君が鳴らすアスファルト
大きな音と共に、君が滑り始めたのが分かる。
近くから遠くへ。
そして、また近くへ。
君がアスファルトを鳴らしながら、そのスケートボードを滑らしていく。
君が大人になっても、酒を片手に「スケボーにハマっていた時代もあったな」なんて語らずにいてよ。
ずっとそのまま、整備されていない、アスファルトを鳴らしていて。
夜の23時、君が愛おしそうに笑う声が響く。
君たちが、未来も君たちのままでいられるように願ってしまうのは、歳を重ねているからだろうか。
太陽に照り付けられるアスファルトは無駄に熱いし、
スケートボードが走るアスファルトは煩い。
私は、君が鳴らす音が聞こえてくると、決まって顔を上げる。
始まった。
このメロディーが。
現代の青春が。
少年よ、そんなふうに語りかける音声が脳内で再生される。
時代という言葉では片付けられない何かがその音には込められているんだ。
それは少年の自己主張か、青春という物語か。
少年が奏でるメロディーは、アスファルトによってどんどん大きくなっていく。滑っていく、走っていく。
夏の気温と共に、それは加速していく。
きっと、どこへでもいけるよ。
不可能なものなんてない、だって君はでこぼこのアスファルトをそんなふうに、音を鳴らしながら進んでいけるのだから。
雨の日は、君は残念がるだろうか。
いつか、そのアスファルトの上に、屋根を作ろう。
君と、君たちと、みんなが、思いのままに走っていけるように。
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