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君が鳴らすアスファルト
大きな音と共に、君が滑り始めたのが分かる。
近くから遠くへ。
そして、また近くへ。
君がアスファルトを鳴らしながら、そのスケートボードを滑らしていく。
君が大人になっても、酒を片手に「スケボーにハマっていた時代もあったな」なんて語らずにいてよ。
ずっとそのまま、整備されていない、アスファルトを鳴らしていて。
夜の23時、君が愛おしそうに笑う声が響く。
君たちが、未来も君たちのままでいられ
浅はかだと言えば、君は笑い転げる
「やっぱり、」といつもの言葉を唱える君の声、そして、あくびをする私の音。
「なんかほら、闇がありそうなんだよね」という一言で、19歳のある出来事を思い出した。「おばあちゃんに虐待されてたらしくって、だからさ、」と続ける君の声は少し弾んでいた。
「よかったじゃん」と返す私。何も良くはないのだけれど。しかし、誰かの痛みは誰かの喜びである仕組みは、宇宙の決まりごとなのかもしれない。
「てか、お姉さ
金木犀が雨に溶けて、
数日前、金木犀を吸い込んで、というタイトルで何か書こうと頭の片隅で考えていたのだけれど、人間の気持ちなどすぐに移り行くもので、違うものとなった。
自転車で風を切る瞬間、横断歩道で左斜め前を眺めている時、金木犀の香りを身体で感じる。その刹那、何故だか金木犀の香りを売りにした商品が頭に思い浮かぶ。ちゃんと役割を果たす姿を見届けることはいつもできない。
金木犀の訪れで秋を感じるのか、秋を感じている最
無償の愛を諦め、献身的な愛に、
最も愛を欲しがった時はいつですか?
そう問われた時、私たちは一体いつの自分を指すだろうか。この空間は愛に満ち溢れているのだと信じて疑わなかった。
いや、まだ、大丈夫だと、自分に言い聞かせていたのだ。
「母親から食事を与えてもらえず、〇〇県に住む2歳の男の子が死亡しました」
そんなニュースを見ながら、愛情の欠如というのは、自分の死でしか証明できないと思っていた。
最大の不幸と自分を比べては、ま