moyami

まあやの抽象感覚の倉庫

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まあやの抽象感覚の倉庫

マガジン

  • 過去の傷

    今見返すと、痛々しいな、と思うものも。それでも全てが宝物なのです。

  • 大切な人

    私の人生において、とっても大切な人たちとの出会いや、会話や、その空間。

  • 価値観の素

    粗く、未熟な言語化を通り、私の今の確かな価値観は作られていったのだと思う。

  • 空間

    空間を昔から愛していて、抽象的なまま自分の心で感じることが自分にとっての幸せなのだと思う。

  • 誰も言葉にしないこと

    誰も決して口にはしないような、理性を超えた心臓の奥底に眠る感覚のようなもの。

記事一覧

キライアイ

込み上げてくる涙を、両手の手のひらの下のほうでぐっと力強く拭う。 「そんな、泣かれても〜」 と言いながら、水を入れてくれる人がいて。 そんな空間で私は、だって、…

moyami
9時間前
1

812

「力になりたいと思ってる」 夜の23時にそんなメッセージが届く。 私たちは、何度もお互いの力を交換し合って生きてきたね。 「ほんとまあやって記憶力いいよね〜」 そう…

moyami
2日前
3

土偶を溶かす

忍耐とか、継続とか、思想とか、そういうものによって私を形成する層がミルフィーユ状になっていく。 「目が全然笑ってないもん」 そんな声と共に、私は一生見ることので…

moyami
6日前
9

あの子も、その子も、みんな

幸せそうじゃん。 幸せそうに生きてるじゃん。 どこからともなく、誰かに助けられ、軽やかにアスファルトを蹴って、障害物を乗り越えていく。 そういう姿を、望遠鏡で覗…

moyami
2週間前
13

90°の向こう側

首をぐんと上へ向け、星を見る。 更にぐんと後ろへ倒れながら、もっと星を見る。 星の輝く姿を見ながら私は、これって向こう側にいる人も見えているのかななんてどうでも…

moyami
2週間前
8

また、ネ

人が交差していく。 人々と触れそうで触れない距離を保ちながら、すれ違っていく。 赤信号を待ちながら、路上ライブに目を向ける。 人が夢を追いかける姿、それを応援する…

moyami
3週間前
10

左側の音

左に体が傾いていく、 左手が力強く動いていく、 鍵盤を弾き、低い音が私の中心を射抜く。 私の体の中で波紋が広がって、どんどん上へと上がってきて、涙腺を刺激する。 …

moyami
3週間前
10

空間認識絵画

「こっちだって」 と地図を使いこなしながら、腕を引っ張られる。 そういう時、脳内でこの人はどういう絵を描くのだろうという好奇心が湧き上がる。 少しの方向転換を終…

moyami
1か月前
8

決別

ミックスジュース味のような、そんな甘ったるさの中をきっと私は生きていて、生きてきた。 そびえ立つ神戸のポートタワーを見上げると、私がこの街で感じてきた全てのこと…

moyami
1か月前
9

タイトル:オレ

右目に、左手が介入してくる。 その瞬間、思考が今に戻される。 そう、こういう話をしていたんだ。この人の、オレの話を聞いていて、それを私は、右端に見える左手から受…

moyami
1か月前
5

君が鳴らすアスファルト

大きな音と共に、君が滑り始めたのが分かる。 近くから遠くへ。 そして、また近くへ。 君がアスファルトを鳴らしながら、そのスケートボードを滑らしていく。 君が大人…

moyami
1か月前
6

射手座らしさ

冥王星射手座時代を生きる私は、アクセルとブレーキを同時に踏んだり、アクセルを踏み込みすぎてそのまま壊れて、ブレーキを踏めなくなることもある。 インターネットに感…

moyami
1か月前
8

精神を止む

君は、この世界に足を踏み入れる。それはもう恐る恐る。その足の先に、ガラスの破片のような物は落ちていないかと確かめながら。 裸足で、現実という名の地面を踏み締める…

moyami
2か月前
8

この本を読めばわかるという暴力

知識を手にした暴力家。 是非とも読書を共にしたいと願う。 そして、共に読書感想文でも書き、読み合おうではないか。 10分間タイマーで測り、その間にじっくりとお互い…

moyami
2か月前
14

ふたりを愛せよ

スマホの画面の中心部分より少し右下を、親指でタップする。 すると、画面いっぱいに文字が溢れ出し、読んでいなくても、「ありがとう」が一つではないことがわかる。 ま…

moyami
3か月前
7

同族INTP

「こういうの自分で撮っててさぁ、」 この後に、続く言葉を私は知っている。 私のSNSを目の前でスクロールしながら、冷たい視線を注ぐ彼が、次に口にする言葉を。 「恥ず…

moyami
3か月前
17
キライアイ

キライアイ

込み上げてくる涙を、両手の手のひらの下のほうでぐっと力強く拭う。

「そんな、泣かれても〜」

と言いながら、水を入れてくれる人がいて。

そんな空間で私は、だって、だってと、子どものように泣きじゃくりながら、説明を続けていたのだった。

そういうところが嫌いで、
だって、そういうところが私をまた傷つけて、
私はこうやって向き合っても向き合っても、
どうせ頭がおかしいやつだと思われて、って。

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812

812

「力になりたいと思ってる」

夜の23時にそんなメッセージが届く。
私たちは、何度もお互いの力を交換し合って生きてきたね。

「ほんとまあやって記憶力いいよね〜」
そう言いながら、彼はウイスキーを口に運ぶ。

「じゃあ、あの時なんて言ったか覚えてる?」
私はそうやって、彼と昔の思い出の問題を出したりして。

「あー、覚えてるよ」
彼は、どうでもいいようなことをよく覚えている。
「俺は、すぐ忘れるか

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土偶を溶かす

土偶を溶かす

忍耐とか、継続とか、思想とか、そういうものによって私を形成する層がミルフィーユ状になっていく。

「目が全然笑ってないもん」

そんな声と共に、私は一生見ることのできない、他者から見た"まあや"というものを想像した。

「目全然合わせないからさ、」

そんなふうに目の話をしながら、私は顔を傾け、彼と目を合わせた。

「今は大丈夫だけどね」

そう言われた瞬間、そういえばeye to eyeについて

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あの子も、その子も、みんな

あの子も、その子も、みんな

幸せそうじゃん。
幸せそうに生きてるじゃん。

どこからともなく、誰かに助けられ、軽やかにアスファルトを蹴って、障害物を乗り越えていく。

そういう姿を、望遠鏡で覗かないと見えないような距離からでも見つけてしまうと、居ても立っても居られなくなる。

私は、一体何のために苦しんでいるのだろう、と。

苦しまずに生きられる人と、
苦しみから解放されない私には、一体どんな差があるのだろうと。

そして、

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90°の向こう側

90°の向こう側

首をぐんと上へ向け、星を見る。
更にぐんと後ろへ倒れながら、もっと星を見る。

星の輝く姿を見ながら私は、これって向こう側にいる人も見えているのかななんてどうでもいいことを考える。

人間はイルミネーションのように光るものが好きだ。

それは、人工的なものであっても。

夏祭りでは、どこからともなく光る"何か"を持った子どもたちが歩いてくる。

キラキラとチカチカと色んな色を放つソレによって、りん

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また、ネ

また、ネ

人が交差していく。
人々と触れそうで触れない距離を保ちながら、すれ違っていく。

赤信号を待ちながら、路上ライブに目を向ける。
人が夢を追いかける姿、それを応援する人々。
歌う、見る、歌う。

今日もこうして人々の感情が揺れ動いていく。

横断歩道を渡ると、そこにもまた別の夢を追いかける人がいて、平和という夢を追いかける人もいた。

ギターを弾きながら歌う人、その横で黒に赤と緑のペンで書かれた文字

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左側の音

左側の音

左に体が傾いていく、
左手が力強く動いていく、
鍵盤を弾き、低い音が私の中心を射抜く。

私の体の中で波紋が広がって、どんどん上へと上がってきて、涙腺を刺激する。

眼の中の粘膜に、透明の水が混じっていく。

私の目の前でピアノを弾いている人は、究極の自己表現をしていた。

此処に居るんだという叫びが聞こえてくる。

ピアノの音ってこんなにも、響き渡るものだったのだと感じずにはいられなくて、

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空間認識絵画

空間認識絵画

「こっちだって」

と地図を使いこなしながら、腕を引っ張られる。

そういう時、脳内でこの人はどういう絵を描くのだろうという好奇心が湧き上がる。

少しの方向転換を終え、離された腕。
半歩先を歩く彼。
「あれじゃん」そう言って目的地に到着した。

「男性ってさ、地図を読むのが上手い人多いじゃん?」

「そういう人が描く絵って絶対上手いと思うんだよね」

そう言いながら彼の目をぼーっと見つめた。

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決別

決別

ミックスジュース味のような、そんな甘ったるさの中をきっと私は生きていて、生きてきた。

そびえ立つ神戸のポートタワーを見上げると、私がこの街で感じてきた全てのことが、目の前のこの赤いタワーは知っているのかもしれないと、思った。

この街で生まれて、この街を一刻も早く出たいと思って生きてきた、そんな過去を。

この街に帰ってくる度に、港町特有の風が私の身体全体を撫でる。この生温い温度が気持ち悪くて仕

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タイトル:オレ

タイトル:オレ

右目に、左手が介入してくる。

その瞬間、思考が今に戻される。
そう、こういう話をしていたんだ。この人の、オレの話を聞いていて、それを私は、右端に見える左手から受け取っていく。

煌びやかな街で、光沢のあるビルに囲まれながら彼はTシャツの裾を揺らして、真っ直ぐに前を見ながら歩いて行く。

「まあや、っていいよね」
「呼びやすくて」

曇り空が一気に晴れ出すように、
土砂降りの中、大きな虹が掛かるよ

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君が鳴らすアスファルト

君が鳴らすアスファルト

大きな音と共に、君が滑り始めたのが分かる。

近くから遠くへ。
そして、また近くへ。

君がアスファルトを鳴らしながら、そのスケートボードを滑らしていく。

君が大人になっても、酒を片手に「スケボーにハマっていた時代もあったな」なんて語らずにいてよ。

ずっとそのまま、整備されていない、アスファルトを鳴らしていて。

夜の23時、君が愛おしそうに笑う声が響く。
君たちが、未来も君たちのままでいられ

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射手座らしさ

射手座らしさ

冥王星射手座時代を生きる私は、アクセルとブレーキを同時に踏んだり、アクセルを踏み込みすぎてそのまま壊れて、ブレーキを踏めなくなることもある。

インターネットに感謝をすることもなく、当たり前のようにネットの海に感情を流す。

「いま、ネットでバズっているのがこちらです」

そんなニュースが流れる。

「バズる」
「フォロワー」
「再生数」

そういう単語が飛び交う世界へと入っていく。

なんとなく

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精神を止む

精神を止む

君は、この世界に足を踏み入れる。それはもう恐る恐る。その足の先に、ガラスの破片のような物は落ちていないかと確かめながら。

裸足で、現実という名の地面を踏み締める。アスファルトの熱を足の裏に感じながら。

君は、この世界のことをよく勉強してきたみたいで、「靴を履いていないのはきっと僕だけだ」と呟いた。

でも君は、靴を履くことを選ばなかった。

ある日、人集りの中色んな靴に囲まれながら、君の素足は

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この本を読めばわかるという暴力

この本を読めばわかるという暴力

知識を手にした暴力家。
是非とも読書を共にしたいと願う。

そして、共に読書感想文でも書き、読み合おうではないか。

10分間タイマーで測り、その間にじっくりとお互いの言葉という感性に触れる。

さて、そこにはどんな言葉が溢れているだろうか。

このままではいけないと思ったという焦燥感か、この事実を早く広めなければいけないという正義感か、それとも、これが言いたかったんだ、誰もこれを言ってくれなくて

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ふたりを愛せよ

ふたりを愛せよ

スマホの画面の中心部分より少し右下を、親指でタップする。

すると、画面いっぱいに文字が溢れ出し、読んでいなくても、「ありがとう」が一つではないことがわかる。

またひとつ、タップすると、スクリーンショットされた画像が貼り出され、そしてまたたくさんの文字と、「ありがとう」と、その他が並んでいる。

そして、ぐるぐるっとした雲のようなスタンプと。

私は、そこに隠された数字を知っている。
その数字に

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同族INTP

同族INTP

「こういうの自分で撮っててさぁ、」

この後に、続く言葉を私は知っている。
私のSNSを目の前でスクロールしながら、冷たい視線を注ぐ彼が、次に口にする言葉を。

「恥ずかしくね?」

ほら、そういうと思ったよ、と私は頬が緩んだ。

「どうでしょう?」
そうやって笑いながら、真っ白なマグカップを口元へ運ぶ。

私は彼を嫌いながら、同時に隅々まで彼の心理が手に取るように分かる。

一生懸命になることで

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