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日記とか

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1/20(金) 2人分のリビルド

1/20(金) 2人分のリビルド

知り合って3年ほど経つが、友人の家に初めて訪れる。親密圏の再構築を行おうとする自分の試みはおそらく特殊で、惹かれる気持ちに反するように、彼の人生に立ち寄るのを躊躇してもいた。「自分が暮らしている街をあなたが歩いているなんて不思議な気持ちだ」と言われたが私も重ねた月日を感じ、過去の自分に語りかけたくなってしまう。

絶対に良い人だから、絶対に良い人に愛されてほしくて、私のような人間は彼に踏み込まない

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10/10(日) 2年越しのハプバーへ/"重要な他者"のパートナー

10/10(日) 2年越しのハプバーへ/"重要な他者"のパートナー

「ずいぶん前に行こうって言ってたハプバーってどこだったっけ?」

週末、真面目にモノガミー交際をしているはずの友人から珍しい連絡がきた。

たしかに2年前、友人にモノガミーの恋人ができる前の時期、ハプバーに一緒に行ってみよう、という話をしていた。ハプバー界隈に慣れている知人がちょうど遊びに来ていたので、ガイドしてもらう予定だったのだ。その時は忌まわしき仕事のせいで全くあがれず、予定も流れてしまった

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7/19(火) 部屋に「侵入」されるとき-悪夢と親密さ

7/19(火) 部屋に「侵入」されるとき-悪夢と親密さ

10代から20代にかけて、週に一度は見ていた悪夢がある。

自分が家の中で1人過ごしていると、強盗だったり、ストーカーだったり、ゾンビや幽霊といった人型の怪異が、外から勝手に侵入してきてしまうのだ。

深夜自分の部屋で目が覚めて、鍵を閉めているはずの玄関から「ガチャリ」とドアが開く音がする。
街にゾンビが大量発生してしまって、「この家の扉や窓を全部閉めなきゃ」とわかっているのに、あと一歩のところで

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3/19(土)これは私の話だ/内田春菊『ファザーファッカー』

3/19(土)これは私の話だ/内田春菊『ファザーファッカー』

「これは私の話だ、と思った小説はあるか」という話題になったことがある。
小説はそれなりに読んでいるはずなのにその場で私だけ答えられず、皆に相槌を打つばかりだったのを引きずっていて、たまに考えていたのだけど突然思い出した。

内田春菊の『ファザーファッカー』だ。

共感したというには私のほうがおそらく格段にぬるい環境だったけど、秩序を乱す原因は私にあるとされていて、家のなかで「私の噂」が飛びかう感じ

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1/3(月) 新木場ageHaで年越しを

1/3(月) 新木場ageHaで年越しを

2020年の年末もひどかったが2021年の年末もひどかった。

11月も12月もその後の予定を諦めなければならないようなトラブルが仕事で頻発し、24時過ぎまでパソコンにかじりつく。
新しく入ってきた後輩が「覚えることが大量すぎて難しい、差し込みで入ってくるタスクも多すぎる。どうやって捌いたらいいんですか?」と聞いてきたけどやさぐれすぎて、「私もずっと気が狂いそうだからわからない」と答えてしまった。

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10/2(土) 人間関係決算期/「でも特別な人でしょ?」

10/2(土) 人間関係決算期/「でも特別な人でしょ?」

先月は散々な一カ月だった。

仲良くしていた友人にトラブルが起き、私の失言により徹底的に嫌われてしまった。別の友人からも距離を置かれてしまって、親しくなりたいと思った人には踏み込みすぎた。

9月だったから決算期だったのかもしれない。
私のすべてが人を「そう」させるのかなと思って、随分前に気まずい別れ方をした人に「人の地雷を三連発で踏んだから、私の改善点も三つあげてくれない?」と連絡する。久しぶり

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5/30(日) タトゥーは神秘の三角形

5/30(日) タトゥーは神秘の三角形

人生で初めてタトゥーを入れた。

「一生もの」と言われるそれを、本当は10代の頃からずっと興味があったのだが寝かせていた。「後戻りできなくなる」のだから、よっぽどのことなのだから、慎重に考えなきゃと。
そう話すと彫り師は笑って、「このサイズなら正直すぐ消せるから」と言った。ちゃんとタトゥー経験者に聞いた方が良いよ。やったことない人に相談したって、想像で不安なこと言うだけでしょう、と。

もう何度も

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5/4(火) 苺のタルトと友人のキックボード

5/4(火) 苺のタルトと友人のキックボード

出張販売なのか、小さなブースでキッシュとタルトが売られていた。

キッシュは好きなのだが取り扱う店はそう多くなく、見かけたら買うようにしている。レジで会計しようとしたが、その隣の苺のタルトに目を奪われる。飴細工のように光るそれを、ここ数年口にしていなかったかも、と思い出す。だけど商品はホールか2分の1のハーフサイズしかなく、一人ではとても食べきれなさそうだ。

「何時まで売ってます?」と質問して、

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3/21(日) シンエヴァを観るー回復、対話、パートナシップ

3/21(日) シンエヴァを観るー回復、対話、パートナシップ

シン・エヴァンゲリオン劇場版を観てきた。この映画の感想を語るには自身のエヴァ史が必須になってくるようだが、何を隠そうアラサーにして、エヴァと私との出会いはたった2年前である。(!)

オタク歴は長く、漫画アニメにはどっぷりと浸かってきたが、「名作とされてはいるが何となく避けている作品」というものが、誰しにも一つや二つはあるだろう。私にとってはそれが「エヴァンゲリオン」シリーズであった。

月額の動

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2/14(日) ピーチオンザビーチノーエスケープ、私たちは消された展ー女体と私について

2/14(日) ピーチオンザビーチノーエスケープ、私たちは消された展ー女体と私について

土曜、友人に誘われて「ピーチオンザビーチノーエスケープ」という舞台を観に行った。

ビーチ、と名付けられた部屋でコスプレをした女たちがすし詰めになって暮らしている。その女たちはたった一人の男の存在が「すべて」で、男とのセックス(または暴力)を求めて競ったり、励まし合って連帯する。

女たちが集まって喋る様子はカラッと陽気だけれど、根底には何か薄暗いものが張り付いている。小さな穴がぽつぽつと開くよう

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12/29(火)掴まれる喉―ゲシュタルトセラピーと身体感覚

12/29(火)掴まれる喉―ゲシュタルトセラピーと身体感覚

とにかく私は『キレる私をやめたい ~夫をグーで殴る妻をやめるまで~』(田房永子)を愛読している。2カ月に1回くらいは読み返している気がする。

そして何度も「ああ、わかる」と「でも自分は治ってきたかも」と「今のままじゃ、いやだ」をぐるぐると繰り返している。読み返すたびに新しい発見をしてはツイートし、田房永子氏の最新刊や新連載をまだかまだかと心待ちにしてしまう。

作中ではゲシュタルトセラピーを受け

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11/28(土) 身体に張り付く汚物感

少し外出したあと、電池が切れたように長らく布団に籠っていた。土曜日だから、いくつかのグループLINEにぽつぽつと会話が投下される。何もできないこんな日には、知り合いの文章くらいがちょうどよい。会話を読んだり、まどろんだり、考え事をしながら長らく寝そべっていた。

0時過ぎ、ようやく気力が戻ってきて、洗濯機が完了の音を鳴らしてから1時間ほど寝かせた洗濯物を干し始めた。ついでに湯船にお湯も張ってみる。

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11/1(土) 各停だと死ねないよね

11/1(土) 各停だと死ねないよね

煙がたゆたう室内。白いソファ。シーシャ屋にしては珍しく明るくて、清潔感を押し出したような内装だった。初めて来る店。滅多に来ない街。

今日はありがとう死にたくてさ、駅で電車待ってたけど各停だと死ねないよね、とつらつら喋ると、私をシーシャに誘ったAがなめらかに答えた。「そうだよ減速するからね」。快速が止まらない駅じゃなきゃ。

嗜めるのでも驚くでもなく「今日寒いね」「冬だね」みたいに当たり前さすら孕

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私が世界に嘘をつくとき、世界も私に嘘をつく

私が世界に嘘をつくとき、世界も私に嘘をつく

世界に対する信頼が、ふつり、と途切れた瞬間を覚えている。

その時私は小学6年生だった。
その時私の身長は151センチだった。
その時私はやや肥満児で、肌が弱くていつも顔や体は掻きむしったあとでボロボロで、にきびっぽく、髪の毛をブローすることも、自分が着たい服を着るということも知らなかった。

その時私は母の話を一心に聞く役割の人だった。
朝、学校に行く前の貴重な10分間や15分間を彼女の話を聞く

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