【連載詩集】No.36 君はフィクション。
たまに、わからなくなるよ
わたしたちは、リアルなのか
それとも、フィクションなのか
あなたとの出会いは
彗星が近づいている日の夜で
まるで映画みたいに
出来過ぎていたし
それでいて
惑星の軌道がすっと合うように
あまりにも自然で
初めて会ったはずなのに
ぜんぜん初めての感覚じゃなかった
どこかで待っていたような気もするし
どこかで恐れていたような気もする
あなたみたいなひとに会うことを
あなたと過ごす時間は、あまりにも
心地よくて、だから、まるで
フィクションみたいな気持ちに
わたしはおちいってしまうんだ
ぬけだせなくなるかもしれない
現実と幻想の狭間におちてしまったら
あともどりはできなくなるから
だから、わたしは
わたし自身を保つために
あなたとの時間から
リアリティを削いでいく
彗星が軌道を描く
星空には銀河鉄道が走っている
たまに、わからなくなるよ
わたしたちは、リアルなのか
それとも、フィクションなのか
おおくをほしがると
世界はこわれてしまうことを
ずっと前から知っているから
だから、わたしは
わたし自身を保つために
あなたとの宇宙から
リアリティを削いでいく
でもね
今夜はあまりにも
幼い月が綺麗で
わたしは眩暈(めまい)で
倒れてしまいそうだから
今日だけはやさしくしてよ
リアリティなんかもう
わたしにはいらない
今日、あなたが
そばにいてくれるなら
明日、わたしが
彗星のように
弾けて消えたってかまわない
そう、君はフィクション。
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