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#小説
ショートショート 魔法使いの○
「こうして、みんな、末長く幸せに暮らしました。」
「と、いうわけにはいきませんでした。」
「とおもったら、なんと…。」
最後の○を打つ箇所を決めるだけで、お話はどうとでもなる。悲劇でも、喜劇でも、お好み次第だ。まるで魔法みたい。登場人物たちの運命は思いのまま。多分。腕のいい魔法使いなら。
小さい頃、床板か何かを工事するために大工さんが何人か来た。棟梁はもう随分おじいさんで、歯がところどころ
ショートショート おおきくなったら
ぼくは きのう おかあさんに だっこ してもらってたら、おかあさんが おもいおもいって いいだして、じめんに おろされちゃった。もういっかい だっこって いったけれど もうだめって おかあさんに いわれた。
おもいんだって、ぼく。
おおきくなったねえって おかあさんがいいました。ちょっと まえまで あかちゃんだったのにって。
ぼく、おおきくなったんだ。
よるごはんの ときに お
何度でも「あなたは悪くない」と抱きしめたい|『秘密を語る時間』書評|徳瑠里香
あれはなんだったんだろう。どうしてあんなことに? 不快な気持ちや小さな恐怖が胸のうちにしこりのように残りながら、ふと思い出しては、思い違いだよ、大したことない、と言い聞かせた。
誰に相談すればいいのか、そもそも人に言うほどのことなのか。私のせいかもしれないし、言えない。
どうしてあのとき、へらへらと受け流してしまったんだろう。何事もなかったかのように過ごしていたのだろう。嫌だと言いたかっ