マガジンのカバー画像

詩とエッセイ

51
ぽえまーよはんのひとりごと。
運営しているクリエイター

#音楽

紙袋

紙袋

木曜夜の零時少し前
凍てつく夜も温かく
下り電車の賑わいは
健やかなる無法地帯

幽霊の様な境界線を
何でもない風に跨ぐ
通路という概念など
誰も覚えてはいない

ど真ん中に置かれた
高級百貨店の紙袋は
その威厳も虚しく、
なんてことでもなく

夢現の主人よろしく
やけに堂々とした姿
それこそ実に本来の
私だとでも言う様に

昼のいきぐるしさが
存在すら不確かな夜
ただそこに在るのは
星と空と少し

もっとみる
プレイリスト。

プレイリスト。

必死に今の気持ちに合う音楽を探していた。
プレイリストを作っては修正して、
付け足しては消して、
そんなこと、繰り返して。

だけど、そうじゃなかった。
わたしは今、
音楽なんて聞きたくないんだ!

音楽をブランド品みたいに扱うのが大嫌いだ。
偽善者のホーリーソングなんて、
まっぴらごめんだ。
わたしは今、そういう気分なんだ。

いつもの癖、外に出れば耳にイヤフォン。
そうするのが当たり前で、

もっとみる
慕い桜

慕い桜

油絵ほどに近づいてきて
愛を吸うみたいに空気を
覚えていてほしくて走る

春の夜の声もなきその香

せつなく儚くそこにいて
でもそっと吹いただけで
消えるほど弱くはないの

愛おしさはどんな時でも
心のどこかに住んでいて
永遠に巡る、春への憧れ

その香りを恋い慕うまま

------

久しぶりに詩を。。
先日、仕事帰りにいつもの道を通って
今年はお花見もできないかぁ、と
ふと夜桜を見たときに

もっとみる