扇と揺れと、答え
都合よく、人の顔が見えない視力は、揺れだけは捉えることができる。
こちらに手を振っているような、応援されているような、そんな爽やかな揺れを。
側で眺めてみれば、頭を撫でるようにゆっくりと、揺れている。大きな影も揺れ、まるでゆりかごを体験しているかのように、自分が慰められる。
もしも、魔法が使えるとしたら、あの木々を揺らしたいと思うんだ。
ほら、あの、向こう岸に見える。
そうすれば、君が階段に座り、一息つき、こんなふうにゆっくりした時間が自分には必要なのかもしれないと思ったその時、
視界の端で、木々が揺れるだろう。
グラデーションがかった空はまるで、大木を持ち上げ、精一杯目立たせているようだ。
そして、どうか、その扇形をした木々の揺れを、自分のものにして欲しいと願う。
まるで最初から自分のものだったように、今まで毎日欠かさず水やりをしてきたかのように。
水滴が落ちるたびに、葉は揺れ、
光に照らされるたびに、輝きを見せつけるように揺れ、
グレーの空の中では、まるで自分たちの番が来たかのように、大きく揺れる。
きっとそれを、応援歌だと呼ぶ人もいるのだろう。
文字を書くことが生き甲斐です。此処に残す文字が誰かの居場所や希望になればいいなと思っています。心の底から応援してやりたい!と思った時にサポートしてもらえれば光栄です。from moyami.