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NAK &ひーちゃん
2023年7月9日 01:02
こんばんは!光のひーちゃんだよ!連載小説『魂の織りなす旅路』にタイミングの話が出てくるけど、タイミングはとっても大切ですっ。でもね、無理して自分からタイミングを作ろうとしても絶対に上手く運ばないの。自分を取り巻くあらゆることが整ったときにタイミングは向こうからやってきます。そのタイミングは、自分にとってよい何かをもたらしてくれるものだから、波がきていると思ったら、躊躇
2023年4月28日 18:26
【魂⑵】 清々しい空気を身に纏った妻は、いつも朗らかでおおらかだった。そんな妻が、なぜ陰鬱な性格の自分を選んだのか。老人は、妻と交わしたあの日の会話に沈潜した。 「あなたは差異がとても小さいから、一緒にいて心地がいいの。」 「差異が小さい?」 「うん。言葉にするとしたら、脳と魂の差異ってところかな。魂だなんて変に思うでしょ。でもね、何かの宗教とかいうんじゃなくて、私はそう感じている
2023年5月8日 10:02
【書道教室⑴】 「また明日来てもいい?」 「もちろん!待ってるね。」 茜は腰をかがめた私にぎゅっと抱きつくと、嬉しそうにスキップしながら帰っていった。 この書道教室に、丁寧なお辞儀をして帰っていく子どもは1人もいない。師匠はそういう儀礼的な所作が大嫌いなのだ。ひとつくらい型のない場があってもいいだろうと師匠は言う。 ここでは己の本質と向き合うことが求められる。そのためには本質を閉じ
2023年6月2日 13:11
【時間⑵】 「私も焦燥感に駆られることはあるけれど、周りの人を見ることはないなー。」 「えー、そうなの? 気にならない? 耀(ひかり)の仕事なんて、すごい人がたくさんいそうじゃない。」 「だからかな。すごい人がたくさんいすぎて、そんなのいちいち見てたら、何にも手につかなくなっちゃうよ。」 焚火がパチパチと心地よい音を立てる。 「同じくらいのレベルの人もたくさんいるけれど、そんな
2023年6月12日 13:38
【時間⑸】 「刻まれた時間から自分を守るって、大切なことだよね。」 私がぼそっと小さく呟くと、栞が 「自分を守る?」と身を乗り出してきた。 「うん。刻まれた時間に身を任せていると、自分が自分じゃなくなっていく気がしてこない? もちろん、刻まれた時間に合わせなければならないこともあるけれど、それだけに始終しているとね。」 栞は大きく目を見開くと、こくりと深く頷き、早口で喋り始
2023年6月16日 08:50
【時間⑹】 「わかるっていうのとは違うと思うの。わかるって感覚は、客観的でしょう? そういう客観的な感覚ではないんだよね。もっと、自分そのものって感覚かなぁ。 栞が自分のことを知りたいと思うのって、すごく客観的な視点だよね。自分を外側から眺めようとしているっていうか。でも、そもそもね、自分を外側に置いて、そこから自分を眺めるなんて、できないと思うんだよね。」 「わかりたいと思うことが、そ
2023年6月19日 13:12
【時間⑺】 「確かにそうかもしれない。でも、人生ってそういうもんじゃない? 自分1人で生きてるわけじゃないんだし、自分はどんな風に生きたいのかって疑問は、どうしたって社会と切り離しては考えられないよ。」 「うん。だから、自分を感じるっていうのは感覚的なもので、どういう人生を生きたいかという思考的なものじゃないんだよね。」 「あ、そっか。思考的なものじゃない。自分を感じたいって言いながら
2023年7月21日 12:31
【暗闇⑸】 「あのね、変な宗教ではないからね。私が実際に感じているって話なんだから。そういう怪しいのと一緒にしないでよぅ。」 娘の声と水鉢の水の音が重なり合い、その向こう側から妻の声が聞こえてくる。 《魂だなんて変に思うでしょ。でもね、何かの宗教とかいうんじゃなくて、私はそう感じているって話なの。》 僕にどう話したらよいものかと不安げに口を尖らせているだろう娘に、僕は言った。