マガジンのカバー画像

あしたの小窓から。

723
小窓のむこうに、ちいさな「あした」が見える。 ここでは音楽、教育、投資、霊性などについて、考えたり感じたりしたことをつれづれに綴っています。
運営しているクリエイター

2018年9月の記事一覧

「会いたいから。」

「会いたいから。」

「会いたいから。」

と、うちの奥さんが言ったとき、
時間が止まるかってくらい、驚いた。

たしか、
まだうだるように暑かった
先月のことだ。

「くにちゃんを名古屋に呼んで
 ワークショップを開きたい」

彼女は突然、そう言い出した。

以前にも書いたけれど、僕自身は
くにちゃんこと橋本久仁彦さんと、
わりと長いつきあいがある。

2013年に出会って、まる5年。
その間、いろんな場を共にして、

もっとみる
まぼろしのクラスメイト。

まぼろしのクラスメイト。

児童館で
子どもたちの生活に触れるとき、
つい「その頃の僕」と
比較してしまう。

そして、
「小学校のあのクラス、
 中学校のあの教室に、
 そんな子たちがいたのか」
と驚く。

自分しか見えていなかった教室に
一人、一人と明かりが灯るように
見えていなかった
クラスメイトたちが登場する。

たとえば、児童館には
親とあまりうまくいっていない
子どもたちも来る。

彼らは親の態度や行動につい

もっとみる
大人になるって、なんだろね。(7)

大人になるって、なんだろね。(7)

(前回の記事はこちらから)

「澤さんは、自分のこと
 大人だと思いますか」

冒頭で尋ねられた質問に対して、
きちんと応えようとしたら、
こんなに長くなってしまった。

本質的な問いは、いつだって
さりげなく現れて、
時間切れで終わってしまう。

僕は、まだ子どもだ。

そしていま、
大人になる練習を
しているのだと思う。

僕を大人に導いてくれた
大人のようになれるように。

でもねえ、
なか

もっとみる
大人になるって、なんだろね。(6)

大人になるって、なんだろね。(6)

(前回の記事はこちらから)

心理学を修めたわけではないので
ざっくりした説明になるけれど
「転移」というのは、
幼い頃、大切な人(ほとんどが親)
との関係で未消化だった感情などを
別の誰かに映して、反応してしまうこと。

たとえば、他人のささいな言動に
腹が立って腹が立ってしかたがない、
みたいな反応が起こる。

僕は『魂と繋がる歌の唄い方®︎』の
師匠、本郷綜海さんの場で、
このことをみっちり

もっとみる
大人になるって、なんだろね。(5)

大人になるって、なんだろね。(5)

(前回の記事はこちらから)

子どもには見えていないし、
見えていなくていい。

前回そう書いたのだけれど、
この視野の違いが
大人と子どもの違いではないかと思う。

身体的にも精神的にも
子どもの視野は大人よりも狭い。

その足りない部分を
さりげなく補ってあげられるのが
大人の役割ではないかと思う。

だからといって、
なんでもかんでも
手を出すわけではない。

子どもの力を信じて、
手を出さ

もっとみる
大人になるって、なんだろね。(4)

大人になるって、なんだろね。(4)

(前回の記事はこちらから)

児童館に勤めるようになって
不本意ながら
子どもたちに注意をする
「大人」の役割を
担うようになった自分。

でも、注意するときよりもっと
「大人だなあ」と感じるのは、
課題を抱えた子どもたちのことを
話し合っているとき。

ほとんどの場合、
親子関係がうまくいっていなくて、
そういう子は
どうにもならないなにかを抱えて、
児童館にやってくる。

自分ではどうにもなら

もっとみる
大人になるって、なんだろね。(3)

大人になるって、なんだろね。(3)

(前回の記事はこちらから)

児童館は、0歳から18歳までの
子どもたちが利用できる公共施設。

館によって違うけれど、
うちの児童館には、
バスケや卓球ができるホールがあったり、
トランプやオセロがあったり、
漫画が読める図書室があったり、
ギターやドラムまであったりする。

僕の小さい頃には
こんな場所はなかったか、
知らなかったので、
はじめて来たときには
「へー、いいなあ」と思った。

もっとみる
大人になるって、なんだろね。(2)

大人になるって、なんだろね。(2)

(前回の記事はこちらから)

学生のときも、会社員をしていても、
周りの「大人」のようになるもんか、
と思っているところがあって、
常識をひっくり返すようなことを
するのがいいんだと思っていた。

周りが従順だと内心腹を立てて
立場が上の人たちを
挑発してみたりすることもあった。

ほらみろ、
大人ってこんなにずるいんだぜ。

と、それこそ、ピーターパンみたいに。

自由で痛快で常識外れ。
まわり

もっとみる
大人になるって、なんだろね。(1)

大人になるって、なんだろね。(1)

「澤さんって、自分のこと
 大人だと思いますか」

児童館の若いスタッフさんから
唐突にそう尋ねられて、答えに窮した。

大人。なりたくなかったなあ。
と思いつつ、

「児童館に来て大人の役割に
 なることが増えたかな」

と答えた。

 自由ってやつは
 たのしいもんだぜ
 僕も昔は縛られてた

と歌ったのは、
ピーターパンかと思ったら、
ピノキオで、

でも、そう、
僕はディズニー映画の
『ピ

もっとみる
そこに人がいるということ (6)

そこに人がいるということ (6)

(前回の記事はこちらから)

「オレ、他人とつながれるようになったかもしれない」

思わず、フェイスブックにそう書いた。
なにげない言葉だけれど、僕にとっては、41年(自分の年齢)ぶんの重みがあった。

「澤さんは人に関わっていない」と指摘するとき、橋本久仁彦さんは必ずと言っていいほど「君には現場での経験がいる」と言い添えていた。

「現場」をいくつもスルーしてきた僕にとって、結婚生活は、最後の

もっとみる
そこに人がいるということ (5)

そこに人がいるということ (5)

(前回の記事はこちらから)

2015年からの自営業と結婚生活は、思っていたようには進まなかった。

出だしこそ順調だった㐧二音楽室も、次第にお客さんが集まりづらくなり、生活していくためのお金について、夫婦で話し合うことが増え、時にそれは猛烈な言い争いになっていった。

やっぱりここでも孤独な受験は続いていて「勉強ができる子」から「仕事ができる男」に移ったモデルは「お金が稼げる旦那」にすり替わった

もっとみる
そこに人がいるということ (4)

そこに人がいるということ (4)

(前回の記事はこちらから)

2013年4月、僕は『魂と繋がる歌の唄い方®︎』(通称『魂うた』)に出会った。

主催は "ヒーラーズヒーラー" こと本郷綜海さん。

ヒーリングという言葉も知らなかった僕は「怪しいところだったらどうしよう」と心配していた。

でも、長年カラオケで唄っていた歌に退屈していたのと、怪しいところを見てみたい気持ちもあって参加を申し込んだ。

それから何回も何回も『魂うた』

もっとみる
そこに人がいるということ (3)

そこに人がいるということ (3)

(前回の記事はこちらから)

オリエンタルランドを辞めてからの数年間、僕はどんな職場にも定着できなかった。

社会起業のNPOに関わってみたり、ソーシャルビジネスの立ち上げに参加してみたり、求人サイトのライターをしたり、就労支援のNPOに入ったり。

どこにいても最初は「最高だ!」と興奮するのだけれど、そのうちエネルギーが切れて、別のところに移っていくことになった。

いま思えば、オリエンタルラン

もっとみる
そこに人がいるということ (2)

そこに人がいるということ (2)

(前回の記事はこちらから)

受験のプレッシャーがなくなった大学生活は、楽しかった。
カラオケに行ったり、英語劇のサークルに入ったり、旅行したり、恋愛したり。

「他人嫌い」の僕にも、彼女ができた。
外には出さなかったけれど、自分に自信がなかった僕にとって、誰かの「彼氏」を演れることは、ドラマの主人公になれた感じがして、なんだか誇らしかった。

けれど、相手の人生に深く関わるほどの勇気はなく、しば

もっとみる