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#手紙
「あかりの燈るハロー」第一話
プロローグ ゴウン…ガロン…ギ…ギギ…ギ。
ゴウン…ガロン…ギ…ギギ…ギィィ……。
やがて、観覧車は完全にその動きをとめ、遊園地にともされたはなやかな電飾も消えると、あたりを静けさが包みこんでいく。
耳をすませば、かすかに聞こえる波の音だけ。
あたしは歌う。
♪ ハウマッチウッド・ウッドアチャック・イファウッドチャック・クッドチャックウッド?
♪ ハウマッチウッド・ウッドアチャッ
「あかりの燈るハロー」第七話
ハローワールドの住人
(3)
パソコンとふたりきりで頭を悩ませる。いろいろ気になることが多すぎる。
『はじめまして、あたしの名前は朱里です。
あなたとお友だちになりたくて、思い切ってメールを出しました。
もしよければ、あたしのお友だちになってください』
何度見ても、メールにはそれしか書いてない。
――お友だち……。
パソコンに突然入り込んできたこの「朱里」っていう人物がいっ
「あかりの燈るハロー」第十四話
レインボー薬局
(2)
Re.ハローワールド
『朱里、ただいま! 今帰ったよ。
薬局のおばさんがすごく親切にしてくれてびっくり。
カバンいっぱい必要なものをもらったよ。
お金は朱里が払ってくれたの?』
ポロン♭
『おかえり、茜!
薬局には無事にたどり着けた?
今では生理用品にもいろいろなタイプがあるはずよ。
自分に一番使い勝手の良いものを見つけるといいわ。
薬局のおばさんか
「あかりの燈るハロー」第二十四話
第十二章お父さんの恋人
(1)
がらんとする家の中に入る。お母さんの笑顔にただいまのキスをし、自分の部屋にあがる。今日はいろんなことが起こりすぎて、とても半日とは思えないほどみんなであれこれやっていた気分だ。
実際に先生にお説教を受けてたから半日じゃないけど……。小学校生活の中で、たった半日で二回も職員室に呼び出されたのも初だ。
お父さんが聞いたらなんていうかな?
部屋に入ってパソコン
「あかりの燈るハロー」第二十五話
お父さんの恋人
(2)
時刻は多分六時過ぎくらい。一刻もはやく家から出ないと、お父さんが仕事から帰ってきてしまうと思ったからだ。行くあてなんてないけど、今はお父さんの顔なんて見たくない。あたしはとりあえず、自宅や役所を避けて国道沿いの道を歩き続けた。
赤く染まり始める空を見ながら、まとわりつく湿った暑さと、いつまでたっても鳴きやまないセミの声にあたしは苛立っている。本当は、そんなことが理由じ
「あかりの燈るハロー」第二十六話
第十三章アカネ・ゴー・ラウンド
(1)
お母さんとの思い出がぐるぐると廻る。にぎやかなデパートの人混みに、夏に向けて心おどるような店内の音楽が戻ってくる。
どうしてひとりで天国へ行ってしまったんだろう? あたしはこんなにもお母さんのことを必要としてるのに、どうしてそばにいてくれないの?
お母さんを思い出すときは、いつだって思い出の中でだけ。いつだって思い返すことができる気がするのに、お母さ
「あかりの燈るハロー」第二十七話
アカネ・ゴー・ラウンド(2)
お母さんは自転車の後ろにあたしを乗せて、軽快にペダルを漕ぎ、魔法の呪文を口ずさむ。
「♪ ハウマッチウッド・ウッドアチャック・イファウッドチャック・クッドチャックウッド?」
「♪ ハウマッチウッド・ウッドアチャック・イファウッドチャック・クッドチャックウッド?」
繰り返し愉しげに唄う自転車は、お母さんとあたしを乗せて夕暮れの街の中を進む。
「ハウマッチ♪ ウッドチ