからタンポポ綿毛の風来坊

チャポチャポと水の音あるく吾も水

温雨にめだか波紋の輪の中に

隅々まで陽に青葉夢明けゆく

桜散り

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青葉│短歌・俳句

青葉│短歌・俳句

【短歌六首・俳句四句】

楓(ふう)の実達に雨染みて
存在際立ちマックロクロスケ

低山に登りし
幼心を納め山頂にて新しく生まれたい

お茶しましょうと春草萌にスズメ達、タンポポ達のはしゃぐ声

森で出逢いし乳白香
ロシアンオリーブの花はきみのかほり

イチョウの梢
艶若葉の手を繋ぎ小さな恋の物語

望むのは多種多様
誰もが開ける扉を持つ世界で生きたい

散ってなお蜘蛛糸に架かる虹桜

陽水に輝き

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ラの唄│俳句・川柳

ラの唄│俳句・川柳

足音無く雨音響く野道ゆく

雨が這う泥土の田から底力

波打ち際泡となれば夏雲へ

ユキヤナギ雨粒抱いて散る姿

どんぐりの帽子に溜まった水はどこ

あめあがり雨粒写す丸眼鏡

草露映る空と清きあの人

クモの巣が雨粒編んで宝石か

大樹こぼれる雫は点眼福

雨木肌濃く美しき年輪の

朝顔の閉じた花びらインク染み

濡れ落ち葉腐りてかえる肥えた土

手洗いニット産毛の香に深呼吸

白い頬染まる血潮

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ほほ笑み│短歌

ほほ笑み│短歌

【現代短歌十首】

滑り台
風の魔法に魅せられた
あの頃のようなきみの笑顔

幼子
帰るよ滑るのさいご
階段登る瞳母映さず

赤い車 
夕暮れに帰るウィンカー
運ばれし大切な母子

アスファルト
白く光らせ常夏の
君が春に見る夢はうつつ

氷に炭酸サクラ波
シュワシュワはじけて
君の頬

トランシーバー
途切れ途切れの声でも
耳をすましてくれる君に届け

垂れさくら 
菜の花の頬に触れ
黄色の微笑

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夜明三月【短歌】

夜明三月【短歌】

【現代短歌九首】

大切な思いは歌に閉じ込めて
壊れぬよう流されぬよう

切なさのカミナリが落ちて
避けるすべなく
青く光った春の雨

朧気に昼間の上気に霧がかり
熱ざえゆれる弥生月

猫柳
淡雪桜の夕空に
白くか細く歩く人よ

白い三日月
夕日は沈む見上げて今
われ浮舟にのりたし

愛が実る
歳月の風は優しい手
真っ赤な頬にふれるよな

舞うように見上げた星月
明日になれば地に降りて
生きていけ

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みずいろの小宇宙

みずいろの小宇宙

【現代俳句、川柳15句】

小宇宙あなたの傘の中の春

風の声小雨降る春もや散らし

しくじりは春草苦しゴマをする

新学期もう駄目だホンマに嫌やし

片隅の半陰に咲き春寒し

保健室先生だけに会いに来た

間引くなら正面切って風切って舞う

おたんこナスカボチャも美味しく炊かな

川の橋誰かを追って叫んで氷雨

線香の細い煙に刺さる雨

曇天へ豊の卒業熱唱し

恋はみずいろを流して永らえて

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春の足音【俳句十七句】

春の足音【俳句十七句】

夕凪の草萌は春雨に薫る

葉にゆれる木漏れ陽は深き目覚めの

皺枯の葉の先にも青き新芽

バケツに溜めた陽水と言の葉

枯野にみどりの風と鳥のさえずり

トサミズキ薄黄緑の鎖樋(くさりとい)

蝶の舞誘われてみる春の風

眠りつく雨音は春の足音

アイス溶けお日様と食べた縁側

遠き春川の流れの冷たさよ

春待つ夜花びら落ちて凛と立ち

サヨナラを忘れ名草に忍ばせた

遊びの終え方おそわりし夕陽に

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仏蘭西旅サラダ

仏蘭西旅サラダ

ラピュタパン
君と食べたい仏蘭西の
モン・サン・ミッシェル潮の満ち引き

凱旋門 ベルサイユ宮殿より
朝の古市 猫との暮らし

君と二人でオープンカフェ
テラスより奥の席でゆっくり話そう

本場のバゲットの美味しさに
目を輝かせて微笑む姿をよく噛みしめる

パリの白い地下道にある土佐のうどんや
うどんの白さにほっと一息

観光地から離れた駅の
砂浜は裸のカップルボーイズラブ

貿易の街マルセイユ駅

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優しい朝焼け

優しい朝焼け

朝焼けの光の眩しさ
両目を閉じて前に進む

あなたを傷つけるからと
エゴ見せて心を隠す
涙雨傘

こんな愚かな恋心
お月様
優しく照らしてくれますか?

気が付けばこの胸に響く歌
あなたの声がこだまする

ただいつまでも聴いていたい
それだけでいいと誓った
淡い光差す 朝靄の空に

声聴きたい あなたの無事が
産み出す奇跡

真っすぐなあなたの歌に
励まされ
ただ涙 「アリガトウ」と
また 涙
 

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青いゆりかご

青いゆりかご

短歌十六首

つくつくぼうしの潮騒が
夕日に溶ければ夜波が満ちて
リンリンへ

高い雲に夢をのせた夏が散り
末広がりに泳いでいける

秋の朝 
目覚て不思議と澄んでいて
ただシンプルに笑っていたよ

ほっとする
静かに静かに
ただ君を愛していける秋が好き

湿った落ち葉が月夜に光れば
伏せた瞼にそっと口づけ

鏡に影は写らないけれど
君は確かにここにいてくれる

きみといる忘られぬ恋しい人の面影ご

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花いちりんこの一瞬の静けさに占う心はざわめくよ

ララバイなんていわない

ララバイなんていわない

短歌十三首

心もとなさを流した昨日
迷いがなくなる自分に会いたく

君の歌に新しい口紅を貰った気持ちで
鏡をみるよ

今日何を食べる?なんて会話が一番輝く言葉に思えて

積み重ねていくものに同じ目をして信じていけたら進める

鉄の扉恋の熱を冷ますのに頬あてて
熱帯夜も適温

出会ってしまった愛してしまった
星が悲しいほどに輝いて

優しくなりたい手を繋ぎたい
宇宙の彼方から聞こえるような

隣り

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夏に光った

夏に光った

短歌十首

風を受け羽織はためき悠々と
鼻歌うたえば涙忘れ

涙色の宝石を君に貰った
キラキラ光って泣かされて

子供のこころで夢をみて
あの頃の様に夢を形づくるよ

親愛なる君とわくわくする未来を造るポケットを持っていたい

野の花も光る魚もアメンボも
生まれ変わるときまた会いたい

さかなの頃までさかのぼり
君のところまでただ泳いでいけたら

夏終わる
海のアウトラインを自由に泳いで
砂浜に埋

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