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旅先で出来事やおすすめなど。
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#エッセイ

つまらない女になっていく

つまらない女になっていく

こんな世の中になって、大好きな旅に出れなくなって。航空券を検索することすらしなくなった日々。
少しずつ世界は拓けてきているのだけれど、わたしの場合、コロナを機に周囲の環境を変化させたから、今は色々なことが難しい。
もちろんそれは覚悟の上でのことだから、後悔はないんだけどね。

ただ、旅に出なくなった自分が、とてもつまらない人間のように思えてきてしまっている。

あの頃は常に、海の向こうの近くて遠い

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みんな、元気ですか?

みんな、元気ですか?

ローマで店員さんに忘れられ、声をかけても放置されていたわたしの代わりに注文をしてくれたマダム。ずっと待っていたからお腹が空いたでしょ、とライスボールとコーラを分けてくれた。ふだんは大嫌いなコーラだけど、このときはとてもおいしく感じたのを覚えている。

南イタリアの駅で、道を聞いたおじいさん。わたしが予約したホテルが遠いことに気づくと、なんと自分の車で送ってくれた。わたしがおじいさんの立場だったら、

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恵まれている、ってなんだろう【インド】

恵まれている、ってなんだろう【インド】

はじめての海外旅行で、インドに行ったときに強烈に感じたこと、忘れられなかったこと。

インドより日本のほうが何もかも恵まれているように見えるのに、どうして日本人は楽しそうに生きていないのだろう。
貧困の中で暮らすインド人のほうが、よっぽど幸せそうに見えた。

noteではすでに話しているけれど、わたしは120万円くらいかかる、歯列矯正をしなければならなくなって、本当に悩んでいた。
どうやって生きて

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タイで地獄に落ちた

タイで地獄に落ちた

タイに1週間ほど旅に出たことがある。

わたしはタイ北部、チェンライという街にきていた。チェンマイよりさらに北、ミャンマーとの国境付近に位置するその街の観光客は、欧米人が7割、中国人が3割、あと日本人が、わたし。本当にそれだけだったように思う。

ガイドブックにもほとんど載っていないような街にわたしが訪れた理由は、ひとつ。

白の地獄寺との異名を持つ寺院、ワットロンクン 。ここにどうしても行ってみ

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青春18きっぷ

青春18きっぷ

昔は時間だけがあって、お金がなかった。
いまもお金はそんなにあるわけではなくて、でも時間だって余るほど持っていないのに。

どうしてわざわざ青春18きっぷの旅なんて、遠回りな旅を選んだのか。

たぶんわたしは、旅の移動が大好きなんだと思う。

旅の醍醐味と言えば、観光地を巡ること、その土地ならではのご飯、そして買い物。そんなところがメインだと思うし、わたしも全部大好きだけれど。

一番好きなのは、

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世界は繋がっている

世界は繋がっている

タイ北部、チェンライ。洋館風のおしゃれなそのカフェには、メコン川をのぞめるテラス席がある。メコン川は、中国、ミャンマー、タイ、ラオス、カンボジア、ベトナムの東南アジア全体を流れる川だ。

そう。知識では知っていたものの、それを実感したのは初めてだった。ベトナムでみた川が、タイにもあるなんて。

日本以外のほとんどの国は、大地や、森や川で繋がっている。知ってはいたけれど、実際に目にすると不思議な気持

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逃げこんだ先に出会った人

逃げこんだ先に出会った人

『好きかどうか、もうわからない』

あの夏、わたしの心が、わたしに告げたこと。
一緒にいると安らぐし、笑っていてほしいし、こんなに愛してくれる人、きっと他にいないのに。でも、それでも。

わたしは逃げるように、一人イタリアへ旅立った。

たくさんの人に出会った。
涙が溢れる景色にも、おいしくて感激したジェラートにも。

そしてなによりわたしは、あの夏のイタリアで、日本に残してきたはずのあなたに会っ

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わからないことがあるほうが世界は楽しいの?

わからないことがあるほうが世界は楽しいの?

日本人の大半は無宗教だ。これは世界的にはとても珍しいこと。世界中の人のほとんどは宗教を信仰していて、わたしたち日本人は一度海外へ出れば、その国や人々の宗教や習慣に合わせて行動しなければならない。
でも別にそれが、どうとかではなくて。
ただ、神様がいる、ってどういう気持ちなんだろう、とただ純粋に不思議に思っている。神様って、どんな存在なんだろう、って。信じるものがあることで、生き方は大きく変わるのだ

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だからわたしは、海外に行く。

だからわたしは、海外に行く。

わたしが海外に行く理由は、すごくネガティヴだ。

今まで周りの友人や知人に「どうしてそんなに海外に行くの?」と聞かれたら、「世界遺産が好きだから」「非日常感を味わいたいから」みたいなことを答えていた。もちろん、それも間違いじゃない。世界遺産や絶景が好きだし、それを写真に収めたい。何よりわたしは、暇さえあれば電車の路線図や世界地図を指でなぞっているような人間だ。地球の裏側だって、自分の足で行ってみ

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