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卒業制作『恋愛感情の翻訳』/「“現代の作詞家”による翻訳」

卒業制作についての解説はこちら▼

私は大学の卒業制作で、“恋愛感情”をテーマに、4冊の冊子を制作した。

その4冊の中で、4冊目となる『“現代の作詞家”による翻訳』という冊子の内容について、紹介していきたい。


『“現代の作詞家”による翻訳』について

(「はじめに」の項目から引用)

▲「“現代の作詞家”による翻訳」展示風景
▲表紙
▲見開き
▲表紙デザイン

この冊子は、「楽曲の歌詞」の観点から、“恋愛感情”について考察したものである。

私自身が普段鑑賞している「恋愛」にまつわる楽曲の中から、完全に個人の主観で、自分の心に響いたフレーズをピックアップ。
そこから分類・分析をし、『“現代の作詞家”による翻訳』というタイトルで、冊子を制作していった。



今回は、2010年頃〜2022年に制作された「現代のポップソング」の中から
・フレーズ数:全562フレーズ
・曲数:全258曲
・アーティスト数:全70アーティスト
をピックアップ。

自分自身の「心を動かす」歌詞の特徴や、昔と比較した時の「現代の恋愛」の傾向などを探っていった。
特に、「昔の和歌」「現代のポップソング」を対比することで、時代を超えても変わらないものや、逆に、変わってしまったものなどについて考えることができた。

本冊子を制作するにおいて、音楽ストリーミングサービス「Apple Music」を使用した。
制作の流れとしては、まずは私自身の好きな曲を約1000 曲ほど入れたプレイリストの中から、すべての曲の歌詞を確認した上で、全258曲562フレーズをピックアップ。
そこから、オンラインホワイトボードツール「Miro」を使用し、書き出した歌詞を分類分析していった。

大好きな曲の歌詞を分析できる、二度とない機会だと考え、とにかく妥協はせずに突き進んでいった。
575フレーズすべてを書き出し、分類していくだけでもかなりの作業量であったが、普段聴いている大好きな曲の歌詞たちを眺めている時間や、歌詞の内容を改めて噛み砕いている時間は、とにかく幸せで仕方がなかった。
また、制作をするに伴い、自分が好きだと感じる歌詞の傾向も掴めてきたような気がする。



この冊子における構成について、紹介していこうと思う。

まずは、歌詞の分類についてだ。

本冊子では、恋の始まりから終わりを一連の流れとして表すべく、「恋心、愛」「恋の辛さ」「失恋」の3つの章を設け、「恋による感覚」から「消えない記憶」まで、グラデーションとなるように並べていった。
歌詞の1フレーズの中に2つ以上の要素が含まれるケースも多かったので、その場合は短いフレーズで区切ったり、メインとなる要素の方に分類したりしていった。

レイアウトについては、項目ごとの最初の見開きに、特に強調したい2フレーズを入れていった。
また、文字の色については、これも完全に私自身の主観で、項目ごとに合わせた色を選択していった。
項目ごとの見出しとなるページについては、各項目に含まれる内容をそれぞれ抽出し、スペーシングなどを調整しながら制作していった。

歌詞についての解釈は完全に個人の主観なので、間違った解釈をしてしまっている可能性もあるとは思うが、どうか暖かい目で見守っていただきたい。


●私なりの「音楽」の楽しみ方

私自身、普段から音楽を聴くことが好きだ。
毎日浴びるように音楽を聴いており、音楽無しの生活は考えられないほどだ。



きっかけは高校生の頃だった。
軽音楽部の新入生歓迎のライブを観に行ったことをきっかけに、バンドやライブに見事にハマってしまった。
そこからは、ライブハウスで行われるようなインディーズバンドのライブから、大規模なロックフェスティバルまで、様々なライブを観に行くこととなる。

また、大学からは軽音楽サークルに所属し、バンドを組んでベースの演奏にも挑戦した。
普段は、クリープハイプ , Saucy dog, My hair is bad, indigo la End などの邦楽のロックバンドや、Ado, YOASOBI, ずっと真夜中でいいのに。などのインターネット発祥のアーティスト の二ジャンルを中心に聴いている。



私は楽曲を鑑賞する際、基本的に「音」よりも「歌詞」を中心に聴いている。
もちろん、メロディーや曲調、楽器の音、演奏技術、歌声などによって惹かれる場合もあるが、どちらかといえば「歌詞重視型」である。

自分が「歌詞重視型」だということを意識し始めたのは、高校生の頃だった。
それまでは、周りも私と同じように、歌詞を重視して音楽を 聴いているものだと思い込んでいた。
しかし、周りの友人の多くは「音やメロディーの方を重視している」ということを知り、驚いた。

私にとって楽曲とは「歌詞を楽しむ」目的のためにある。極端に言えば、詩や小説を読んでいるのと同じような感覚。「目で読む」のではなく、「耳で読む」というのが、それらとの違いである。
楽曲における「音」とは、あくまで「歌詞を伝えるためのツール」だと思う。音があることで、歌詞が心にスッと入り込みやすくなる。

私にとって、「音やメロディーを楽しむ」というのは、表面的で感覚的なものである。いわゆる「耳の保養」
なんとなく気分が良くなり、深い理由はないがテンションが上がる。

それと比較し、「歌詞を楽しむ」というのは、心の奥深い部分が満たされてゆく感覚。いわゆる「心の保養」である。
辛い思いをしている時でも、歌詞によって心が救われてゆく。「メンタルケア」の役割を果たしてくれる。

この、「歌詞を楽しむ」という目的のために最適なのが、いわゆる「恋愛ソング」だ。
私はとにかく、恋愛感情を描いた楽曲が好き。無意識のうちに、「片想い」「失恋」の曲ばかりを聴いてしまう。

極論を言うと、片想いや失恋以上に美しくて綺麗で切なくて痛くて尊い感情は、この世に存在しないとまで思っている。時に「今死んでもいいな」と思えるくらいに幸せで、時に「今すぐに死んでしまいたい」と思うくらいに苦しい。そんな、「感情の振れ幅」に美しさを感じる。



私は、そんな「恋愛ソング」を、主に「共感」「擬似体験」という2つの目的のために聴く。
どちらの目的のために聴くかは、その時の自分の状況によって変わってくる。

まず、「共感」という目的で聴くのは、自分自身が誰かを好きでいたり、誰かへの想いが溢れるほど強かったり、苦しくなるほどの片想いや失恋をしているような時である。
自分と同じような状況や感情を表している曲を聴くことで、「自分の感情を代弁してくれている」という感覚を味わうことができる。苦しい時に辛い感情を表した曲を聴くと、自分の想いや辛さが認められているような気分になる。感情が浄化され、心が救われていく。

一方で、「擬似体験」という楽しみ方をするのは、自分が誰かに対してそこまで強い想いを抱いていなかったり、安定した幸せの中にいるような時である。
自分とは違う状況を表した曲であっても、曲に感情移入をすることで、曲の世界観に入り込んだかのような体験ができる。

この2つは、「自分の心」「楽曲」、どちらが寄り添うか、という違いだと思う。

「共感」は、自分の心に楽曲が寄り添ってくれるイメージ。
「擬似体験」は、楽曲の方に、自分の心が寄り添っていくようなイメージ。

日常生活で「刺激」が強すぎる時には、心を安定させるため、メンタルケアの目的で楽曲を聴く。
日常生活が安定しすぎて退屈を感じるような時は、心に適度な刺激を与えるという目的で楽曲を聴く。

私は常に、「恋愛ソング」によって、心のバランスを保っている。


冊子の内容

(「目次」の項目より引用)

第一章 恋心、愛

〜恋による感覚〜
 見惚れる
 痛む 痺れる 目眩 麻痺
 狂わされる

〜「好き」という意識〜
 気づいてしまった
 恋をしている
 好き
 すべてが愛おしい

〜恋による影響〜
 世界が輝いて見える
 あなたに救われる
 自分を変えてくれる
 自分を好きでいられる

〜頭の中を埋め尽くされる〜
 何をしていても考えてしまう
 あなたの「好き」は 私の「好き」
 あなたが私の世界
 依存する

〜湧き上がる願望〜
 見惚れていたい
 愛したい
 すべてを愛したい
 もしも叶うのなら
 あなたのことを知りたい
 あなたの見ている世界を知りたい
 あなたの感情を知りたい
 知りたくない
 会いたい
 そばにいたい
 そばにいられるのなら
 伝えたい 伝えられない 伝えられなかった
 届かないでほしい
 あなたが欲しい あなたが欲しかった
 独占したい
 嫉妬する
 特別な存在でありたい
 あなたに求める
 あなたの記憶になりたい
 あなたのために
 あなたの幸せを願う
 壊したい
 あなたになりたい

〜恋をする幸せ〜
 始まりの予感
 時間が一瞬で過ぎ去る
 幸せを噛み締める
 必然的
 言葉にできない
 満たされる思い出
 自分の気持ちを大切にしたい

〜誓い〜
 誰よりも好きでいる自信
 永遠を誓う

第二章 恋の辛さ

〜一方通行の想い〜
 追いかける
 不釣り合いに感じる
 あなたの知らない顔
 一方通行の想い
 私じゃダメなの?
 あなたの好きな人は私じゃない
 それでもいい
 幸せにしてあげて
 幸せにならないで

〜不安を感じる〜
 未来への不安
 壊してしまいそう
 考え過ぎてしまう

〜あなたのせいで〜
 振り回される
 事実を突きつけられる
 傷つけられる 裏切られる
 恨む


第三章 失恋

〜恋の終わり〜
 終わってしまう
 終わらせよう
 終わってしまった
 現実を受け入れられない
 涙が出る
 無気力になる
 あなたがいない世界
 いっそのこと
 死んでしまいたい
 どうにでもなれ

〜後悔に襲われる〜
 後悔する
 戻れるのなら
 ごめんね

〜消えない記憶〜
 痕跡が残る
 思い出してしまう
 忘れられない
 忘れよう
 忘れたくない
 言い訳をする
 今でも好き


今回は、4冊中の1冊である『“現代の作詞家”による翻訳』についての大まかな説明をしていった。

この冊子の内容は、楽曲の歌詞を分類し、並べていったものになるが、
楽曲の歌詞をそのままインターネットに載せるのは、著作権違反になる といった内容を目にしたことがあるため、この冊子に限り、内容をそのまま載せるのは控えようと思う。

次回以降は、
あとがき(自分なりの考察)
曲名・アーティスト名一覧
メインビジュアルの解説
のみ、載せていこうと思う。

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