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優しくない自分に幻滅した先に。
会社員だったころ。オフィスから駅までの道によく、やつれたおばあさんが1人で座っていた。正確にいうと、道ばたの商業施設にのぼる階段に。何をするでもなく、前を向いてぼーっと座っていた。
週に何度も見かけるので、ホームレスの方なのかな、と、ちらっと横目で気にしつつ、私は忙しく通り過ぎていた。
ある日の帰り道、そのおばあさんをすぐ近くの繁華街で見かけた。観光客や、サラリーマンなど、道行く人に歩き回って
その日、私はたった2回カフェをした人のことを想いながら、涙が止まらなかった。
あれは本当に不思議な出来事だった。
特別タイプなわけでも、ロマンチックな雰囲気でもなく、ハプニングが起きたわけでもない。
たった2回カフェをしただけなのに、わけもなく涙があふれてくる。
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大学4年の秋、私はパリから大まかなルートを決め、のんびりとフランス一人旅をしていた。
航空会社で働く両親のもと育った私にとって、旅行は昔から身近なものだったので、大学時代